私の場合、これまでの生き方を振り返ってみると、ほとんど自分で決めてないし選択肢もありません。心中にあるのは「ノンレジスタンス(Non-resistance)」ということです。「無抵抗」。ただ、消極的ではなくて、「肯定的無抵抗」あるいは「積極的無抵抗」ということ。大学には400mの力を買われ、東海大に推薦されて行ったし、インカレに出てみたら始めから3番に入って翌年は優勝できた。そうすると気持ちがいいからもっと練習しよう!今度は日本記録が近くなってきたんで目指してみよう!と思いました。ですから、流れを読み、流れに乗って、先頭に立って後ろから押されながら自分で決めていくという感じです。一人で生きていけると思うのは大きな間違いで、自力と他力と両方ないと絶対に無理だと僕は思います。それは、指導者とか仲間とかの力を借りながら、最終的には自分でちゃんと意識して進むということです。400mという選択も、冷静に考えればほかにもっと派手で華やかな種目をやってもよかったのかもしれないけど、僕の中ではもう400mをやらなきゃいけないんだという、自分には選択肢はないという気持ちがあったんです。それなら、決めた道に対してすべてのエネルギーを注ぐしかない。何かを究めるには、今目の前にある選択肢が一個しかないと思った方がいいんですよ。目の前に引かれている道を、見る目があるかどうかなんです。