【特集】瀧本誠選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

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瀧本 誠選手 プロフィール

瀧本 誠選手

柔道家/シドニーオリンピック金メダリスト(吉田道場所属)

PROFILE

1974年12月8日生まれ。茨城県岩井市出身。6才から柔道を始め講道学舍で修練に励む。弦巻中学、世田谷学園高校を経て日本大学へ入学。大学卒業後は日本中央競馬会に所属。1999年、2000年と全日本選抜体重別選手権優勝、2000年ドイツ国際優勝、そして2000年のシドニーオリンピック柔道81キロ級で見事、金メダルを獲得する。その後、フランスのクラブチーム・オルレアンに所属するなど海外でも活躍し、2004年に総合格闘技に参戦。『PRIDE男祭り2004』のデビュー戦を勝利で飾る。

瀧本 誠選手の学生時代は・・・

厳しさの中での経験が、今の基本になっている

瀧本 誠選手写真
 僕が柔道を始めたのは小学校1年の6才の時でした。実家が青果店をしていて、たまたまお客さんに柔道の先生がいて誘われたのがきっかけで、市の体育協会で習い始めました。小学生の頃は近所の友だちも一緒に通っていたので、楽しんでやっていましたね。
 柔道に対して大きく変わったのは、小学校6年の時に講道学舍の試験を受けてからですね。講道学舍に入ったことで弦巻中学、世田谷学園高校と進学の道も決まりましたし、何より生活そのものが変わりました。
 中学入学とともに寮生活が始まり、柔道の練習が生活の中心になりました。中学からは学校の柔道部に入っていましたが、練習は講道学舍が中心で、そのレベルの高さには驚きました。入学当初、1年上の先輩にまったく歯が立たなかったんですよ(笑)。「このレベルが講道学舍なんだ」と思いましたね。この頃から柔道への打ち込み方や思いも変わっていったと思います。
 高校ではスポーツクラスだったので、いろんなスポーツの生徒がいましたね。中でも世田谷学園は柔道、空手が強かったので、クラスには空手部の生徒も多かったんですが、スポーツのジャンルは違っても互いの気持ちがわかり合えるみたいな親近感はありました。また、講道学舍で共に修練してきた仲間とは格別の思いもあり、今でも兄弟みたいにつき合っています。厳しい練習と寮生活を共にしてきたわけですから。でも、当時の厳しさや経験が今の僕の基本になっていることは確かです。

オリンピックの思い出は・・・

開会式に自分がいるということに感動した

瀧本 誠選手写真
 大学はやはりスポーツ推薦で日本大学へ進みましたが、大学でももちろん柔道づけの4年間でした。でも、この頃は「卒業後は普通に就職するのかな」くらいにしか考えていなかったんです。もちろん、将来格闘技に参戦するなんて思っていませんでした。だからオリンピックもそんなに強く意識していなかったし、「出場できたらいいなぁ」くらいの感じでした。でも卒業後に日本中央競馬会に所属し、国内外の柔道の大会で結果を出せたことで、オリンピックが現実のものになりました。オリンピックでは「せっかく出場できるんだから、色々なことを楽しもう」と思っていたので開会式にも出ました。開会式はやはり印象に残っていますね。昔からテレビでは見ていましたが、その中に自分がいるんだと思うと、感動しました。試合では、やはりメダルを期待されている競技なのでプレッシャーもありましたが、自分なりに思いっきり力を出せたと思うし、その結果が金メダルに繋がったと思います。

瀧本 誠選手からのワンポイントアドバイス

大事なのは、反復して継続すること

瀧本 誠選手写真
 僕が最初に感じた柔道の面白さは、体の小さい人間でも大きい人間に勝つことができること。「小さくても勝てるんだ」と思いました。でも、そのためには練習あるのみです。僕の場合、講道学舍に入ってから練習量もかなりハードになりましたが、練習内容は特別だったわけではありません。
(1) ウォーミングアップ・・・どのスポーツも同じですが、体の筋肉を暖めてから練習に入るようにしてください。これは体、筋肉のケアにも繋がる大事なことです。
(2)乱取り・・・相手と組んで試合感覚で技の練習、受け身の練習をすることですが、大事なことは反復して継続することです。僕の高校時代は乱取りを毎回、約2時間はやっていましたね。
 重要なのはこの2つですが、この基本をしっかりと継続しなければ技には繋がりません。また、柔道は相手と組み合うスポーツで、技をかけていかに相手を投げるかという駆け引き、そして互いの先を読む面白さもあります。ただ繰り返すのではなく、一つひとつの練習にも意識とやる気を持って臨んでください。最後に僕の得意技は内股と袖釣り込み腰ですが、柔道の技のポイントは腰です。そのことも頭に置いて、練習に励んでください。

瀧本 誠選手からみんなへメッセージ

夢中になれるものが、ひとつあればいい

瀧本 誠選手写真
 高校時代を振り返って今思うことは、「もっと勉強しておけばよかった」ですね(笑)。生徒としては決して優秀ではなかったと思います。でも、僕は柔道と出会い、学生時代の全てを柔道に打ち込むことができました。その結果、オリンピックでメダルをとり総合格闘技に参戦することもできた。学生時代は、ただ柔道ができればいいくらいに思っていたので将来のことはあまり考えていませんでしたが、その時、その時、いつも柔道に夢中でした。だから今があると思っています。
 勉強でも文学でも何でもいい。自分が打ち込めるもの、夢中になれるものがあればいいと思います。そして継続することで、何かがカタチになると信じています。僕自身、夢中になって長く続けてこられたことが一番の自慢でもあります。皆さんも、学生時代に夢中になれる何かを見つけてください。

※この記事は2008年7月に取材したものです。プロフィール等は取材時点のものですので、ご了承ください。

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一