【特集】鈴木大地選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

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鈴木 大地さん プロフィール

鈴木 大地さん

水泳 ソウルオリンピック金メダリスト
順天堂大学講師、同水泳部監督

PROFILE

1967年生まれ。千葉県出身。7才から水泳を始め、中学時代は全国大会、高校時代はインターハイと出場。1984年にオリンピック出場を果たす。順天堂大学体育学部に進み、1987年にユニバーシアードにて100m背泳、400mメドレーリレーにて金メダルを獲得。1988年のソウルオリンピックでは100m背泳で金メダルに輝く。現役引退後は、積極的に海外に赴き、見聞を広める。2000年3月、帰国後、順天堂大学講師および同水泳部監督を務める。また、オリンピックや世界水泳選手権などの解説、講演、執筆、水泳教室での指導など、幅広い分野で活躍中。

鈴木 大地さんの学生時代・・・

水泳が、楽しく生きていくための手段になった

鈴木 大地さん写真
子どもの時、身体が弱かったので、姉といっしょに近くのスイミングクラブに通い始めたのがきっかけでした。とにかく身体を鍛えさせるのが両親の目的だったのでしょうね。でも、本人は大嫌いでね、寒くて寒くて、早く終わらないかなぁ~といつも思ってましたね。それがある日、水の中で目を開けられるようになって、泳ぐことが嫌じゃなくなってきたのです。それに、クラブの友だちとも仲良くなってくると、だんだん楽しくなってきました。水泳が好きになって、クラブが楽しくなると、どんどん泳ぎも上達していきましたね。
中学時代は、練習に励んでいるというより楽しく練習しているという気分だったので、全国大会にもなかなか出られなかったんですよ(笑)。
高校時代の思い出といえば、合宿や試合です。学校でも水泳部に入っていたので、学校とクラブ両方の合宿に参加したりもしました。タフだったんでしょうね。
私の通っていた市立船橋高校は、屋上にプールがあってナイター設備まであったので、学校の広い教室に、みんなで泊まって合宿しました。おもしろかったなぁ~。
大会や試合にしても水泳部の場合は団体戦が多いので、自分のタイムや勝ち負けが水泳部というチームに跳ね返ってくるんです。そこで「仲間のためにも頑張ろう!」というチームワークが生まれたし、チームワークの大切さを学びました。
 そんな中でオリンピックを意識したのは、高校2年の時。インターハイ2位までがオリンピック候補に選ばれるのですが、私は3位で悔しい思いをしました。その時コーチに「もう少し頑張れば、オリンピックに出られるぞ!」と言われたんです。俄然、それから張り切っちゃいましたね。練習での気合いや意識の持ち方も変わっていきましたから。

オリンピックは人生をより有意義にスリリングにしてくれた

オリンピックはもちろん、いろいろな大会に出場して日本や世界中の人たちと知り合えたこと、友だちができたことは一番の宝物です。みんな国や言葉が違っても、笑顔で握手して「頑張ろうね!!」と声を掛け合うんです。これがオリンピックの本当の意味ではないでしょうか。「平和の祭典」といわれているように。
そして私には、それ以上にオリンピックとは、水泳を含めた人生すべてを楽しくスリリングにしてくれたものです。1984年に初めてロサンゼルス五輪に出場し、4年後のソウル五輪で金メダルを取るまで、ソウル五輪で金メダル獲得という目標をしっかりと持つことによって、たくさんの試練を乗り越え、泳ぎ続けてこられたのだと思います。
現役を引退した今もオリンピックに深く関わらせていただいて強く思うことがあります。それは、自分がスポーツによって成長してきたという良き事実を、たくさんの人に伝えたいということ。スポーツの素晴らしさ、競技としての戦いの素晴らしさを、後人に伝えていくことが私の使命だと思っています。

鈴木 大地さんからのワンポイントアドバイス

才能、努力、精神面でのバランスの良い成長が大事

鈴木 大地さん写真
水泳選手にとって大事なことは、才能、努力、精神面がバランス良く成長していくことだと思います。もちろん、たくさん練習してタイムを上げることは大切ですが、水泳に必要な身体作りや精神面の育成も大切だと考えています。たとえば身体作りにおいては、炭水化物など力となるものを上手に摂取して栄養バランスの良い食生活が必要です。また水と親しみ、水泳を楽しめることも精神面の育成につながるのではないでしょうか。
また、水泳は全身運動ともいわれています。水泳を上達させるには、
(1)マラソン的なトレーニング
(2)筋肉・関節を鍛えるトレーニング
(3)水泳の動きに似た陸上トレーニング
などを充実させることも大切です。

泳ぎの基本をマスターすることが大切です。

鈴木 大地さん写真
クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライと泳ぎにもいろいろなスタイルがありますが、それぞれに泳ぎの基本をマスターすることが大切です。
(1)クロール
キック:上半身がブレないように、ひざと足首はムチがしなるように柔らかく
ストローク:ボディポジションをくずさない程度に頭から遠い所の肩の延長線上に入水し、かき込みはひじを十分に曲げる。
(2)背泳ぎ
キック:泳ぎの基本姿勢を維持しながらリズミカルに。両足の親指が軽く触れるくらいがベスト。
ストローク:ボートを漕ぐときのオールの動きをイメージしましょう。手のひらを外側に向け小指から入水し、腕が肩の横にきたら肘や手首をきかせて力強く水をかき始める。
(3)平泳ぎ
キック:両足をお尻に引きつけたときは狭く抵抗を少なくする。そして土踏まずでの蹴り出しは、ひざは閉じ気味、脚は開き気味がポイント。
ストローク:左右対称に円を描くようにがポイント。水をかくときひじは徐々に曲げて高い位置に、手のひらは下向きに水をしっかりとつかむ。
(4)バタフライ
キック:両脚を揃えて水を蹴るドルフィンキックは、腰を基点に脚全体をしならせるように蹴りおろすのがポイント。
ストローク:クロールと同様、ひじを高い位置に置き、肩の延長線上に指先から入水する。両手でそれぞれ8の字を描くように動かすのがポイント。
他にも泳ぎの基本には、呼吸やスイム、ここではキックとストロークについてポイントを簡単に紹介させていただきましたが、詳しい解説とポイントは私の著書「スイミング入門」(大泉書店)の中でも紹介していますので、是非、参考にしていただきたいと思います。水泳の楽しさは、技術やタイムだけでなく「いかにキレイに泳ぐか」ということも大事です。

鈴木 大地さんからみんなへメッセージ

楽しみを持って、チャレンジし続けてほしい

鈴木 大地さん写真
スポーツに限ったことではありませんが、何かに挑む、取り組むということは、自分の努力次第でいくらでも上達できる可能性を秘めています。特に高校生のみなさんには、たくさんの可能性があると思います。自分の限界を自分で作らずに、「どこまでやれるんだろう」という楽しみを持ってチャレンジし続けてください。きっといつか、自分の成長がカタチになるときがくると思います。そういった自分の変化を見るのは、すごく嬉しいことですし、楽しみなことだと思います。

※この記事は2004年9月に取材したものです。プロフィール等は取材時点のものですので、ご了承ください。

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一