【特集】山本貴司選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

アスリートからの熱いメッセージ

山本 貴司さん

山本 貴司さん

元水泳選手 オリンピック銀メダリスト

PROFILE

1978年7月23日大阪市生まれ。3歳から水泳を始める。ミスターバタフライとも呼ばれ、長らく日本の競泳界で活躍した。100mよりも200mを得意とし、うねりの少ない泳ぎを特徴としている。アトランタ、シドニー、アテネと3大会連続でオリンピックに出場。2004年、アテネオリンピックでは競泳バタフライで200m銀メダル獲得。2007年3月、世界水泳メルボルン大会の男子400mメドレーリレーで銀メダル、インターナショナル・スイム・ミート2007では男子100mバタフライで金メダル獲得。2008年日本選手権水泳競技大会終了後のプレスインタビューで現役引退を明らかにし、後日、正式な引退記者会見を行った。100m、200mバタフライ元日本記録保持者。現在は近畿大学東大阪キャンパス職員の傍ら、夕方のニュース番組でスポーツキャスターも担当している。

山本 貴司さんの学生時代は・・・

ボクはオリンピック選手になります!

山本 貴司さん写真
 競技を始めたのは、3歳からです。僕は一人っ子だったので、幼稚園に行く前に団体生活に慣れさせたいと、僕の家の前にあったスイミングスクールに行かされたんです。物心ついた頃には、水泳をやっていました。四年生くらいから選手コースにあがって、二時間ぐらい毎日練習です。でも、休憩の時に先生がマジックを見せてくれたり、楽しく遊んでるような感じでしたね。 中学生の頃からは、朝5時半から練習して、そのあと学校に行き、学校が終わったらまた練習に戻って、次の日また、朝から練習するというような毎日でした。そういう生活がずっと続きました。高校でもそうでしたし、大学入ってもそうでした。
 学校では、そんなにおとなしいほうではなかったです。よく先生に注意されて怒られましたよ。休み時間になると、友達と遊びたがる方でしたし、学生生活を楽しんでいました。文化祭でも、「コレやろうぜ!」って前に出てよく発表していた方でした。劇を作るとなれば、「こういう劇にしようぜ」とか。ある演劇会で、海パン一丁で出たことあるんですよね。海パン一丁でうつぶせにスケボーに乗って、シャーッと、押されてステージに出ていったりしていました。ようは、目立ちたがりだったんです(笑)。
 オリンピック選手になりたいという夢は、小学校のうちから持っていました。
 僕の小学校では、卒業証書をもらう前に、自分の夢をみんなの前で発表するんです。その時に「ボクはオリンピック選手になります!」って宣言したんです。でも、そのときの僕にとっては、具体性のない大きな夢だったんです。

山本貴司さんの現役時代

強い選手を倒した時の喜びが、たまらなく楽しい

山本 貴司選手写真
 初めてオリンピックに出たのは、高校三年生の時のアトランタオリンピック。世界のトップアスリートが集まる大会ですから、どんな所なんだろうっていう興味がありました。でも、初めてのオリンピックで、自分のレースに集中出きず、大きなお祭りに参加して、楽しんで帰ってきたというだけでした。しかし、初めて自分のレースでプールサイドに出て行った時の歓声は、今だに忘れられないですね。プールサイドに入った瞬間、空気も揺れるようなスゴイ歓声で、それを体全体で感じるんです。こういう環境だからこそ、とんでもない記録が出るんだなと、肌で感じました。それ以来、「決勝に残りたい」「予選であんなにすごい歓声だったのだから、決勝になったらもっとすごいはずだ」という気持ちになりました。そして、やはり決勝に残るのならメダルが取りたいという気持ちになって、目標もステップアップさせていきました。シドニーの時は、プレッシャーを感じて固くなって、本来の泳ぎが出来ませんでしたが、三度目のオリンピックのアテネでは、今までのいろいろな経験をしてきた結果を総まとめしたという形で、本来の自分の力を出す事ことができ、メダルを取るという夢も達成できました。
 僕は失敗して学んで、その蓄積で最後に大きな結果を残すタイプなんです。いきなりメダルを取れるわけではありません。常にチャレンジャーの気持ちで、「もっと上の人を倒そう」と、そのことだけを考えてやってました。まわりに自分よりも強い選手がいたから、その目標をはっきりさせることができたと思っています。そして、目標とした強い選手を倒した時の喜びが、とてもたまらなく楽しいんです。

山本 貴司さんからのワンポイントアドバイス

強い意志を持って、常に最高の自分をイメージする

山本 貴司さん写真
(1)目標を決めよう・・・目標を持ってないと、何の為に頑張ってるのか分からなくなります。まわりには、いろんな成績の選手がいると思うんですが、まずは自己ベストを更新する事を目標にしましょう。一生懸命がんばって、自己ベストを少しずつ更新していけば、それが最終的に日本のトップ選手になれたり、オリンピックに行ける選手になれたりすると思うんです。強い意志を持って練習して欲しいなと思います。
(2)きちんと休もう・・・今日はダメだなって言う時は、スパッと練習はやめるんですよ。何事もメリハリが大事です。僕は、今日は体調がキツイっていう時はすぐ休んでいました。今日は朝練行かないぞ、とか。でも朝練を休んだかわりに、昼からの練習はすごくがんばりました。人それぞれに疲れる度合いというのがあるので、勇気を持って休むっていう事も絶対必要だと思います。
(3)常に最高の泳ぎを・・・体調が悪いときに練習してしまうと、いざ試合の際に体調の悪かったときに覚えた泳ぎをしてしまうんですね。つまり楽な泳ぎをしてしまう。それをなくす為に、自分の最高の泳ぎを常に意識して継続して出来るかどうか、というところを意識して練習すると全然変わってくると思います。それから僕は、自分の理想とする人の泳ぎを何度もビデオで見てましたね。僕はアメリカの水泳選手、マット・ビヨンディに憧れていたので、彼のビデオを何度も見て、その泳ぎのイメージを頭に焼き付けてマネしたりしてました。そのうち、自分の試合を録画するようになり、自分の泳ぎを見て調子のいい時の映像を焼き付けておいて、練習でもその泳ぎを実践するように心がけていました。

山本 貴司さんからみんなへメッセージ

自分で限界を作るな、リミットを振り切って突っ走れ!

山本 貴司選手写真
 今出来る事を、思いっきり一生懸命になってやって欲しいなと思います。その時にしか出来ない事があると思うので、自分が今、夢見てる事とか、そういうものに対して一生懸命になってほしいなと思います。僕がしてきた事は、水泳でオリンピックに行くこと。その目標に向かって情熱を傾け、一生懸命練習を積み重ねてきたんですね。つまり、毎日コツコツやることが大切なんです。その積み重ねが、後々すごく大きな自分の力になって、結果として出てくるんです。毎日続けるっていう事は、すごく大変だと思うんですが、勉強にしてもなんにしても、毎日継続してやっていくと、変わると思います。また、努力をする事によって自分の限界はもっともっと先に延びていく、そう思っています。昔、コーチに「限界」と言って怒られたんですよ。努力をする事によって、自分の出来る範囲の幅っていうのが広くなっていったし、それをどんどん広げる事が大事だなと思うんです。だから「限界なんかないんですよ!限界のリミットを振り切れ!そして突っ走れ!」 と言いたいです。

※掲載内容は2010年3月の取材時のものです。プロフィール等は取材時点のものですので、ご了承ください。

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一