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シンガポール南洋理工大学(シンガポール) | |||
Nanyang Technological University | |||
高橋 由莉 さん | |||
日本の大学名 | 関西学院大学 | 日本の在籍学部 | 総合政策学部4年生(取材時) |
留学開始時期 | 2015年8月(3年生の8月) | 留学期間 | 4ヶ月間 |
学校の種類 | 正規大学 |
- 留学に参加した目的
- ジェンダー問題を勉強しており、その分野に先進的なシンガポールで学び、専門性を高めたかったことが目的の一つです。もう一つは、将来国際的に働きたいと思っているので、様々な英語(訛りがある英語)に触れることが必要だと思ったからです。
- 留学したいと思ったきっかけ・時期
- 1年生の時にJICAのプログラムでベトナムに渡航しました。3週間ベトナムで現地の方と話したり、ODAを使って支援している現場を見せていただきました。その際にアジアの面白さを知ったのと同時に、英語の多様性を磨かなければならないことを自覚しました。その事がきっかけで、留学に行きたいと思いました。
- 留学先の学校を選んだ理由
- ジェンダー問題について学びたかったので、学べるコースがあるこの大学にしました。南洋理工大学は世界でもトップランキングに入る大学で、どうせ行くならレベルの高い大学で学びたいと考えました。国としては、シンガポールの他にタイも考えていました。就職し、これからビジネスを経験していく中で、いろんな訛りの英語を聞き取れるスキルを身につけておきたいと思っていたので、アメリカやカナダではなく、アジア圏に留学し、多様な英語に触れたいと考えていました。
- 留学の目標
- 一つは、ジェンダー問題に関する知識を吸収してくることです。ジェンダー問題に於けるシンガポールの施策等を勉強してくることが目標でした。もう一つは、人生のどん底を経験してくるということでした。厳しい環境に身を置く事で、葛藤する機会が自分には必要だと考えていました。
- 留学前に準備しておいたこと
- 前期に、ジェンダー問題に詳しい先生の授業を受講しました。また、英語の論文の書き方を指導してくれる授業をとりました。後はYouTubeでインドや中国訛りのある英語を聞く機会を毎日作っていました。コーセラ(Coursera)という、ハーバード大学等、海外の有名大学の講義を無料で視聴できるサイトを使って、リスニングをしながら大事な要点を書き出す練習もしていました。
- 費用
- 交換留学制度を使って留学したので、日本の大学に学費を収め、留学先大学の学費は免除でした。大学の奨学金制度を利用させていただきました。小論文+GPA+面接を通過し50万円の奨学金を認めていただきました。それなので、実際の留学費用は10万円もかかっていません。周りにも奨学金制度を利用して留学をする学生が多かったです。
- 留学先大学の特徴
- 学術的なレベルが高い大学です。特に理系のレベルが非常に高いです。シンガポールの学生は皆レベルが高く、どこに行っても勉強スペースがあり、いつでも満席の状態でした。本気で勉強したい人には、とても良い環境だと思います。
- キャンパスの雰囲気
- シンガポールの端にあるキャンパスなので、のどかで緑が多かったです。大学にスーパーマーケットもあります。図書館は4つか5つあるので勉強するスペースは多かったです。留学生はイギリス、スウェーデン等、ヨーロッパの留学生も多く、日本人は10名くらいだったように思います。学生は勉強以外にもスポーツをしている人が多く、正に文武両道という印象でした。周りの学生は勉強に非常に熱心で、単位は取れて当たり前。かつA+をとらないと意味が無いと考えでした。
- 留学生へのサポート
- 学校には、困ったことがあったらサポートしていただけるセンターがあります。テストが終わった後の認定書の事を聞きに行ったり、履修の仕方を教えてもらいました。寮にもスタッフがいて、困ったことは聞けましたが、どちらも現地の方で日本人スタッフはいませんでした。
- 履修した授業について
- 履修した授業は、1セメスター(半期)で、Chinese language level1(3単位、中国語)、Working in the 21st Century(3単位、職場でのリーダーシップや多様性をどう認容していくかを学ぶ)、Sociology of gender(3単位、ワーキングマザーの仕事と家庭の両立、国家の政策等)、Gender in history(3単位、東南アジアの歴史におけるジェンダー問題)の4科目を受講しました。Sociology of genderは週2回で1.5時間のレクチャー(講義)と1.5時間のチュートリアル(ディスカッションで内容を深める)で構成されており、毎週1000字のエッセイがある等、ハードな内容でした。Gender in historyは週1回で3時間のチュートリアルのみの授業でした。歴史の知識や専門用語が多い授業だったので、ついていけるように、ディスカッションの内容は事前に資料を読み込む等準備をしっかりしていきました。
- 1日の流れ
- 8:00 起きる、準備、食堂(キャンティーン)で朝食
9:00-12:00 授業
12:00-13:00 ランチ
13:00-15:00 勉強
15:00-18:00 授業
18:00-20:00 夕飯、お風呂
20:00-24:00 勉強(課題が多い、資料30ページの読み込み等) - 単位について
- 1セメスターで12単位取得し、日本の大学でも12単位に認定されました。Chinese language level1は、最後にペーパーテストと中国語のビデオを作るという課題がありました。他の授業は、基本ペーパーテストと論述のテストがありました。
- 留学で得たこと
- 「英語にスタンダードはない」ということを感じました。英会話CDはアメリカ英語やイギリス英語がスタンダードですが、中国語訛りもインド訛りも全て英語です。それを認容できるようになったことはこの留学で得たことです。後は、何事も軸を持ってやり通すことの大切さを得ました。授業が辛く感じた時も、自分は何の為に留学したのか、自分の軸を思い出し、やり遂げることができました。
- 語学力はどれくらい上がったか
- TOEFL ITP 550→TOEIC 830(TOEFL ITPとTOEICを受ける)
4ヶ月で英語力が飛躍的に伸びた訳ではないと思いますが、色々な訛りのある英語を聞き取る力がつきました。 - 留学を将来どのように活かしたいか
- 重工業関連に就職が決まったのですが、将来、途上国や太平洋地域を良くしていくことに貢献していきたいです。ツールとして英語を使い、国際的に活躍できる女性リーダーになりたいと思います。
- 一番苦労したこと、それをどう乗り越えたか
- 日本人であることが嫌になった時期がありました。欧米圏から来ている留学生は英語が話せることが当たり前。文化の違いが国の中にあることも当たり前の環境です。一方日本は、英語も第二言語として、がんばって学んでいるという人が殆どで、国も日本人がほぼ占めています。留学して当初に、英語が聞き取れない中、そのような環境のギャップがあり、悩んだ時期がありました。そんな時に、周りの留学生が日本のこういう所が好き、と言ってくれたり、「がんばっているよね」と私自身を肯定してくれたことによって、徐々に前向きになっていきました。後、知らぬ間に、英語を話しているからと変に力が入ってしまっていた事に気づき、素の自分でいいんだと思えるようにもなりました。
また、シンガポールは、「シングリッシュ」と言われるくらい、英語の訛りがとても強く、やはり最初は聞き取れないことが多かったのですが、現地の友達に「シンガポールは建国100年位で、あまり文化がない。この英語の訛りも文化の一つだから大切にしている」という深い話を聞き、私はせっかく留学でこの国にいるので、「その国の文化を大切にしたい」と思うようになりました。訛りがあるから嫌、ではなく、それを話している人はどう思っているのか、それを認容するとはどういうことか等見方を変え、自分とは違うけど受け入れようとすることが大事だと思いました。
- 留学中の就職活動はどのようなことをしていたか
- 特別していませんが、シンガポールでは色々なビジネスをしている方がいらっしゃり、何人かご飯を一緒に食べてお話を伺いました。また、シンガポールにある総合商社のセミナーも受講されていただきました。
- 留学を就職活動でどう活かしたか
- 留学でアジアを選んでいることに関心を持っていただくことが多かったです。留学先の国を選んだ理由、どういう勉強がしたかったか等、留学をした目的の話に興味を持っていただきました。また、多様な英語を受け入れたいというお話には、同意してくださる企業の方が多かったように思います。
- 休日の過ごし方
- 朝からお昼過ぎまでは買い物や遊びにいき、帰宅後、夕飯まで勉強していました。
- 寮・ホームステイ先の雰囲気
- 寮では、現地の学生を中心に、ヨーロッパ系、アジア系等国際色豊な学生と生活を共にしました。日本人は私の寮にはいませんでした。
- 寮やホームステイの選び方
- 大学が寮を新しく追加し、運良く枠が空いていました。枠が空いていました。日本の大学の国際協力センターに大学に寮に入りたいという旨を伝え、ホームーページで現地に申込みをし、抽選で寮が決まりました。寮は設備もいいし、家賃も安く、他の国の学生と触れ合えことが魅力でした。
- 日本人との接触
- 普段は他の国の留学生か現地の友達と過ごしていました。サークルや休みの日は日本人といることもありました。日本人留学生が、どういう目的で来て、将来どうしたいのか等を話す事によって、学ぶことも多いので、日本人を完全シャットダウンするのはもったいないと思います。
- 学校の授業以外の課外活動
- 日本語を学んでいる人や、日本文化が好きな学生が集まり、日本文化を学ぶサークルに入っていました。日本人スタッフ10名位と、後は現地学生や留学生が10名位のサークルでした。日本のメイクやヘアーアレンジをして日本の若者の流行を体験してもらうイベントは大変盛り上がりました。
- 留学先の町について
- 治安は日本と同じ位良いと思います。一人で夜道も歩けました。キャンパスは国の端っこでしたが、都心に行くのも1時間以内と、どこに行くにもアクセスが良かったです。
- カルチャーショックを受けたこと/ホームシックになったか
- 英語の訛りの強さには最初は驚かされました。食事等、生活面での大きなカルチャーショックはありませんでした。最初の2週間は英語も聞き取れず、ホームシックになりましたが、帰国前は日本に帰りたくないと泣きました。
- 留学中のトラブル、困ったこと
- 現地でインフルエンザにかかりました。保険に入っていたので、無料で治療できました。保険の重要性を実感しました。渡航の際に貰ったパンフレットに掲載されていた、日本語が話せるスタッフがいる病院を探して行きました。周りの友達が食料を持って来てくれたり、タクシーをよんでくれて助けてくれました。
- 留学に行くなら、目的を持って行ってください。なぜ留学するのか、そこで何をしたいのか、何を学びたいのか、目的を明確にしてください。目的を持って留学に行く事で留学先で悩んだ時に軸になったり、今後の就職にも活かされると思います。後は、どれだけ受け入れがたいことがあっても、その国やその人の考え方を認容することが大事だと思います。