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多摩大学
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トップ・学校インタビュー
野田一夫 氏
本当の人生は大学を卒業してから始まる
多摩大学 名誉学長・学長代行
野田一夫 氏
学生一人ひとりの人生目標達成に対してきめ細かいサポートに努める
どの大学でも、入学式の学長挨拶の冒頭は「入学おめでとう」ではじまるものが慣例ですが、私は昔も今も敢えて言いません。なぜか? 新入生が必ずしもその後の多摩大学での学生生活を本当に満足して送ってくれるとはかぎらない上に、多摩大学の伝統である独自の理念と制度に照らし、学長が中途で退学を勧告せねばならぬことさえあるからです。

したがって私は、全ての学業をつつがなく終えて卒業していく学生諸君が、4年間を振り返って本学の学生であったことに心から満足してくれた時、初めて「おめでとう」と言います。しかし実は、本当に私が「おめでとう」と言いたいのは、学生たちが本学を卒業した後に職業人として20年、30年、いや40年、50年の人生を送ってからなのです。
もちろんそれまで私が生きているはずはありませんが、卒業生が中・高年に達した時、人生を振り返って満足し、「こうした人生を送れたのは、若い頃多摩大学で学んだおかげだ」と思ってくれたなら、私はその時こそ彼らに心から「おめでとう」と言いたいのです。なぜなら、皆さんの本当の人生は大学卒業後何らかの職業に就いてから始まるからです。

しかも人間の幸せは、人それぞれの個性を人生で思う存分発揮することなくして得られませんが、職業こそは人それぞれの個性を社会と結びつける唯一の媒体であることを、今ここではっきり認識してください。趣味は確かに人生を豊かにしてくれます。が、職業への満足あってこそ趣味は人生を豊かにするのであって、決してその逆ではないのです。私は折に触れ繰り返し本学の学生に対し、「…学業のみならず、交友、読書、遊び、旅、思索…青春のあらゆる機会を通して自分自身を知り抜き、自分の個性を最大に発揮できる職業を選択し、自信と希望に満ちて社会人になってほしい」と訴えます。始めは僕の訴える意味の分からなかった学生諸君も、やがて必ずそれを理解するようになっていきます。

もう一つ。多摩大生には学業にせよ部活動にせよ多摩大のキャンパスに囚われることを私は勧めません。多摩大学はキャンパスも広くなく、学生数も少ないのですが、幸いなことに、経済的にも文化的にも世界有数の大都市である東京の近郊に立地しています。多摩大生は、自分たちのキャンパスは東京、いや首都圏だと自負して学生生活を送るべきです。つまり、理想的な多摩大生とは、常に知的関心を東京に向け、そこで日々開催されている知的イヴェント(内外名士の講演会や他大学の名物教授による講義も、一流のコンサート・美術展・映画や演劇も…)を通して知性と感性とを磨く青年です。多摩大学教員にとって、これらのイヴェントは自らの講義にとって最大の競争相手であってほしいのです。

学長である私の学生諸君への希いは、多摩大学教職員の共通の希いであるはずです。多摩大学は、小さい大学であることを最大の利点と自覚し、教職員全員が上述の理念の達成に総力を結集することによって、学生一人ひとりの人生目標達成に対してきめ細かいサポートに努めるつもりです。これこそが多摩大学の最大の特徴であり、また誇りなのです。人生はたった一回しかありません。だが、この当たり前の事実に多くの人が気づくのは、もうやり直しがきかなくなった中高年になってからのこと。だからこそ、青春を過ごす大学時代は、人生にとってこの上もなく重要な時代です。どうかそのことを徹底的に考えた上で納得して進学先を選んでください。諸君それぞれの素晴らしい人生の創造を祈ります。
野田一夫 氏
野田一夫氏プロフィール
東京大学社会科学科卒業後同大学大学院特別研究生、立教大学教授を経て多摩大学初代学長、宮城大学初代学長を歴任。現在財団法人日本総合研究所理事長、財団法人社会開発研究センター会長、多摩大学名誉学長・学長代行。
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