堤 幸彦さん(学校法人東放学園 卒業)
映画監督。オフィスクレッシェンド所属。 『真田十勇士』 『RANMARU 神の舌を持つ男』 『天空の蜂』『イニシエーション・ラブ』 『エイトレンジャー』『SPEC』『トリック』 ほか。

価値観を壊し、前に進む。
そんなクリエイターをめざしてほしい

7.1chサラウンドの劇場で、1,800円を払って観てもらうからには、映画には何か “心のおみやげ” が必要なんです。『RANMARU 神の舌を持つ男』もくだらないようで、実はピリッと辛いメッセージが込められています。それを声高にいうとカッコ悪いけど、鑑賞後に感じとってもらえたらうれしいですね。

1980年代に秋元康さんと出会い、クリエイター集団・SOLD OUT を起ち上げました。あらゆるメディアに挑戦するなかで、僕は芸術家としてではなく、非常にカジュアルに映画を捉えるようになっていったんです。『金田一少年の事件簿』は、はじめて自由にドラマと向き合えた作品。商業的にも成功し、その後の作品作りの基礎になりました。続く『ケイゾク』『トリック』を含めた 3 作品が僕にとって一番の転換点でしょうね。

東放学園には、70年代の終わりに入学しました。佐久間義彦先生(現東放学園名誉校長)が行った授業は強烈に印象に残っています。レンタルビデオもない時代に、先生は自ら映写技師の資格を取り、あらゆる映画を僕らに観せてくださった。はじめて “本当に教師らしい教師に出会った” と思いましたね。

先生が上映してくれた先人たちの傑作には “常に価値を壊しながら前に進んでいく姿勢” がありました。映画の世界をめざすみなさんには、これだけ映画が自由につくれる時代だから、信じる道を進めとしかいいようがないです。かつての僕らがそうだったように、今度はみなさんが “目の上のたんこぶ” の僕らを放逐して、自分たちの文化をつくりあげてください。