造形学部 日本画学科
伝統的な技法、美意識を学んだ上で、
日本画を入口とした個性豊かな新しい表現者を育てる
学部・学科・コースについて |
日本画は、東洋独自の感性と空間意識によって表現された絵画です。光と影で量感をとらえる西洋画に対し、ものの輪郭や質感を大事にして描きます。画材や技法には簡単に習得できないものもありますが、だからこそ奥深く魅力的な絵画表現といえます。日本画や日本について深く考える過程を大切にしながら、日本画を入り口とした、個性豊かな新しい表現者を育てたいと考えています。
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カリキュラム |
■学生と教員が、表現者という同じ立場で対話する 東洋独自の文化を背景に、現代の多様な価値観の中で思考・創造する表現者の育成を目指します。 1、2年次では、日本画の基礎知識と造形力を養い、自由な表現へ向かうために基礎力を習得。 3、4年次は斬新で新しい表現を目指して、専門性の高いカリキュラムに取り組みます。 学生との対話を重んじ、全教員から指導を受けることができるのが特徴です。
●1年次 用具の説明、絵具の溶き方など日本画の最も初歩的な基礎技法を学びながら、植物写生を行います。墨による鉄線描から制作に入り、次いで風景写生制作へと進みます。人体デッサンでは把握力を強め、また古典模写により日本画における線描を学びます。また他学科との授業交換により、様々な表現方法を学び基礎表現力を身に付けます。
●2年次 動きが速く、形を把えることが難しい動物制作を行うことによって、忍耐強い観察力を養います。次に、人体デッサン及び人体制作で、造形としての表現力を体得してゆき、古典模写によって日本画の線、空間に対する認識を深めます。特別講義箔指導では、金銀箔、砂子、切金等の伝統技法を学び、日本画独特の造形思考を実践して習得します。
●3年次 3年次からは各自の主体性を重視した自主制作となります。それぞれがテーマやイメージを探したり、表現方法に挑戦したりと、この時期は失敗を恐れずに、積極的に自身の制作に取り組みます。古典研究や写生旅行、12号館地下展示へ向けての展示ゼミも行います。
●4年次 自由なテーマによる百号制作では大きな画面と取り組み、卒業制作への大切なステップとします。卒業制作は発想下絵(エスキース)の段階から充分に準備し、構想を練り個別の指導を行います。4年間の成果を確認する重要な課題であると同時に、生涯の方向を決定する最初の道標として人生の基点となる作品制作となります。作品は、全学的規模で開かれる卒業制作展に出品されます。
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卒業後、就職について |
■卒業後の進路 作家活動、大学院進学、海外留学など、多岐にわたります。学校教員や講師、学芸員などの他、デザインやアニメーション、ゲーム会社へ就職し、デザイナーとなる卒業生もいます。
■主な就職先(2014~2016年度実績より抜粋) 【出版・印刷・広告・デザイン事務所】アクア/東栄広告 【展示・装飾・ファッション・TV・映画】テレビ山梨/鞄工房山本 【製造業】良品計画/ブルーブルーエジャパン/鞄工房山本 【建築・インテリア・住宅】東急リバブル/ディーワークス 【アニメ・CG・ゲーム】任天堂/カプコン/ジェー・シー・スタッフ/マーベラス/メトロ 【情報通信業】あとらす二十一/イクシール 【公共的事業】東京都教員/特定非営利活動法人 道 【造形・工芸・画廊】糸あやつり人形 一糸座
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資格について |
■取得可能な資格 中学校教諭一種(美術)教員免許 高等学校教諭一種(美術、工芸)教員免許 学芸員
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独自の学習システム |
■特別講義A(古典技法・素材実習) 古典技法・素材実習として箔指導、裏打ち指導、筆制作指導、和紙ゼミが通年で行われます。 ●箔指導 箔師である遠藤典男氏による箔についての説明と基本から応用までの技法に関する講義です。 ●裏打ち指導 装こう師である遠藤三右衛門氏による裏打ち指導です。大作及び絹本への裏打ち指導を行います。 ●筆指導 筆職人、清晨堂阿部信治氏による日本画の筆の製作工程に関する講義です。ここでは、学生が実際の原料で各自筆作りを学びます。 ●和紙ゼミ ロサンゼルス在住のアートセンター・カレッジ・オブ・デザイン教授、池崎義男氏による手漉き和紙の講義と実習です。和紙の原料である楮を煮ることから始まり、各自大小の手漉き和紙の制作工程を学びます。又、世界の手漉き紙の紹介と講義があります。
■特別講義B(作家によるレクチャー) 国内外で活躍する作家、他大学教員、研究者などを招きアトリエ指導と共にレクチャーやワークショップを実施しています。又、日本画学科客員教授によるゼミ講義、非常勤講師によるレクチャーもあります。
■12号館地下展示ゼミ実習 学部4年生大学院生有志による12号館地下展示ゼミを毎年開催しています。これは学生たちが自主的に展覧会の運営、企画、広報などに携わり、担当教員と相談をしながら毎年5月に開催するものです。会期中に学外の美術館学芸員、美術評論家、及び学内他学科の教員をゲストに招いて、公開講評会を行います。
■古美術研究旅行 日本各地に点在する神社仏閣を訪れ、様々な障壁画や仏像、古美術の研究を行います。これまでに京都や奈良のほか、那智や高野山、琵琶湖湖北などでも研修を実施しました。京都・奈良旅行では武蔵野美術大学奈良寮に宿泊します。
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