【特集】三宅宏実選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

三宅 宏実選手 プロフィール

三宅 宏実選手

ウエイトリフティング選手 いちごグループホールディングス所属
ロンドンオリンピック 48kg級銀メダリスト

PROFILE

1985年11月18日生まれ。埼玉県新座市出身。父・義行はメキシコオリンピックの銅メダリストで、伯父も東京・メキシコオリンピックの金メダリストという環境で育ち、中学3年生から重量挙げを始めた。埼玉栄高校時代は全国高校女子選手権53kg級で優勝、その後も2003年の全日本選手権で初優勝を飾る。2004年に父と伯父の母校でもある法政大学に入学。2004年の全日本選手権48kg級で優勝しアテネオリンピックに出場、親子2代でオリンピック出場を果たした。2006年は世界選手権で銅メダル獲得、世界大会初の表彰台を経験した。2008年からいちごグループホールディングスに入社し、ウエイトリフティング部に所属。2008年には北京オリンピック出場、6位に入賞した。そして2012年、3度目となるロンドンオリンピックに出場、48kg級で日本記録を更新し見事、銀メダルを獲得。日本五輪史上初となる父娘メダル獲得を果たした。

三宅 宏実選手の学生時代は・・・

毎日、父がマンツーマンで指導してくれた

三宅 宏実選手写真
 私がウエイトリフティングを始めたのは、中学3年生の時ですから決して早くはなかったと思います。それまではスポーツでは軟式テニス、他にもピアノをやっていました。父も、そして兄もウエイトリフティングをやっていたのですが、私は全く興味がなかったんです。でも中学生の時、テレビでシドニーオリンピックの女子ウエイトリフティングを観て、すごく感動しました。ちょうどシドニーオリンピックから女子の競技種目となりましたが、女性でもこれだけできるんだということに、すごく感動したのをよく憶えています。このことが競技に興味を持つきっかけになり、私もやってみたいと思うようになりました。はじめに相談したのは一番上の兄ですが、あっという間に家族に知れ渡っていました。父は驚いていましたが、母はちょっと反対していましたね。やはり父や兄の現役時代を見てきたので、できれば女の子にはそんな辛いことをさせたくないと思っていたようです。
 中学3年生で始めた頃は、周りにあまり練習環境がなかったので自宅で父に基礎を教わっていました。本格的に始めたのは、埼玉栄高校に入学してウエイトリフティング部に入ってからでした。栄高校はスポーツの盛んな学校で、私の高校時代もほとんど部活に明け暮れていました。友達と遊んだりすることはあまりなかったのですが、好きなスポーツをやっているという楽しさと充実感があったので、練習も辛いとは思いませんでしたね。
 高校時代は授業が終わると、毎日、父が学校にきてくれてマンツーマンで指導してくれていました。この競技を始めるまでは、ウエイトリフティングの魅力とか、父のメダルの重さなどもあまりわかっていなかったのですが、自分がやってみて初めて大変さやオリンピックに出場することの難しさが解ってきた気がします。改めて父への尊敬の気持ちが強くなりました。それに授業と寝るとき以外は、ほとんど一緒にいる時間が多いので、私のことを一番理解してくれているのが父だったと思います。競技のことにおいても、体調面においても、やはり一番のアドバイザーですね。ただ練習では厳しい指導者ですが、家に帰ると優しい父親ですね(笑)。

父の母校・法政大学へ、そしてオリンピックへ

オリンピックで、もう悔しい思いはしたくなかった

三宅 宏実選手写真
 競技を始めたときに父と約束したのが「オリンピックでメダルを取ること」でした。だから高校時代の大きな夢は、やはりオリンピック出場でした。でも、まだまだ初心者でしたから、まずは高校生チャンピオンになること、そして自己新記録を少しずつ伸ばしていくことが目の前の目標でした。高校時代に全国高校女子選手権で優勝すると、次は全日本選手権優勝が新たな目標になりました。2003年に高校3年生で日本チャンピオンになって、初めてオリンピックが確かな目標になりました。翌年がオリンピックだったし、自分の記録も着実に伸びてきていたので挑戦の時だと感じていました。
 でも高校3年生の時、右肘靱帯損傷という大きな怪我を経験しました。今までで一番辛い時期だったかもしれません。スポーツ選手にとって怪我はつきものですが、痛さはもちろん、練習できない辛さや気持ちの焦りもあります。でも怪我による問題はアスリートならみんなが持っていると思うので、焦らずに上手につきあっていこうと考えられるようになりました。
 そして2004年、夢だったアテネオリンピック出場が決まりました。オリンピックは1年に一度の世界大会とはやはり違って、4年に一度というビックスケールを感じますね。全世界の人たちが注目するスポーツイベントですから。でもアテネの時は、オリンピックを知るだけで終わってしまった感があります。2回目の北京では減量などいろいろな経験をして臨みましたが、やはりまだ自己管理ができていなくてメンタルの弱さが出た結果になりました。そして回を重ねて挑んだロンドンでは今までの経験を全て生かすことができたと思います。何より過去2回では結果が出せなかったので、「あんな悔しい思いはしたくない。今度こそ笑顔で胸を張って帰りたい。」という思いが強かったんです。だからこそ自分でも悔いなく練習にも励めたし、たくさんの方々のサポートもあり、銀メダルを手にすることができました。そして帰国して、たくさんの方に「感動をありがとう」という言葉をかけてもらえたことも大きな喜びでした。

三宅 宏実選手からのワンポイントアドバイス

毎日の反復練習が必ずプラスになる

三宅 宏実選手写真
 私がウエイトリフティングを始めたのが中学3年生。始めたのも遅かったので、最初のころは競技のための体作り、基礎がほとんどでした。当時の練習で心がけていたことは・・・
(1)基礎体力を作る・・・どのスポーツでも必要なことですが、特にウエイトリフティングに必要な体、筋肉を付けることが大事です。そのためには走ることから始まり、腹筋や背筋、スクワットなど筋肉トレーニングで基礎体力を付けるようにしてください。
(2)基本の形をおぼえる・・・競技種目には「スナッチ」と「ジャーク」の2種類があります。まずは、シャフト(おもりを付ける軸棒)を使って、それぞれの形をおぼえること。それには毎日の反復練習が一番重要だと思います。
(3)重量を上げる・・・形(フォーム)をおぼえたら、次はシャフトにおもりを付けての練習です。このとき無理をせずに正しい姿勢で徐々に重量を増やしながら挙げるようにしてください。
(4)ウォーミングアップ・・・これは練習に入る前に、必ずやるようにしてください。マット体操などで体を温めて筋肉をほぐしておく。そして練習前後のストレッチも欠かせません。

以上が初心者に心がけてほしいポイントですが、大事なのは毎日の練習です。1日ではできなくても、毎日続けていくことで必ず技術は身についていきます。そのことを実感しながら頑張って練習してください。
 ウエイトリフティングという競技は、まだまだ練習環境に恵まれているとはいえません。私の場合は身近に良き指導者がいましたし、高校にはウエイトリフティング部がありました。でも、そういった環境が全国でも整っているわけではありません。今回のメダルが競技の普及、そして練習環境の向上につながればうれしいですね。

三宅 宏実選手からみんなへメッセージ

諦めないで、やり続ける!

三宅 宏実選手写真
 私はシドニーオリンピックを観て、競技に感動して始めました。そして夢はオリンピックのメダルでした。もちろん決して簡単なことではありませんでした。練習においても、人と同じことをしていたのではみんなと同じところで終わってします。それよりも上を目指すのであれば、人よりも2・3倍の努力をしなければいけないと言われてきました。その過程には怪我もありました。失敗もありました。でも諦めないでやり続けたからこそ、今回の銀メダルにつながったと思います。
 そして2013年は、私にとって挑戦の年にしたいと思っています。練習の中で今までできなかったこと、たとえ小さなことでもクリアできるようにしていきたいです。また、自身が持つ日本記録を1kgでも更新できるように頑張りたいですね。
 みなさんも夢をたくさん持ってください。スポーツでも芸術でも何だっていいんです。そして夢に向かって、諦めないでやり続けることが大事なんです。失敗を恐れずに、チャレンジし続けてください。その先に、達成したときの大きな喜びが必ずあるはずです。

※プロフィール等は2013年2月時点のものです。

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八木 かなえ選手
八木 かなえ選手(ウエイトリフティング選手)
高校時代の頑張った経験が、私の大きな自信になった

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一