PROFILE
1994年10月10日生まれ。北海道苫小牧市出身。地元のジュニアクラブで7歳から卓球を始める。小学校時代からその才能を発揮し、11歳でU-18日本代表に選出、6年生の時には全日本選手権ホーブスで優勝。中学校から卓球の名門、青森山田中学高等学校に進学し、ジュニアの国内大会で数々の優勝を経験し、2009年3月の東京卓球選手権大会では国内シニア大会の初優勝を果たす。そして同年、世界卓球選手権個人戦に日本男子史上最年少で代表に選出された。2010年はシンガポールユースオリンピックでシングルスと混合団体で金メダルを獲得、2011年は世界ジュニア卓球選手権・男子シングルスで日本人2人目となる優勝を果たした。2012年は世界卓球選手権の団体で銅メダルを獲得し、ロンドンオリンピックにも初出場した。オリンピック直後から卓球ブンデスリーガに参加し試合経験を重ね、2013年の全日本卓球選手権で初優勝を果たした。また世界卓球では2014年の男子団体、2015年のダブルスで銅メダルを獲得。そして2016年、2度目の出場となるリオデジャネイロオリンピックの団体戦で、日本男子初の銀メダルを獲得した。丹羽 孝希選手の学生時代は・・・
青森への進学は、自分と卓球にとって一番いい環境だったから
進学については父も僕の意見を尊重してくれていました。自分とこれからの卓球にとって一番いい環境。それは自分よりも強い選手が沢山いる青森山田中学高等学校だと自分で決めました。実家を出て寮生活になって、一番寂しかったのは弟と離れることでした。いつも別れ際に弟が泣くんですよ。それを見ると、弟に寂しい思いをさせてまでやるんだから、必ず結果を出さないといけないと自分にも言い聞かせていました。青森山田では卓球が中心の学生生活でしたが、同級生のライバルをはじめ先輩には日本代表のトップ選手も沢山いて、そんな選手達と一緒に練習できることが大きな刺激でした。また、中学になって卓球も強くなってくると海外遠征なども多くなり、どうしても学校を休むこともあり修学旅行も遠くには行けませんでしたけど(笑)。青森山田はスポーツでは有名校でしたから、僕が入ったスポーツクラスには同じように他県から来て寮生活をする仲間がたくさんいました。
大きなターニングポイントになった二度のオリンピック
ロンドンでの経験が、4年後のメダルにつながったと思う
ブンデスリーガはプロリーグなので選手の意識というか覚悟も違うし、プレースタイルも日本や中国に比べて自由なんです。そのせいか、調子が悪かったり負けていたりするとラケットを投げつけたりして気分的にもムラのある選手が多いですね。でも一番の違いは、選手はみんな卓球で生活しているということ。日本の選手は企業に入ってプレーする場合がほとんどですから、意識のうえでも違いはあると思います。
またブンデスリーガは毎週試合があるので試合感覚も良くなったし、毎週トップ選手と試合ができたことが自分の力になりました。ロンドンオリンピック直後から約2年間参加していましたが、ドイツでの生活ははっきり言って面白くはなかったですね。毎日卓球の練習と、ネットで日本のテレビを見ていました(笑)。でもブンデスリーガへの挑戦は、4年後のリオを視野に入れてのことでした。もっと強くなりたい、その思いだけでした。そして二度目のリオデジャネイロオリンピック、一度目のロンドンは浮かれていた自分がありましたが、今度は最初からメダルを取るつもりで行きましたから開会式にも出ませんでした。オリンピックを楽しむよりも、試合に集中できたのもロンドンがあったからかもしれません。特にオリンピックとは自分だけの結果じゃなくて、日本チームとして出場するわけで、出られなかった選手の思いも背負っているからこそメダルの価値があるんだと思います。
丹羽 孝希選手からのワンポイントアドバイス
基本ができなければ、その先に進むことはできない
(1)ランニング&縄跳び・・・どんなスポーツでもウォーミングアップというか、体を起こすための準備運動は大事だったと思います。中でもランニングや縄跳びは、体をほぐしながら温めるいい効果があるし、基礎体力を養う上でも大事だと思います。僕は毎日授業の前に朝30分ほど走っていました。
(2)卓球の基本練習・・・高校時代には一番大事な練習だと思います。ラケットをもってサーブやレシーブといった基本の動きを身につけること。特にワンコースに打ち込むという練習をよくやりました。卓球はミスをすると負けてしまうので、いいボールでも連続しないと意味がありません。確実に打てる技術を身につけることが一番です。中国選手も、子供の頃からこの基礎練習に重点を置いています。それが中国の基本技術の高さなんです。
(3)フットワーク練習・・・卓球は狭いスペースで敏速に動かなければなりません。そのためには瞬発力やフットワークがすごく大事になってきます。特に横の動きが重要なんです。普段の練習でフットワークを鍛えるメニューを入れるようにして下さい。
特に初心者の方にアドバイスしたいのが、ワンコースに確実に打ち込む練習です。バックハンドでもフォアハンドでも、動かずに打つことから身につけて下さい。この基本動作ができなければ、先に進めないと思います。また、練習時間に集中し、終われば体を休めること。それが怪我をしないことにもつながります。
※プロフィール等は2017年8月時点のものです。
2/2ページ