【特集】宇野昌磨選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

宇野 昌磨選手 プロフィール

宇野 昌磨選手

フィギュアスケート選手
中京大学在学中 トヨタ自動車所属
2018年平昌オリンピック・フィギュアスケート男子シングル銀メダリスト

PROFILE

1997年12月17日生まれ。愛知県名古屋市出身。5歳からスケートを始め,後に山田満知子氏、樋口美穂子氏から指導を受ける。ジュニア時代から2009年から全日本ノービス選手権二連覇や、インスブルックユースオリンピック銀メダルなど頭角を現す。そして2014〜2015年シーズンは全日本選手権銀メダルをはじめ、アジアフィギュア杯や全日本ジュニア選手権、ジュニアグランプリファイナルや世界ジュニア選手権と次々と優勝をおさめ、その活躍ぶりが注目された。2015〜2016年シーズンよりシニアに移行し、いきなりグランプリファイナル3位、全日本選手権2位という好スタートを切った。そして2016〜2017年シーズンは全日本選手権で初優勝を飾り、四大陸選手権で銅メダル、世界選手権では銀メダルを獲得するなど、素晴らしい飛躍ぶりを見せた。翌2017〜2018年シーズンを前にトヨタ自動車の所属となる。そして迎えたシーズンは、グランプリファイナル2位、全日本選手権二連覇という記録を手に初のオリンピック出場を決めた。平昌オリンピックでは初出場ながら、羽生結弦選手の金に続き銀メダルを獲得し日本中を湧かせた。また、史上初の4回転フリップを成功させたスケーターとしてギネスに認定されている。

宇野 昌磨選手のジュニア時代は・・・

9歳で刺激を受けた、高橋大輔選手の表現力の豊かさ

宇野 昌磨さん写真
 子供の頃に何度かスケートリンクに遊びに行っていたら、浅田真央さんと知り合うようになったんです。まだ5歳くらいの時でした。男の子なのに声も高かったし、見た目も女の子っぽかったからか(笑)、声をかけてもらったのかもしれません。そんなきっかけもあって大須スケートリンクの教室に通い始め、教室を卒業するときには真央さんと同じフィギュアスケートを選んでいました。何故フィギュアがいいと思ったのかは忘れちゃいましたが、あまり感情や思いを口にしない僕が、「また行きたい!」と言ったのは珍しいと家族は思ったそうです。ただ、フィギュアを楽しいと思っていたかどうかは別として、刺激を受けた選手はいました。9歳の時です。2006年の全日本選手権で高橋大輔選手の「オペラ座の怪人」を観て、「こんな選手になりたい」と思ったんです。当時の僕はジャンプが得意とは思っていなかったので、高橋選手のような素晴らしい表現力に憧れていました。また、この大会では男子で唯一の花束スケーターもやっていたんです(笑)。
 ジュニア時代から山田満知子先生や樋口美穂子先生に指導していただき、全日本ノービスから始まり全日本ジュニア選手権など様々な大会に出場していました。ノービス(12歳以下)で連覇したり、2011-2012シーズンからはジュニアグランプリにも参戦していましたが、「滑りたい!」とか「楽しい!」という感情はそんなに無かったです。ただ当時から学校よりもスケート重視の生活だったので、滑らないという選択肢はなく、スケートをやらなければいけないという使命感を持っていた気がします。だから学校よりも自然とリンクにいる時間の方が多くなり、同じリンクにいるスケーター同士がすごく仲良くなるんです。特にフィギュアスケートは年齢の上下関係も無く、すごくフレンドリーでした。僕はたまたま同年代がいなくて年上の選手が多かったので、羽生結弦選手や日野龍樹選手、田中刑事選手など先輩方によく可愛がってもらいました。

ジュニアからシニアに、そして平昌のリンクに

オリンピックよりも、実は全日本選手権の緊張感がすごい!

宇野 昌磨さん写真
 フィギュアスケーターとしての道を決めたのは、小学校4年生くらいだったと思います。それからは学校よりもスケートという毎日だったので、実際、中学や高校時代もあまり学校に行けず、学校の友達はほとんどいなかったですね(笑)。なので、人と話すことも少なくて、いわゆる先輩に対するマナーや言葉遣いも知らなかったんですけど、そんな社会の常識やマナーを、親切に教えてくれたのはスケートの先輩方でした。リンクでは先輩であり、兄や姉のようであり、また先生でもありました。小学生時代から今まで、本当にスケートしかしてこなかったけど「普通の学生のように遊びたい」と思わなかったのは、その時の環境やスケート仲間にすごく満足していたからだと思います。
 ジュニアの頃は「将来の夢は?」と聞かれたら、「オリンピックです」と答えていました。そう答えた方がいいと教えられていたので(笑)。でも実際には、オリンピックを目標にしてきたことはなくて、その時々にやりたいことをやってきただけ。全日本や世界選手権と同じ、オリンピックもひとつの大会だと考えていました。なので特にオリンピックだからと意識もしなかったし、異常に緊張することはなかったです。今滑ることが楽しかったから夢中になれた。その結果、銀メダルをとることができましたが、試合中よりもセレモニーよりも、帰国後の日本での注目度に一番ビックリしました。
 僕にとって、実はオリンピックよりも緊張するのが全日本選手権です。日本はレベルが高く、特に3、4年前は高橋選手や小塚選手がいて会場内の張りつめた緊張感はすごかったです。いつもリンクの中央でポーズをとると、観客席まで息をのむようにシ〜ンと静まりかえって、選手だけじゃなく観客皆さんの真剣度も伝わってくる気がしてすごく緊張します。

宇野 昌磨選手からのワンポイントアドバイス

がむしゃらにやり続けることで、見えてくる何かがある

宇野 昌磨さん写真
 フィギュアスケートは、他と比べたらスポーツ性と芸術性が同じくらい評価される競技です。それは、ジャンプやスピン、ステップなどの技術面だけじゃなく、音楽やストーリーの流れを振付や表情で表現していく難しさもフィギュアの魅力だと感じています。練習においては、高校時代が一番練習していました。ちなみにそのメニューは・・・
(1)トレーニング・・・筋トレや体幹トレーニングです。これは筋肉をつけるためではなく、姿勢やバランスの向上が大きな目的です。加えてスタビライズトレーニングという体の安定性を高めるトレーニングをしていました。体や関節の安定化を支えるインナーマッスルを鍛えることで、安定した高いパフォーマンスにつながり、関節などを痛めにくくします。
(2)バレエ・・・週に1回くらいですが、フィギュアスケーターなら大事なメニューです。体全体を使った表現力や美しい動きを身につけることができます。
(3)リンクでの練習・・・まずはウオーミングアップもかねて、流れからのジャンプ練習をします。例えばダブルアクセルからトリプルサルコウ、トリプルループと徐々に難易度を上げていき、最後は4回転フィリップ、ループまで。ジャンプをひとつずつ確認しながら練習した後は、ショートプログラム、フリープログラムと曲をかけて練習します。特にシーズン中はプログラムの練習が重点的になります。

僕はジャンプが跳べるようになり、結果が出るようになったきっかけは、スケートを楽しむことに気がついたからでした。でも、ただ楽しむだけじゃ上手くはならないし、苦しいこともありました。例えば跳べないときは何も考えずやり続ける。がむしゃらにやり続けることで、見つけられる何かが僕にはあったからです。まずは固定観念を持たずに柔軟にチャレンジしてみてもいいと思います。

宇野 昌磨選手からみんなへメッセージ

自分で選んで決めたことなら、失敗も後悔もプラスになる

宇野 昌磨さん写真
 僕は好きなことにはすごく一生懸命になれるけど、興味の無いことにはとにかく面倒くさい性格なんです。外出するのも好きではなくて、海外試合に行ってもリンクに行く以外はホテルから出ません。だってスケート以外で疲れたくないから。なので、リンク以外はホテルで一生懸命ゲームしています。今、夢中になれるのはスケートとゲームかと。でも僕がスケートを面白いと思えるようになったのは3、4年前からです。やはりジャンプが跳べるようになり、トップで戦えるようになってからでした。もちろん試合では悔しいことも悲しいこともありますが、真剣にやってきたことで結果が出る、それが勝負やスポーツの好きなところです。今年の新シーズンからフィギュアのルールも大きく変わりますが、それもふまえた上で様々な新しいことにこれからもチャレンジしていきたいです。そして観てくれる人たちの、記憶に残る演技をしたいと思います。
 僕はずっとスケートをやってきて、選ばなかった選択肢のことを考えて後悔したことはありません。その時々でやりたかったことを、自分が選んで決めてきたからです。ですので僕からのメッセージは「自分のやりたいことをやってください」です。実はやりたいことをやるって簡単じゃないけれど、チャレンジするにしても、もし諦めるにしても大事なのは自分で選んで決めることだと思う。もちろん後悔することもあるかもしれないけど、経験は必ず自分の糧に、明日に繋がると思うからです。

※プロフィール等は2018年8月時点のものです。

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高橋 大輔さん
高橋 大輔さん(フィギュアスケーター)
何にでも挑戦して失敗できるのは今しかない!
田中 刑事選手
田中 刑事選手(フィギュアスケート選手)
何かに挑戦し続ける時間を、思いっきり楽しんでほしい
宮原 知子選手
宮原 知子選手(フィギュアスケート選手)
いつも全力じゃなくていい、自分のペースで挑戦しよう
村上 佳菜子さん
村上 佳菜子さん(プロフィギュアスケーター)
どんなときも、諦めない気持ちを大事に持ち続けていたい
無良 崇人選手
無良 崇人選手(フィギュアスケート選手)
今の自分を作ってくれたのは、フィギュアスケートです
村主 章枝選手
村主 章枝選手(フィギュアスケート選手)
何ごとにも興味を持って向かえることは、吸収力も豊かにしてくれます。

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一