大阪府 堺工科高校 | ボトルキャップからリサイクル燃料 “製作費ゼロ”で油化装置完成 | 善きことをした高校生達 - 日本の学校

善きことをした高校生達

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ボトルキャップからリサイクル燃料 “製作費ゼロ”で油化装置完成

大阪府 堺工科高校 環境化学システム科3年生のみなさん

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古より世界に開けた自由都市堺市に、1936(昭和11)年に創立された大阪府立堺工科高校がある。「府工」の名で親しまれる同校は、開校以来、堺のみならず日本の歴史と文化を支えてきた「ものづくり」の伝統を継承する拠点として、地域と社会に貢献できる人材の育成を目指してきた。生徒も学びを活かした社会貢献活動に熱心に取り組んでおり、その1例が、資源リサイクルをはじめとする環境保全活動だ。

中心となっているのは、同校の環境化学システム系で知識環境調査や資源リサイクルなどの環境保全に対する知識・技能を学ぶ生徒だ。

現在、全校生徒で取り組んでいる「エコキャップ運動」(回収したペットボトルのキャップをリサイクル業者の売却し、その益金で途上国の子どもたちに感染症予防のポリオワクチンを贈る活動)への参加を呼びかけたのも、彼らだ。

そして昨年、同系の3年生が回収したペットボトルのキャップを使って、新たな取り組みを行った。それがキャップから混合油を抽出する油化装置の製作だ。

きっかけは、11月12、13日に開催される文化祭で出店する鉄板焼きの発電機の燃料を“どうするか”だった。そこでメンバーは、安易に購入するのではなく、日頃学んでいる資源リサイクルの知識と技術を活かして、自分たちで燃料を作り出そう、と決定。早速、担当教諭に相談し、同教諭の指導のもとで油化装置の製作に取りかかった。

しかし、製作のための予算は“ゼロ”。そのため、生徒は、校内にあるもので装置を作ろうと知恵を絞った。装置の主要部分の加熱容器は、不要になった実験用の水蒸気蒸留器を使用。容器を加熱するヒーターは電気系クラスから譲り受けた。ボディーは、教室で使っていたオイル缶のゴミ箱を“借用”。また、断熱材には運動場の砂を利用するなど、試行錯誤しながら約2週間かけて装置を完成させた。

ところが、実際に動かしてみると、水蒸気蒸留器のゴム製ふたが熱で溶けるなどのトラブルが発生。この場合は、代わりにコルクを使うなど、さまざまな工夫や改良を加え、ようやく完成した油化装置は、ペットボトルキャップ200個を装置に入れ、電熱ヒーターで400度まで加熱。約5時間かけて気化させ、さらに水につけたフラスコ内で冷却すると、約270gの燃料油が抽出できるという。

そして、文化祭に出店した鉄板焼きの模擬店で、この油化装置から抽出したリサイクル燃料で発電機を動かし、研究成果を披露した。

今回の油化装置開発に参加した生徒は「ボトルキャップが資源になることは理解できた。ごみ箱に入れず再利用できるものが他にもあるはず」と、新たな挑戦に目を向ける。

生徒を指導した教諭は「リサイクルを体験することで、生徒たちの視野が広がる。次は装置の加熱効率や別の物のリサイクルにも挑んでほしい」と、生徒の技術者としての可能性に期待していた。

(2011年1月掲載)

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