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私の幼少期 ~両親の教え~
(お名前の五十音順です)
※プロフィール等は取材時点のものですので
ご了承ください。
アンパンマン作者 絵本作家 やなせたかしさん プロフィール ただ一点、父と母に言われたことは「正直な人になりなさい」でした。
お母さんに教わったこと 一生懸命に生計を立てる姿を見せる
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母は華やかな性格の人でした。社交性があり誰とでもすぐに仲良くなっていました。いつもグループの中心にいるような人でしたね。当時にしては派手な装いを好み、田舎では少し目立つ存在でした。
また、父が亡くなってから、母は自立するためか、琴、三味線、謡曲、生け花、茶の湯、洋裁、盆景とありとあらゆる習い事をし、モノになった生け花と茶の湯で自宅を教室にして生計をたてていました。


アンパンマンとやなせたかしさん

お母さんのしつけ 食事前には正座をして「いただきます」を言わないとモノサシで叩かれた

母はアグレッシブな人でしたから、私が小さい頃はしつけが厳しかったことを記憶しています。例えば、食事の時、正座して「いただきます」を言わないとモノサシで叩かれました。また、忙しい母に「本を読んで」とせがむことも多かったのですが、「あいうえお」の一覧表をつくってくれて「これをテキストにして自分で読みなさい」と言われました。そのおかげで私は、小学校入学前には簡単な数学と読書力が身に付いていました。
母はよく私を映画に連れていってくれました。帰りの夜道は眠たくて、母におぶられながら半分程は寝ながら家に帰りました。その時の母の香水の良い匂いは今でも忘れられません。
また、 小学1年生の頃、私は咽頭扁桃(アデノイド)で手術をすることになりました。不安がる私に母は「泣かないで」と言ったので、私は泣くのを必死にこらえました。医者に「こんなに我慢強いお子さんは初めてです」と言われ、後から母に「偉かったね」と褒められた時はとても嬉しく、自分のことが誇らしく感じられました。


お父さんに教わったこと 自分が愛しているものを子どもに見せる

父は、東京朝日新聞社会部の新聞記者でした。新聞記者という仕事柄、帰宅時間は不定で、海外出張にもよく出掛けていました。しかし休みの日にはいろいろなところへ連れていってくれました。記憶には無いのですが、家族で富士登山をしている写真も残っています。
また、父はテニスと水泳の達人で、それは立派な体つきをしていました。性格的には大変優しく、外出のたびにお土産を買ってきてくれたことが印象的です。
私はそんな父が大好きでよくなついていましたが、父は私が5歳の時に、32歳の若さで病死してしまいました。
父は詩と絵と物語を愛する人で、単行本を出版したこともあり、私は今でもそれをたまに読み返します。格調高い文章、また素晴らしい短歌もつくる父を、私はとても尊敬しています。
詩と絵と物語を愛した父。家族全員も読書好き。そんな影響からか、私は幼い頃から絵が大好きな少年でした。内向的でおとなしく、一日中本を読んだり、絵を描いて遊んでいました。絵を見ることが本当に好きで、映画や芝居の看板や、絵本の挿絵も夢中になって見入り、決して飽きることはありませんでした。
私は今日までのいろいろな方との巡り合わせ、また、今の仕事ができていることも、おぼろげな記憶しか無い父に導かれ、守られていると感じることが多々あります。幸運は父のおかげ、と毎日感謝しています。


ご両親のしつけ 正直な人になりなさい

両親にはさしたる教育方針があったわけではないように思います。しかしただ一点、言われたのは「正直な人になりなさい」ということでした。ですから、私は子どもの時からわりあい正直に生きてきました。「正直に生きる」ということは自分の心を裏切らないことだと思っています。
私はメルヘンチックな、あるいは叙情詩的なものを好む部分があり、時にはそのような作品が世の中の時流に合わず、周りから過小評価されることもありました。しかし、私は両親の教えの通り、自らの心に嘘をつかず、自分の作品を描き続けました。そして、今の私があるのです。
偽装したものは結局は破滅します。しかし、正直に生きることは難しく、正直に生きて損をしたこともありますが、それでも両親の教えは結果的に私にとってプラスになっており、両親にはとても感謝しています。


叔父に教わったこと デザインの道に進むわがままを許してくれた

育てられない事情があったのでしょうか、小学2年生の時、私は叔父の家に預けられました。
叔父は父の兄であり、柳瀬家の長兄として一族すべての面倒を見てくれました。叔父の家は高知県の田舎にあり、日本の象徴的な農村風景がひろがっていました。子どもが駆け回って遊ぶには最適な場所でしたね。この頃の環境が私の基礎体力をつくってくれたのだと思われ、感謝しています。
絵が好きだった私は、叔父叔母の願いに反し、とにかく絵に関係した学校へ行きたいと思っていました。叔父は私のわがままな進学を許してくれ、十分な仕送りを絶やさず送ってくれました。第二の父として育ててくれた叔父にも、感謝してもし尽くせません。


やなせたかしさん
子育て中のパパママにメッセージをお願いします。 親も子も、自分の人生の目標をしっかり定めて欲しい。

例えば3人の子どもたち全員を優秀な芸術家に育てた千住家をご存知でしょうか。両親は、決して英才教育を施したわけではなく、子どもたちの興味の向くままにその背中を押しています。そして子どもたちは「やると決めたら徹底的にやれ」という父親の持論のもと、その道のトップを目指して想像を絶する努力を自ら行っていきます。これはなかなかできない理想的なお話ですが、とにかく自分の人生の目標をしっかりと定めて欲しいと思います。「何のために生まれて、なにをして生きるのか」という言葉がアンパンマンの歌の歌詞にもありますが、人生の目標、生きている意味をしっかりと持っているかが非常に大事だと私は思います。
そして、子どもに言うだけでなく、父親と母親がしっかりと行動し生活していれば子どもはそれを見て育っていきます。まずは親自身が自らを振り返ってみてください。

やなせたかし

2008年10月掲載

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