教職員のための
教育制度を紐解く
2040年を見据えた私立大学の振興方策とは
2025年12月
はじめに
少子化の急激な進行の下、2040年を見据えた我が国の高等教育の在り方については、中央教育審議会が、今年2月にいわゆる「知の総和答申」と呼ばれる高等教育システムの再構築に向けた提言を行っています。
今回、これを受けて「私立大学を取り巻く環境の変化を見据えながら、私大の振興に向けて、私大に期待される役割を明確化し、その役割を果たしていくための具体的な方策等に焦点を当てて検討するため」1. 文部科学事務次官決定「2040年を見据えて社会とともに歩む私立大学の在り方検討会議設置要綱」(2025年2月21日)。[1]、「2040年を見据えて社会とともに歩む私立大学の在り方検討会議」が今年2月に設置されました。
会議の具体的な検討事項は次の4点です。
(1)地域の人材育成に向けた私大の役割や関係者との協働の在り方(2)国際競争力の強化に向けた私大の役割や関係者との協働の在り方(3)急激な少子化を見据えた大学経営の在り方(4)私大における教育・研究の質の向上
1 中間報告が挙げる私大振興策とは?
「検討会議」は、今年8月29日に「社会とともに歩む私立大学の変革への支援強化パッケージ」と題する中間報告を公表し、私大の役割に関して、次のような認識を示しています。
・私大は多様なニーズを持った学生に対して高等教育へのアクセスを確保するなど高等教育の量的な拡大に大きく貢献。
・近年、私大の重要性は更に高まっており、教師、保育士、看護師等地域のエッセンシャルワーカーや地域経済の担い手となる産業人材等の育成等で主要な役割。
・研究面でも、世界の研究大学と伍する研究力を誇る大学や、地域の知の拠点として経済発展に資する研究を行う大学が重要な役割を担っている。(世界大学ランキング上位6.1%に私大が50校ランクイン2. 国立大は58校。[2])
一方で、これほど重要な役割を果たしている私大に対する学生一人当たりの財政支出の割合は、国立大学に比べ経常的経費が約11分の1、施設設備関連補助が約22分の1に留まっていると指摘しています。
そして、今後の私大支援の方向性として、「私大の教育研究の充実は、『知の総和』の向上に資するとともに、経済社会・国民生活の向上にも貢献。このため、基盤的経費をはじめとする支援の拡充は不可欠。」と述べつつも、「従来の私学助成について一律の配分から、メリハリ・重点化への転換を図る。」としています。
具体的には、1)地域から必要とされる人材育成を担う地方大学の重点支援、2)日本の競争力を高める教育研究を担う大学の重点支援への転換、3)再編・統合等による規模の適正化に向けた私大の経営改革強化への転換という3つの施策を挙げています。




