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2040年を見据えた私立大学の振興方策とは

2025年12月

学校経営アカデミー首席研究員
大学マネジメント研究会 会長
本間 政雄

2 中間報告の挙げる私大振興策をどう見るか?(1)

私大の役割の評価は適切か?

 私大の役割として、中間報告が「エッセンシャルワーカー(EW)」や「地域経済の担い手となる産業人材」の育成しか挙げていないことは事実に反します。朝日新聞出版の大学ランキングによれば、各分野の上位10校の国立大、私大占有率は、表1のようになっていますが、国立大のシェアが圧倒的なのは、主に研究面で、科研費、受け入れ外部資金などです。
 一方、政界、行政、経済界、文化、法曹等の分野で私大出身者が圧倒的な存在感を示しています。旧帝大の独壇場とされてきた官界ですら、私大の存在感が高まっています。文部科学省でも、最近立命館大の卒業生がトップの事務次官に就いたことは記憶に新しいところです。警察官、消防官、自衛官、幼稚園教員、保育士、公認会計士など国民生活に身近な専門職もトップ10校はすべて私大卒業生です。私大がなければ、わが国の政治、経済、文化そして行政すらまともに動かないことは明らかです。

表1 各分野における上位10校の国立大、私大占有率
国会議員
国立大学:2校(1位東大、4位京大)
145人 ※262人
私立大学:8校(2位早大、3位慶大等)
223人 ※394人
知事
国立大学:※34人
私立大学:※10人
市長
国立大学:2校(2位東大、6位京大)
67人
私立大学:8校(1位日大、2位早大、4位慶大等)210人
社長3. 上場企業トップ数は、国立大707人に対し私大1,232人、役員数は国立大7,730人、私大11,927人。(文科省:有識者会議第6回会議提出「関係データ・資料集」33p)[3]
国立大学:1校(10位東大)4,454人
私立大学:9校(1位日大、2位慶大)
79,224人
芥川賞など主な文学賞受賞者
国立大学:2校(2位東大、8位京大)
127人
私立大学:8校(1位早大、3位慶大、4位明大・立教大)526人
国家公務員総合職合格者
国立大学:6校(1位東大、2位京大)
320人 ※1,292人
私立大学:4校(3位立命館大、4位早大)
195人 ※634人
司法試験合格者
国立大学:6校(3位東大、4位京大)
448人
私立大学:4校(1位慶大、2位早大)
409人
公認会計士合格者
国立大学:4校(5位東大、6位京大)
219人
私立大学:6校(1位慶大、2位早大)
548人
科学研究費採択
国立大学:9校(1位東大、2位京大)
私立大学:1校(10位慶大)
産学連携による外部資金受け入れ
国立大学:8校(1位東大、2位京大)
私立大学:2校(7位慶大、9位早大)
大学発ベンチャー
国立大学:6校(1位東大、3位京大)
1,523件
私立大学:4校(2位慶大、7位東京理科大)
762件
学部留学生
国立大学:ゼロ ※10,844人
私立大学:10校(1位立命館アジア太平洋大、2位日本経済大、3位早大) 74,858人
大学院留学生
国立大学:9校(1位東大、3位京大)
※34,411人
私立大学:1校(2位早大)
※21,628人

(出典:朝日新聞出版「大学ランキング2026」、11月20日第6回会議提出「関係データ・資料集」。留学生数は、JASSO2024年調査。赤文字は、「比較優位」を示す。※は、上位10校の合計ではなく、全体の数を示す。)

株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一