PROFILE
1992年2月3日生まれ。山口県山口市出身。7歳から柔道を始め、小学校卒業後に上京し講道学舎所属となる。柔道の名門、弦巻中学から世田谷学園高等学校に進学、2年の時にインターハイ73kg級で優勝した。天理大学進学後は1年時にフランスジュニア国際優勝、2年時に全日本ジュニアと世界ジュニアでも優勝。そして2012年2月にはワールドカップでシニアの国際大会初優勝を果たした。大学3年時に講道館杯で初優勝、グランドスラム大会初優勝を果たし、4年時には世界選手権でも優勝。大学卒業後は旭化成に所属し、選抜体重別や世界選手権など国内外の大会で優勝を納め、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックの日本代表に選出、見事金メダルを獲得した。この年、9月に県民栄誉賞、11月に紫綬褒章を受章している。現在は、天理大学大学院で修士論文に取り組んでいる。大野 将平選手の学生時代は・・・
小学校卒業後に上京。我慢の毎日が僕を強くしていった
東京では弦巻中学校、世田谷学園高校に通いながら、講道学舎で柔道の練習に明け暮れる毎日でしたが、まだ少年だった僕にとって寮生活も含め全てがきつかったですね。寮では自分のことはもちろん、先輩の世話もしなければならなかったし、そのうえ練習は厳しくて、ただただ「我慢」の日々でした。だから中学・高校時代で一番学んだことといえば、我慢することですね。でも武道とはそんなものだとも思っていました。そんな中で唯一、学生らしい思い出は修学旅行など学校行事だったかもしれませんね(笑)。
高校2年の時にインターハイで初優勝することができましたが、当時の目標は団体での優勝でした。個人戦とは違って、周りの人たちの力や協力、そして応援を一番感じることができるのが団体戦で、「学校を背負う」みたいな選手達の一体感があるからです。残念ながら、高校時代にこの夢は実現できませんでしたが。
天理大学から旭化成へ、そしてリオ・オリンピックに・・・
オリンピックは金じゃないとダメ!これが日本柔道の誇りだった
大学時代は全日本ジュニアや世界ジュニア、世界選手権など数々の大会で優勝することができましたが、僕にとって一番嬉しかったのは2012年の講道館杯の優勝でした。この年は8月にロンドンオリンピックがあり、僕自身もオリンピックを身近に意識しだした頃だったので、講道館杯の優勝は自分自身を奮い立たせる大きなきっかけにもなっていったと思います。ただ「オリンピックは出場することに意義がある」とよく言われますが、日本柔道にとってはそうじゃない。出場ではダメ、入賞だけでもダメ。金をとらなきゃダメなんです。でも数多いオリンピック種目の中で「金じゃないとダメ」という競技が一つくらいあっていいし、選手にとってその責任感も好きです。そこに柔道というスポーツの誇りがあると思うからです。
2016年のリオデジャネイロ・オリンピック。子供の時に感動したオリンピックの舞台に僕も立つチャンスが訪れました。柔道はオリンピックの中でも、たった1日で勝負のすべてが決まる競技なので「4年に一度」ではなく「4年に1日」。その、たった1日にピークを持っていくことは大変ですが、僕にとってはただ目の前の勝負に勝つこと。その気持ちは世界選手権や講道館杯と同じでした。ただ金メダルをとれた時は「嬉しい」より、終わったことへの安堵感が大きかったですね。自分にかけられた期待、井上康生監督の思い、そして応援・サポートしてくださった人たちに金メダルでお返しができたという安堵感でいっぱいでした。
大野 将平選手からのワンポイントアドバイス
厳しい練習から逃げない!それが上達の一番のポイントです
(1)打ち込み・・・技の形を習得するためにも基本的な練習です。特に自分の得意技を作る上でも一番大事な練習だと思います。反復動作を繰り返し、身に付けることが大事だと思います。
(2)投げ込み・・・取り組みにおいての投げ方、抑え方を体に覚えさせる練習です。投げる方、投げられる方の両方の動きを繰り返し身体で覚えることで、技術の向上につながります。
(3)乱取り・・・互いの技を掛け合う、実践的な練習です。打ち込み、投げ込みで覚えたことを試しながら、実践で使える技を身につける大事な練習です。
以上の3つを中心に毎日約3時間、練習していました。ただ、この3つ以外にもスポーツの基本であるランニングや柔軟といったトレーニングも大事です。それは柔道の練習に入るための準備運動でもあります。僕も最初の頃は、ただ指導者の言うとおりの練習をこなしていたと思います。何が良いかも分からなかったので、がむしゃらに練習していました。でも強くなりたいのなら、決してきつい練習から逃げないこと。気持ちの上で負けないこと。そして毎日の練習から自分にベストな練習スタイルを見つけること。それが上達するための必須要素だと思います。
※プロフィール等は2017年6月時点のものです。
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