PROFILE
1967年11月21日生まれ 佐賀県出身小学生から柔道をはじめ、中学に進学と同時に上京し東京の「講道学舎」に入門。弦巻中学校・世田谷学園高校時代に数々の全国大会で個人・団体で優勝。日本体育大学進学後も全日本、世界選手権で連覇を飾り、92年のバルセロナオリンピックでは見事、金メダルに輝く。その後、96年のアトランタオリンピックでも銀メダルを獲得し、00年に現役引退。現在は社会福祉法人慈雄会に所属し、全日本女子柔道チームの強化コーチを務める。また、03年には「古賀塾」を開塾し子どもたちの人間育成に力を入れるかたわら、各地での講演活動も行う。
古賀 稔彦さんの高校生時代・・・
強くなりたい!勝ちたい!と、がむしゃらだった
中学で上京したのは「東京に行けば強くなれる」と思っていたんです。「講道学舎」に入門して、がむしゃらに柔道に取り組みたかったから。この「講道学舎」で6年間、寮生活をしながら中学・高校に通っていたんですよ。朝は5時40分から朝稽古をして掃除や洗濯をして学校に通う、そして学校から帰ったら5時から7時半ごろまで稽古するという毎日で、遊んだ思い出も、遊びたいと思ったこともなかったですね。ただ強くなりたいという思いが強かったから柔道の稽古に一生懸命になれたんだと思います。
中学・高校の時の思い出といったら、いつもお腹を空かしていたことかな(笑)。育ち盛りですから、寮の食事だけでは満足できないんですよね。 柔道での思い出といえば、講道学舎の先生がおっしゃった「決心しなさい、妥協するな」という言葉が今も心に残っていますね。「勝負するならどんな状況でも、相手が誰であろうと決心して臨みなさい」という意味ですが、僕にとって「何かに挑戦するときは決心を持って、人と同じスタートラインに立つんだ」という精神力の強さを持たせてくれる言葉でした。そして、何事も諦めると終わってしまう、妥協しなければ、きっとチャンスを生かすことができるんだと教わりました。だからこそ、自分よりも強い人に挑むことに充実感を見いだせたんだと思います。
「オリンピック」は人間を見ることができた大会でした
古賀 稔彦さんからのワンポイントアドバイス
きれいな道衣、きれいな着方、きれいな礼法、これが基本
ひとつひとつの基礎体力や姿勢、動き方や技を身につけよう
(1)基本の準備運動・ストレッチ
柔道は倒したり投げたりする激しいスポーツなので、膝や足首、肩や腕の関節をよく動かし念入りに柔軟体操をする。また、筋肉を痛めないためにもストレッチでよく筋肉を伸ばしておく。
(2)基礎体力トレーニング
スポーツの基礎になる体力がなければ、相手に技をかけたり投げることができない。ランニングや腹筋、腕立て伏せや横跳びなど。トータルに全身の体力を鍛えることが大事。
(3)受け身
技をかけることもかけられることも大事な練習。そのためには倒されたり投げ飛ばされたときの受け身は、自分の身体を守るだけでなく柔道の上達には欠かせない練習。
(4)技の反復練習
柔道は技の世界。どんなに身体が大きくて力が強くても、技がだめなら闘うことはできない。毎日の練習では特に立ち技や寝技など、きれいな技ができるような反復練習を心がける。
(5)実際に組み合っての段取り
相手と組み合い、技をかけたりかけられたりの段取りをする。このとき、姿勢や動き方、基本の組み方なども注意しながら練習する。正しい基本を身につけることが、技の上達につながる。
(6)ストレッチ
練習で駆使した筋肉をほぐすことによって筋肉痛などを予防する。柔道に大切な柔軟性を身につけるためにも、練習後のストレッチは欠かさずに。
※この記事は2004年7月に取材したものです。プロフィール等は取材時点のものですので、ご了承ください。
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