【特集】八木かなえ選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

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八木 かなえ選手 プロフィール

八木 かなえ選手

女子重量挙げ55kg級選手 ALSOK所属

PROFILE

1992年7月16日生まれ。兵庫県神戸市出身。5歳から器械体操を始め、中学時代には「全日本ジュニア選手権」の個人総合で7位という成績を残すが、兵庫県立須磨友が丘高校入学時に重量挙げに転向。1年目に「アジアユース48kg級」、翌年には「全日本高校女子選手権53kg級」で優勝し、同2009年の「世界選手権48kg級」に日本代表として出場し、日本高校新記録を出し世界選手権10位の記録を残した。その後も「全日本高校女子選手権53kg級」では3連覇を果たしている。高校卒業後は、重量挙げの強豪校である金沢学院大学に進学。初めての公式戦となった「全日本女子学生選手権53kg級」で大会新記録で優勝、2012年の「全日本選手権53kg級」でも初優勝を果たし、ロンドンオリンピックの日本代表に選出された。大学卒業後はALSOKに入社、全日本選手権では2015年から5連覇、世界選手権にも数多く出場し、2016年には2度目のリオデジャネイロオリンピックに出場。女子53kg級で6位入賞を果たした。そして現在、自身3度目となる2020年の東京オリンピック出場を目指し、日々練習に取り組んでいる。

八木 かなえ選手の学生時代は・・・

高校から始めても、全国を目指せる可能性が魅力だった

八木 かなえさん写真
 子どもの頃から体を動かすのが大好きで、5歳から器械体操を初めました。すると子どもなりにステップアップを目指していたんでしょうね、途中から本格的に練習できるクラブチームに通うようになりました。中学時代には全日本ジュニア選手権にも出場できるくらいになり大好きな器械体操でしたが、自分の中では限界を感じるようになっていました。高校、大学に進むにつれ他の選択肢もあるのではないかと考えるようになり、器械体操は中学2年生でやめることにしました。そして高校に入学したら何か新しいスポーツを始めたいなと思っていた時に、ウエイトリフティングに出会ったんです。
 初めてウエイトリフティングに興味を持ったのは中学3年生の時、高校見学会で部活があることを知り「ちょっと、やってみたいな」と思ったからです。実はウエイトリフティングを始めるのは、高校生からが多いそうです。それなら、高校から初めても全国を目指せるのではという可能性も魅力でした。そのうえ私は、体操をやっていたこともあり、脚力やバランス、柔軟性など今まで培っていたものがプラスにはなりました。1年目にもかかわらず、どんどん記録が伸びていき、昨日できなかったことが今日はできるようになる。まるでゲームのような感覚が楽しかったです。また、1年目にアジアユースで、翌年には全国高校女子選手権で優勝できたことも楽しさに拍車をかけていったと思います。そのうえ、私が通っていた須磨友が丘高校はウエイトリフティングでは全国的に有名な強豪校で、指導者も施設もすごく充実していました。当時は、目の前の大会で確かな成績を残すことが一番の目標で、毎日が部活中心の生活でした。ちなみに高校時代、修学旅行は行けましたが、休日は試合や遠征が多いので文化祭には一度も参加できていませんね(笑)。

更に上を目指した大学進学、そして初めてのオリンピックへ・・・

ウエイトリフティングの強豪校で目指した、オリンピック出場

八木 かなえさん写真
 大学進学も、やはりウエイトリフティングを中心に考えました。金沢学院大学は女子のウエイトリフティングでは有名で、上を目指すならやはり強豪校に進みたいという希望もありました。そのうえ、高校時代の恩師が金沢学院大学のコーチになられるという、私にとっては恵まれた環境で更に上を目指すことになりました。そして2011年の「全日本女子学生選手権」では大会新記録を出して優勝、翌年の「全日本選手権」でも初優勝することができました。この結果、大学生の時に初めてのオリンピック出場のチャンスをつかむことができました。
 2012年のロンドンは初めてのオリンピックでもあり、自分の試合に集中しようとは思っていたのですが、やはりあの雰囲気にのまれてしまった感がありました。初めての経験でいろんなことを吸収したかったのですが。特にオリンピックは、試合会場の大きさも格別で観客数も桁違いに多いので、会場中の視線が全て自分に向けられているような緊張を感じました。その緊張感が逆にプレッシャーになってしまったのかもしれません。
 大学卒業後はALSOKに入社し、全日本選手権でも連覇を果たすことができ、次のオリンピックも見えてきました。
 そして様々な経験を踏まえての2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、思うようにできたつもりですが、本番だけうまくいかなかったという悔しさが残りました。でも、2度のオリンピック出場という経験は、私を確実に成長させてくれていると思います。また、全日本選手権での連覇や世界選手権への出場というたくさんの経験を無駄にしないように、目の前の一つ一つの大会を悔いなく戦っていきたいです。そしてその先にあるのは、2020年の東京オリンピックへの挑戦です。今は、その大きな目標に向かってチャレンジするのみですね。

八木 かなえ選手からのワンポイントアドバイス

どんな練習も、継続することによって必ず力となる!

八木 かなえさん写真
 今振り返っても、やはり学生時代の練習はきつかったです。中でも高校時代は、とにかくがむしゃらでした。若いので無理もできるし回復力もありますから(笑)、毎日、目一杯練習していました。毎日授業の前の朝練習と放課後の練習で、遊ぶ元気もなかったと思います。そんな私の当時の練習メニューは・・・
(1)ランニング・・・まずは体を温めるのが目的です。そしてウエイトリフティングは瞬発力が大事なので、長い距離を時間をかけて走るのではなく、ダッシュを数本こなしていました。このように体を温めて、ハードな練習に入る前の準備をします。
(2)ストレッチ・・・バーベルを挙げる練習の前の準備体操です。屈伸など体の筋肉をほぐして可動域を広げるようにします。体を動かしやすい状態にしておくことで、ケガの防止にもつながります。
(3)バーベル・・・練習のほとんどがバーベルですが、実際にバーベルを挙げる前に大事な練習があります。まずバーベルを上げるための正しいフォームを身につけることです。最初の頃は、重さのない棒などを使ってフォーム練習をしていました。そして実際にバーベル練習は、15kg位から重さを徐々につけていき、最終的には自分の挙げられるマックスの重さを数本単位で数セット挙げるという練習でした。
(4)スクワット・・・私が特に力を入れていたのがスクワットです。もちろん普通のスクワットではなく、バーベルを持って数回行います。ウエイトリフティングで一番大事な脚力を鍛える練習にもなります。
(5)筋トレ・・・一般的な腹筋や背筋、懸垂など。高校時代はマシーンなどは使わないで筋肉を鍛えるようにしていました。
(6)ストレッチ・・・練習後のストレッチは筋肉や関節など、練習で酷使した体のケアが目的です。練習前のストレッチと同様にケガの防止には欠かせません。

以上が高校時代の練習内容ですが、一番大事なことは継続することだと思います。「継続は力なり」という言葉通り、練習を休んでしまうと元の状態に戻すにはすごく時間がかかるし、筋肉にも余計な負担がかかってしまいます。少しずつでも毎日続けることこそ、記録を伸ばす一番の近道だと思います。

八木 かなえ選手からみんなへメッセージ

高校時代の頑張った経験が、私の大きな自信になった

八木 かなえさん写真
 私の高校時代は部活一色で、無我夢中で過ぎた3年間でした。もちろん練習はきつかったけど、あんなに大変でしんどいことを乗り越えてきたんだから、この先どんなことにも負けない自信を持てた時間でもありました。また部活では、きつい練習を共に頑張ってきた仲間と応援しあったり支え合ったりした経験は忘れられません。また、ウエイトリフティングに打ち込む私を一番応援してくれたのは両親でした。食事や体調管理、練習への送り迎えなど。高校時代、たくさんの人たちの応援と支えがあったから、大好きなものに打ち込むことができました。だから充実した高校生活だったと言えます。
 スポーツに限ったことではなく、勉強や音楽や絵でも何だっていい。何か自分が夢中になれるもの、打ち込めることを見つけることはすごく素敵だし大事なことなんじゃないかと思います。好きなものがあれば、きっと頑張れるから。今からでもきっと見つかると思います。みなさんも打ち込める、自分だけのオンリーワンを見つけて充実した時間を過ごしてください。

※プロフィール等は2019年9月時点のものです。

三宅 宏実選手
三宅 宏実選手(ウエイトリフティング選手)
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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一