【特集】森ひかる選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

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森 ひかる選手 プロフィール

森 ひかる選手

トランポリン選手 TOKIOインカラミ所属

PROFILE

1999年7月7日生まれ。東京都足立区出身。4歳の時にトランポリンの楽しさを知り、トランポリン教室に通い始めた。小学生からは地元のトランポリンクラブに入り練習を積み、2008年の全日本ジュニア選手権低学年の部、2011年の世界選手権11〜12歳の部で優勝。2013年には史上最年少で全日本選手権の初優勝を飾った。トランポリンの強豪校である金沢学院高等学校(現:金沢学院大学附属高等学校)に進学後は、高校選手権の個人、団体、シンクロナイズドで2年連続3冠を達成。金沢学院大学進学後もアジア大会の個人銀メダル、世界選手権のシンクロナイズドでは金メダルと好成績を残す。特に2019年、有明体操競技場で開催された世界選手権では団体で同種目史上初の金メダルを、個人でも日本人選手初となる金メダルを獲得し、東京オリンピックの代表に選出される。2022年、大学を卒業後はTOKIOインカラミに所属。次のオリンピックに向けて更なる飛躍が期待されている。

森 ひかる選手の学生時代は・・・

競技者として上に行くために、石川県の高校への編入を決めた

森 ひかる選手写真
 私がトランポリンと出会ったのは4歳の時。地元のスーパーマーケット屋上の遊園地で遊んで、その楽しさを知り近くのトランポリン教室に通い始めました。そのうちに、ただ跳んでいるだけでは満足できなくなり、宙返りも教えてもらえるトランポリンのクラブに小学1年生から通うようになりました。クラブに入ってからは、小学生やジュニアの大会にも出るようになり、小学3年生の時に出場した全日本ジュニア選手権低学年の部で初めて優勝を経験し、小学生ながら初めて自分の中にオリンピックという言葉が芽生えた気がします。この優勝をきっかけに、将来トランポリンの選手として進んでいきたいという気持ちも強くなっていきました。中学校に進んでからも学校にはトランポリン部はなかったので、部活には入らずにクラブで練習を続けました。学校が終わったらすぐに家に帰り、クラブに行って練習が終わって帰ってくるのは夜の9時半頃という生活です。そんな中、2013年の全日本選手権の史上最年少優勝は、大きなやる気につながりました。
 高校進学については迷いがありました。地元の高校に進むかトランポリンが盛んな石川県の学校に進むかです。実は石川県はトランポリン王国と呼ばれるほどトランポリンが盛んなところなんです。競技者として上に行くために、石川県の高校に進学することも考えましたが、中学生の私には決心がつかなかった。だから都立の高校にいったんは進学しクラブでの練習を続けましたが、石川県の金沢学院高等学校(現:金沢学院大学附属高等学校)から声をかけていただき高校1年の秋に編入することを決めました。リオデジャネイロオリンピックには年齢制限で出場できなかったけれど、東京オリンピックには絶対に出場したい。そのためにはたくさん練習ができる環境に自分を置きたいという気持ちと、後悔はしたくないと思ったからです。

トランポリン王国・石川から目指したオリンピックへの道

大変な状況下でつかんだ、世界選手権優勝とオリンピック出場

森 ひかる選手写真
 石川県には父と兄弟を東京に残し、母とワンちゃんと一緒に引っ越しました。途中での転校ということもあり、環境が大きく変わったことで私もいっぱいだったので、母のサポートがなければトランポリンにも集中できなかったと思います。今でも感謝しています。
 私が転校した金沢学院高等学校(現:金沢学院大学附属高等学校)はトランポリンの強豪校として有名で、私の恩師でもある丸山コーチを指導されたのは、トランポリンの発展にご尽力された金沢学院大学名誉教授の塩野尚文先生です。塩野先生の指導やご尽力があり、石川県のトランポリン人口は増え、石川県での大会レベルも高いといわれています。そんな中で塩野先生、丸山コーチが指導をしてくださる金沢学院高等学校(現:金沢学院大学附属高等学校)トランポリン部は、レベルの高さはもちろん練習もハードでした。今振り返っても高校時代が一番練習していたと思います。特に部員のみんなと切磋琢磨しながら練習に取り組めたことは私にとってもすごくプラスになり、高校選手権で個人、団体、シンクロナイズドの3冠を2年連続で達成できたことは大きな自信にもなりました。こうしてオリンピックへの夢もどんどん膨らんでいきました。
 金沢学院大学に進んでからも、アジア大会や世界選手権に出場し少しずつオリンピックに近づいていることを感じていました。そして2019年の世界選手権は、私にとって忘れられない大会になりました。私が生まれ育った東京で開催されたこともあり、たくさんの友達が応援に来てくれました。国内のトランポリンの試合にはそんなにたくさんの観客が入らないことが多いのですが、この時の有明体操競技場は満員で、私自身も楽しく試合ができたことで団体と個人の両方で金メダルという最高の結果を出し、念願のオリンピック出場を決めました。あのときの景色と感動は一生忘れないと思います。

森 ひかる選手からのワンポイントアドバイス

強い体幹と正しい姿勢を身につけて、技の反復練習を

森 ひかる選手写真
 トランポリンは誰が跳んでも笑顔になれるスポーツで、地上では味わえない空中の感覚が楽しめると思います。でも競技となると技はもちろんさまざまなルールがあり、難しさはレベルアップしていきます。特に競技者として極めるために、高校時代は厳しい練習を積んできました。その内容とは・・・
(1)ウォーミングアップ・・・どんなスポーツでも同じですが、最初はストレッチで運動に使う筋肉を温めたり伸ばしたりして、力を引き出す準備をします。そしてストレッチは怪我を防ぐためにも重要です。つづいてランニングでは、スロースペースから始め、徐々に心拍数を上げ、体を温めておきます。
(2)トランポリンの練習・・・実際に跳ぶ練習ですが、初心者の頃はトランポリンの動きの基本であるストレートジャンプ(真っ直ぐに跳ぶ)で、空中での姿勢や体制もしっかりと身につけます。
(3)技の練習・・・高校生の頃のトランポリンの練習は、ストレートジャンプ、技の単発練習、試合練習が基本です。

以上が練習の主なメニューですが、約30分のウォーミングアップから始まり、トランポリンの練習が2時間。そして最後は体幹などを鍛えるトレーニングを約30分が高校時代の練習でした。特に初心者の頃は基本のジャンプを正確に跳べるようになってから、ひとつずつ技を身につけること。そして空中での不安定な動作が多いので、姿勢を安定させるためにも体幹を鍛えることが大事だと思います。

森 ひかる選手からみんなへメッセージ

何にでも挑戦できる今を、とにかく楽しんでください

森 ひかる選手写真
 私にとって高校時代は練習がきつかった思い出が一番ですが、その努力した結果が世界選手権優勝とオリンピック出場という大きな成果につながりました。でも、その後に待っていたのはコロナ禍という状況の中で練習が思うようにできない、試合ができないというとにかく辛い時間でした。現状に対し自分の気持ちもついて行かないし、今何をしなければいけないかも分からない状態だったと思います。そんな中で迎えたオリンピックは、トランポリンの注目度も上がってきていたし、メダルを期待されていたこともプレッシャーではありました。でも今は、オリンピックに出場できたことを誇りに思えるし、あの過程と結果があったからこそ今の自分がいる。もしオリンピックでメダルを獲得していたら、達成感から選手をやめていたと思います。そして選手としてたくさんの人に支えてもらえた幸せを実感しました。だから今、新しい道を進んでいける自分がいます。
 今私が皆さんに言えるのは、高校時代は何にでも挑戦できる時です。思いっきり楽しんで自分の好きなことに夢中になってほしい。そして、そんな自分の挑戦を応援しサポートしてくれる人達への感謝の気持ちを忘れないでください。

※掲載内容は2022年9月の取材時のものです。

棟朝 銀河選手
棟朝 銀河選手(トランポリン選手)
頑張った経験は、次のチャレンジへの自信になる
伊藤 正樹選手
伊藤 正樹選手(トランポリン選手 ロンドンオリンピック日本代表)
好きなものに出会えたら、とことん向き合ってほしい

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一