【特集】岡崎朋美選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

アスリートからの熱いメッセージ

岡崎朋美さん プロフィール

岡崎 朋美さん

元スピードスケート選手
長野オリンピック 女子500m 銅メダリスト
リレハンメルオリンピック、長野オリンピック、ソルトレークシティオリンピック、トリノオリンピック、バンクーバーオリンピックと5大会連続出場

PROFILE

1971年9月7日生まれ。北海道斜里郡清里町出身。幼少期からスケートに触れて育ち、小学3年時に地域の少年団でスピードスケートを習い始める。高校は北海道釧路星園高等学校に進学。高校2年時に富士急行スケート部の監督にポテンシャルを見出され、スカウトを受ける。卒業後は富士急行に入社。1994年のリレハンメルオリンピックから2010年のバンクーバーオリンピックまで5大会連続のオリンピック出場を果たし、1998年の長野オリンピックでは女子500mで銅メダルに輝いた。ワールドカップや世界選手権などでも数々の成績を残し、2013年に現役を引退。しかし、その後も、2020年のマスターズ国際スプリントゲームズの500m(45~50歳部門)で世界新記録を達成し、金メダルを獲得するなど、競技に携わり続けた。現在はメディアやイベントへの出演を通じて、さまざまな角度からスポーツの普及活動に尽力している。

岡崎朋美さんの学生時代は・・・

結果が出ない高校時代、出場していない大会でなぜかスカウト!

岡崎朋美さん写真
 私が生まれた北海道斜里郡の清里町は、スピードスケートが盛んな地域でした。冬になると学校の校庭に氷が張るので、体育の授業もスピードスケートだけ。地域のスポーツ店にもスピードスケート用品しか売っていませんでした。初めてリンクに上がったのは、幼稚園に通っていた時です。学校の授業で滑れなかったらかわいそうだから、と母に町内リンクへ連れて行ってもらいました。おかげで、小学1年生で普通に滑れるくらいにはなっていました。日常の中に自然にあるスポーツとして、友達とスピードスケートを楽しんでいましたね。
 本格的にスピードスケートを習うようになったのは、小学3年生の時に転校してきた同級生がきっかけです。私は体を動かすのが得意で、それまでは、どんな競技でも一番でした。しかし、その転校生は私よりもスポーツが得意な子だったんです。ライバルができて対抗心を燃やしたというよりは、対等に競える相手ともっと一緒にスポーツをしたいという理由で、彼女が所属していた地域のスポーツ少年団に入団しました。
 それからスピードスケートの練習が始まり、大会に出ることもありました。運動神経や反射神経が良かったので、スタートダッシュは誰よりも速かったのですが、結局その後追い抜かれてビリ、なんてこともしばしば。悔しい気持ちはありつつも、大会で遠征に行ったり、遠征先で新しく友達ができたりする楽しさの方をよく覚えています。
中学時代も地元の少年団でスピードスケートを続けていましたが、高校では将来の選択肢を広げるために都会に行ってみたい気持ちがありました。いくつかの学校で迷っていた中で、北海道釧路星園高等学校の顧問の先生に「スケートが好きだったらうちに来い」と言われて、北海道釧路星園高等学校にスポーツ特待生として入学しました。しかし、大会で入賞できるような実力はなく、正直選手になるイメージは固まっていませんでしたね。
 高校2年生の時、私の人生を変える大きな転機が訪れました。釧路で開催された全日本スプリントスピードスケート選手権大会で、名門実業団である富士急行スケート部の監督にスカウトされたんです。ただ驚きなのは、私はその大会に出場していなかったこと!出場資格を得られる水準になく、試合後に一般開放されていたリンクで練習していたところを監督が偶然私を見て、声を掛けてくれたんです。後から聞いたところ、下宿先でたくさん食べて走らされていたためか、女子選手の中で一段と体が大きく、監督は、伸びしろを感じたと話していました。また、高校の顧問の先生も「スタートダッシュはダントツです」とアピールしてくれていたみたいです。
 そんな幸運な出会いがあり、高校卒業後は富士急行に入社。周りからは「練習がきついからついていけないぞ」と心配されていたのですが、憧れだった橋本聖子さんをはじめとする何人ものオリンピック選手がいるチームだったので、思い切って飛び込みました。「『きつい、きつい』と言われる練習」がどれほどのものなのか、怖いもの見たさもありましたね(笑)。

驚異のオリンピック5大会連続出場

貴重な自国開催の長野オリンピックでメダルを獲りたい

岡崎朋美さん写真
 富士急行に入社し、練習拠点は山梨県に移りました。海抜がほぼゼロの釧路にいた私にとって、標高約1,000メートル富士吉田市での練習は想像以上に高負荷でした。最初の頃は、息の吸い方がわからず過呼吸になることも。1年目はとにかく環境に慣れることを第一に、与えられたメニューをこなすので精一杯でした。
 2年目からは多少余裕が出てきて、実力も向上しました。1993年にはオランダで開催されたワールドカップに出場する機会を得ました。当時の日本の大会は、観客席にいるのは関係者と家族くらいで静まり返っていたのですが、スピードスケートが国技のオランダでは観客席は超満員で、お祭り騒ぎでした。大きな声援の中で滑る楽しさと感動を鮮明に覚えています。最初こそ緊張していましたが、自分の実力を出し切ることができた大会です。
 そして翌年には、ノルウェーでリレハンメルオリンピックが開催されました。ワールドカップに出場した勢いのままに、代表選考に臨みました。何より、リレハンメルオリンピックは師匠である橋本聖子さんの最後のオリンピックになるような気がしていたため、どうしても一緒に出場したかったんです。選考期間は、1本1本極限まで集中して滑っていました。
 その甲斐あって、無事に代表に内定しました。本番の緊張は、選考期間に比べればかわいいもので、リラックスして楽しむことができました。メダルには届きませんでしたが、自己ベストを更新できましたし、最後に橋本聖子さんと同じ舞台に立てただけで胸がいっぱいでした。
 一方で、1998年の長野オリンピックにはメダルにこだわって臨みました。貴重な自国開催の大会であり、日本のみなさんにも見てもらえますし、結果を残せば岡崎朋美という存在をもっと知ってもらえるきっかけにもなります。結果を残すために、長野オリンピックまでの4年間は練習方針を転換。与えられたメニューに加えて、自分の課題を分析し、補強するための練習を考えて取り組んでいました。
 そして迎えた長野オリンピックは、人生で一番印象的な大会です。まず、日本語の応援の声がたくさん聞こえてきたことが新鮮でしたね。また、レース中は私の動きに合わせて歓声が移動し、ウェーブのように満員の会場全体を駆け巡りました。ウェーブに背中を押されるというより、私がウェーブを追いかけるような感覚を味わったのは、この大会だけです。それだけ、応援も熱を帯びていたんだと思います。目標だったメダルも獲得することができて、忘れられない大会になりました。
 その後、ヘルニアを発症し、手術もしましたが、前向きにリハビリを続け、復帰。2002年のソルトレークシティオリンピック、2006年のトリノオリンピック、2010年のバンクーバーオリンピックと、5大会連続出場を果たすことができました。
 引退後は、スピードスケートを中心に、スポーツそのものの普及活動を行っています。イベントやメディアへの出演を行ったり、競技団体の理事を務めたり、富士急行の後輩たちへ時々アドバイスもしています。メンタル面や金銭面などの理由で競技を続けられない若者を減らすことを目標に、今後もさまざまな角度からの貢献を続けていきたいです。

岡崎朋美さんからのワンポイントアドバイス

自分の理想のプレーを想像しながら、下半身を重点的に強化しよう

岡崎朋美さん写真
 スピードスケートで重要な下半身を鍛えるトレーニング方法と、練習する時に持ってほしい考え方をお伝えします。継続することを第一に、みなさんも試してみてください。

(1)スライドボード……スライドボードは、左右に滑る動きを繰り返すトレーニング器具です。基本的なバランス感覚や体幹だけでなく、スピードスケートの低い姿勢を保つために必要な、太ももやお尻の筋肉を鍛えることができます。時間の目安は、1分30秒くらいを1日3~5セット。スピードスケートで1,000メートルを滑るタイムが1分20秒くらいなので、それより少し長い時間続けてみましょう。ボードを縦に敷いて、腕立て伏せのように両手をついた状態で足を前後にスライドさせれば、お腹や腕のトレーニングにもなりますよ。

(2)階段ダッシュ……瞬発力を高めるために腰まわりや下半身を鍛えるには、階段ダッシュがおすすめです。段差を越えるためにしっかり足を上げることを意識すると、トレーニング効果が高まります。目安は、階段の長さにもよりますが、1日5~7本できると良いと思います。大切なのは、日常の中で継続すること。ダッシュしてもよさそうな階段を街中で見つけたら、その都度走ってみてください。

(3)イメージトレーニング……スピードスケートに限ったことではありませんが、自分の理想の動きをイメージするのもとても大切です。長野オリンピックまでの準備期間、私は自ら練習メニューを考えていましたが、理想の動きが頭の中にないと、現状の自分に何が足りていないのかが見えてきませんよね。また、イメージしていた動きを実際にできるようになると、自信やモチベーションにも繋がります。みなさんも、どんなプレーをしたいのか、その目標のために、今自分は何をすべきなのか、考えてみてください。

 トレーニングは継続が大切。しかし、休む時はしっかり休むことも心掛けましょう。私自身、オンとオフをしっかり切り替えるようにしていて、氷の上にいる時と顔つきが違うと言われることもあります。オフの時間にやるべきことは、『休むこと』と『楽しむこと』です。

MESSAGE

岡崎朋美さんから
みんなへメッセージ

岡崎朋美さん写真

ポジティブかつ冷静に、高い壁を楽しんで!

 私の強みは、とにかくポジティブなこと。ヘルニア手術をした時も、焦ることなく絶対に治ると思いながらリハビリを続けていました。田舎育ちの野生の治癒力を信じていたんです(笑)。また、復帰後は記録が出ない時期もありましたが、当然のことだと割り切って、とにかく自分にできることを一つずつクリアしていきました。自分の状況を俯瞰する冷静さも持つことができたからこそ、長い現役生活を全うできたんだと思います。
 失敗や挫折を経験しない人はいません。大切なのは、それをどう捉えるかです。壁は高ければ高いほど攻略のしがいがあると考えて、みなさんには、さまざまなことにチャレンジする活力があるはずです。つまずいた時は、周りの大人を頼ってみても大丈夫。とにかく、プラス思考で自分の人生を楽しんでください!ただし、目標を掲げたのなら途中であきらめず、しっかり有言実行を貫いてくださいね!

※掲載内容は2026年6月の取材時のものです。

清水 宏保選手
清水 宏保選手(スピードスケーター)
自分なりに、目標のある高校生時代を過ごしてほしい
西谷 岳文選手

2004年11月

西谷 岳文選手(スピードスケート・ショートトラック選手 長野冬季オリンピック 金メダリスト)
今の僕にとってスケートの魅力は、自分だけでなく相手があって滑る楽しさなんです。

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一