【特集】平野早矢香選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

アスリートからの熱いメッセージ

平野 早矢香選手

平野 早矢香選手

卓球選手 ミキハウス所属
ロンドンオリンピック卓球女子団体銀メダリスト

PROFILE

1985年3月24日生まれ。栃木県鹿沼市出身。卓球選手の家族の中で育ち5歳から卓球を始める。小学校時代にはその才能を発揮し全国大会で2位の実力を身につけていた。そして中学校から名門校である仙台育英秀光中学校、仙台育英学園高等学校と進み、全日本卓球選手権大会ジュニアやインターハイなど数々の大会で優勝し日本の期待の若手として注目を集めた。高校卒業後はミキハウスに入社。そして18歳の若さで全日本卓球選手権で初優勝を飾ると翌年も連覇、その後も通算5回の優勝を飾っている。また世界選手権では団体戦において、2004年から通算4個の銅メダルを獲得している。2008年の北京オリンピックでは女子団体4位という結果を残し、2009年~2010年は中国卓球クラブリーグ甲Aリーグに参戦、技に磨きをかけて挑んだ2012年のロンドンオリンピック女子団体戦では、福原愛選手、石川佳純選手と共に見事、日本初の銀メダルに輝いた。

平野 早矢香選手の学生時代は・・・

卓球で全国のトップを目指し、中学から仙台育英へ

平野 早矢香選手写真
 私の両親も高校・大学・社会人とずっとクラブで卓球をやっていたんです。そういった環境だったので、子供の頃から両親の試合を見に行ったりして「私も卓球をやりたい!」と言ったのが5歳のときでした。そのときからクラブに通って卓球をするようになったんです。最初はボールのラリーが楽しくて、どんどん好きになっていきました。小学校の頃には大会に出ていましたが、栃木県はたまたま低学年の選手が少なくて小学校1年生で全国大会に出場できたんです。このときは2回戦で負けましたが(笑)、2年生の時にまた出場して2位になれたんです。その嬉しさと、決勝で負けた悔しさが「次は絶対に優勝したい!」という気持ちになって、どんどん夢中になっていきました。子供ながらに闘志を燃やしていたんでしょうね(笑)。ただ、当時の栃木県では小学生は結構卓球が強かったんですが、中学校にはあまり強いところがなかったんです。そこで小学校5年生の時に仙台育英から声をかけていただき、「できることなら卓球で全国のトップを目指したい」という気持ちもあったので、大きなチャンスだと思いました。でも両親は反対でした。やはりまだ子供だし、高校からでもいいんじゃないかということは言われました。でも私の思いは「中学から行かないと無理!」って思っていたので押し切ったかたちで仙台に行くことを決めたんです。
 仙台育英秀光中学校からは親元を離れての寮生活。最初は不安もありましたが、強いチームの一員になれたことが嬉しかったし、寮生活はすごく楽しかったですね。授業が終われば練習場も自由に使える環境だったので、自然と馴染んでいきました。それに両親の反対を押し切って入学したんだから、途中で帰れないという気持ちもありました。そんな思いもあったから頑張れたんだと思います。中学・高校時代を通して仲間と共に生活し、大好きな卓球に打ち込めたことは選手にとってすごく恵まれていたなと思います。

全日本から世界へ、そしてオリンピックへ

中国リーグ参戦で学んだことも大きかった

平野 早矢香選手写真
 高校卒業後も、大学に進学して卓球を続けていこうという気持ちはありました。そして社会人になってもプレーヤーとしてやっていきたいとも思っていました。でも実際には、高校1年までタイトルをとったことがなかったので、世界選手権やオリンピックで活躍するのは夢の夢って感じだったんです。ところが高校1年のときにジュニアで初優勝し、翌年の世界選手権で日本代表に選ばれました。はじめてナショナルチームの合宿に参加した時は、日本のトッププレーヤーの中で練習するだけで、お腹を壊してしまいそうでした(笑)。でも、この経験が自分自身の卓球に対する意識を大きく変えたんです。「もっと世界で戦いたい!トップを目指したい!」という気持ちを強くしてくれました。特にオリンピックは、卓球競技にとっても一番大きな大会ですから、「そこに出たい!」という気持ちも強く持つようになりました。
 そして初めてのオリンピックとなった北京大会では団体4位でしたが、やはり中国の強さはすごかった。その後、私も中国卓球クラブリーグ甲Aリーグ(中国超級リーグの下部リーグ)に参戦しましたが、やはり中国卓球界の層の厚さには驚きましたね。はっきり言って試合会場の環境なども決していいとは言えませんが、そんなことは関係ないって感じです。どんな環境でもプレーできて、なおかつ勝ちに行く強い姿勢を感じました。技術面はもちろん、そういった精神面や緊張感みたいなものを学ぶことができたと思います。
 そんな経験も積んでの今回のロンドンオリンピックでした。あんなに興奮して盛り上がるのはオリンピックならではという印象がありますね。最高の緊張感の中でプレーできたこともすごく楽しかったし、自分自身すごくいいプレーができたと思います。中でも準決勝のシンガポール戦で逆転ポイントを取れたことは、すごく嬉しかったし一番印象に残っています。そして決勝では中国に敗れて銀メダルでしたが、あんなにオリンピックを楽しんで試合できた結果の銀メダルでした。終わってからも、もっと試合がしたいと思いました(笑)。

平野 早矢香選手からのワンポイントアドバイス

基礎があってこそ、技術を積み重ねることができる

平野 早矢香選手写真
 卓球は相手との距離が近い対人競技です。面白さはやっぱり戦術的な駆け引きですね。自分のプレーだけでなく、相手のプレー、力をいかに上手に自分のプレーにいかせるかが面白みでもあると思います。また、至近距離で速いボールを連続的に打ち合うのでボールの回転や変化、コースを見逃さないで集中して戦術を立てていくので、頭も使うスポーツです。体力や技術だけでも勝てないのが卓球です。どんなスポーツも基本がしっかりしていなければ上達しません。ちなみに私は中学・高校時代はひたすら時間をかけて基本練習を細かくやっていました。
(1)ボールを正確に打つ・・・フォアとバックのボールをゆっくり正確に打つことが基本です。そして次にはフォア、バックの切り返しを繰り返し練習していく。このときボールを当てるラケットの位置(場所)も気をつけるようにします。
(2)フットワーク・・・卓球は限られたスペースを細かく速く動いてボールを打つスポーツです。前後・左右のフットワーク練習で、細かい足の動きを身につけるようにします。
(3)手の動き・・・フットワークと共に手や腕の動きも重要です。腕の角度や手首の動かし方、ラケットのにぎり方まで、正しい基本のフォームを身につけるようにしてください。
(4)サーブ・レシーブ・・・サーブで先手をとれれば有利にゲームを進めることができます。まずは正確なサーブ・レシーブを繰り返し練習して身につけてください。

 他にも基本トレーニングでランニングなどもやりましたが、基礎体力をつけておくことは大切だと思います。その上で基礎の練習をしっかりと細かくやることで、ちゃんとした土台を作ることは大切だと思います。その上に技術を積み重ねていくことで上達するんです。そして大事なのは対人スポーツということ。相手がどんなボールを返してくるかでこちらの動きも変わります。技術を磨くことももちろん大事ですが、相手を見ることも大切なプレーの一部です。いろんな選手と練習して、いろんなボールを打ったり受けたりして、あらゆるパターンを経験しておくことも大事だと思います。

平野 早矢香選手からみんなへメッセージ

目の前の壁を乗り越えた達成感は、忘れられない

平野 早矢香選手写真
 私は中学から寮生活を送り卓球にひたすら打ち込んできました。環境にも恵まれていたし、同じ目標を持つ仲間との共同生活もすごくいい経験だったと思います。そんな恵まれた環境の中でも、成果が出なくて苦しかったこともありました。でも目標を持って、目の前の壁をひとつずつ乗り越えてきたからこそ、喜びと感動、達成感があります。そのことを忘れないで、次の目標に向かっていくつもりです。
 来年の全日本選手権、2014年には東京で世界選手権も開催されます。そこでいい成績を出して盛り上げていきたい。そして何より今年は、ロンドンオリンピックで大きな目標を達成できたことが嬉しかった。ただ今回はシングルには出ていないので、次のリオデジャネイロオリンピックでは、個人・団体に出場できるように、そしてもちろんメダルを狙います。高校生のみなさんも、夢にチャレンジすることで喜びと感動、達成感を味わってください。

※プロフィール等は2012年10月時点のものです。

丹羽 孝希選手
丹羽 孝希選手(卓球選手)
強くなりたければ、あえて厳しい環境に身を置くことも必要
岸川 聖也選手
岸川 聖也選手(プロ卓球選手 北京オリンピック日本代表)
苦難や壁を乗り越える気持ちの強さが、人を大きくする
松下 浩二選手
松下 浩二選手(プロ卓球選手)
何かにチャレンジすること、それ自体が自分の成功だと思う

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一