PROFILE
1990年12月24日生まれ。千葉県出身。小学校入学前よりフェンシングを始め、小学校6年生の時に全国大会で初優勝を経験した。慶應義塾高等学校進学後は、2007年の世界ジュニア・カデ選手権のフルーレ個人で優勝。慶應義塾大学時代は2012年のアジア選手権大会で3位となり、ロンドンオリンピックのフルーレ個人・団体の日本代表に選出。そしてロンドンオリンピック男子団体では見事に準優勝、銀メダルを獲得した。また翌年のアジア選手権大会では個人・団体共に準優勝し、2014年のアジア大会では強敵・中国を下し金メダルに輝いた。世界選手権での個人優勝やオリンピック、アジア大会のメダリストとして、今後も活躍が期待される日本人フェンサーのひとり。三宅 諒選手の学生時代は・・・
フェンシング部のインターハイ出場が、一番の目標だった
中学生になっても学校にフェンシング部はなかったし、誰もが知っているスポーツでもなかったので、あまり同級生にフェンシングをやっているとは話さなかったですね。ただ学校で表彰されることもあって、みんなは何となく「フェンシングをやっている人だ」と知っていた。中学生にとってはその程度の関心事だったと思います。
慶應義塾高校に進むとフェンシング部もあり、学生生活に大きく関わってくるようになったと思います。周りにも強い選手がどんどん増え、練習や試合の割合も多くなりました。世界ジュニア・カデで日本人として初めて個人優勝することができたのも高校の時です。当時はフェンシングに打ち込みながら高校生としての時間も充実していましたし、フェンシング部のインターハイ出場が一番の目標でした。ただ高校時代の心残りはというと、毎年春に世界大会に出場していたので、日本で桜が見られなかったことですね(笑)。
ジュニアからシニアへ、そしてオリンピックのピストへ
技術だけでなく駆け引きが必要となる、格闘技版のチェス
ご存じのようにフェンシングにはフルーレ、エペ、サーブルと3種目あります。スピード感のあるサーブルやオーソドックスなエペに比べると、緻密さがフルーレの面白みだと思います。対戦相手に対し、より戦略性の高い付き方や切り方をするか。それをいかに審判員にアピール、アクションするかの駆け引きが重要なんです。またフルーレにおいても国内用と世界用では違いがあったりして、僕の場合、世界では結構勝てるんですが全日本では意外と勝てません。そういった微妙な相性が良くて、ロンドンオリンピックの銀メダルに結びついたのかもしれませんね。
フェンシングとは一言でいうと「守るスポーツ」なんです。その名称や歴史からもわかるように、約束や名誉といった精神を守り1対1で戦うことに重きをおいています。そこには細かいルールやマナーが存在し、厳守して戦うことが基本とされています。でも決して厳格なだけではなく、対人競技の中でも格闘技版のチェスと例えられるほど頭脳戦のスポーツでもあります。対戦相手との駆け引き、また審判員との駆け引きなどもあって、以外と知らなかったフェンシングの醍醐味を感じていただければ、より見どころも多いスポーツではないでしょうか。
三宅 諒選手からのワンポイントアドバイス
練習量は、確実に自分自身の強みになる
(1)ウォーミングアップ・・・練習を始める前に適度なランニングなどで体を温め、筋肉をほぐしてから始めるようにしていました。
(2)フットワーク・・・剣を持たずに基本的な動きを繰り返し、足の運び方や腕の使い方、フォームなどを体に憶えさせることが大事です。
(3)基礎練習・・・フェンシングで重要な突きなどの基礎的な動きをひたすら繰り返して練習します。この時にフットワークで身につけた体の動きを意識して練習します。
(4)実践練習・・・試合を想定した実践練習では、相手との間合いや距離を常に考えて、突ける位置まで近づくことを意識してください。実際の試合では距離と間合いを駆使して、いかに有効的な突きを相手に出せるかが大事になります。
(5)体幹トレーニング・・・高校時代、唯一やっていたのが腹筋と背筋でした。ただ、一部の筋肉だけを鍛えるのではなく、インナーマッスルを鍛えて体幹を安定させるスタビリティートレーニングや、敏捷性を高めるアジリティートレーニングも有効的だと思います。
他にも初心者の頃、一番練習したのはフォームや型でした。自分の動きや構えをビデオに撮り、何度も繰り返し見ては身につけました。そして高校生の皆さんにとって大事なのは、勝ちパターンを作ること。高校の3年間に出来ることはしれていますが、自分の得意な技をひたすら練習して、試合で生かせる強みにしてください。確実に言えるのは、練習量は強みになるということです。
※プロフィール等は2018年12月時点のものです。
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