【特集】土居美咲選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

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土居 美咲選手 プロフィール

土居 美咲選手

プロテニス選手 ミキハウス所属

PROFILE

1991年4月29日生まれ。千葉県出身。6歳からテニスを始め、中学時代は全国中学生テニス選手権大会で2度のシングルスベスト4に進出するなどの活躍を見せ、ITFジュニアサーキット転戦を開始した。2007年にはジャパン・オープン・ジュニアシングルスで準優勝を果たした。またジュニア時代はダブルスでも好成績を残し、奈良くるみ選手と組んだ2007年ウィンブルドンのジュニア女子ダブルスでは準優勝、2008年はエレナ・ボグダン選手と組み準優勝に輝き、国内トップジュニアの一人として注目されるようになった。そして2008年12月、17歳でプロに転向し国内サーキットを転戦、初年の2009年はシングルスで2優勝2準優勝、ダブルスで1準優勝の成績を叩き出した。2010年からは国内外の大会にも出場し、全仏オープンでは予選から勝ち上がり自身初のグランドスラム本戦に出場した。2015年からは積極的にWTAツアーを転戦し、10月のルクセンブルク・オープンでWTAツアーシングル初優勝した。その後もツアーシングルで好成績を出し、ウィンブルドンで自身初のベスト16、リオオリンピック出場など貴重な経験を積み今後の活躍が期待されている。

土居 美咲選手の学生時代は・・・

自分で選んだテニス第一の高校進学を、両親も尊重してくれた

土居 美咲選手写真
 テニスをしていた両親に連れられて、テニスコートに遊びに行くようになったのが6歳の時でした。最初はボールを打つのが、ただ楽しかったんだと思います。この頃からアポロコーストテニスクラブに通うようになり、小学校の中頃になると対戦相手がいて打ち合って勝つ楽しさもわかってくると、テニスを楽しむようになりました。最初は週に1、2回だったのが、中学生の頃は週6で通うようになっていました。そして初めて優勝したのが13歳の時、14歳以下の全国選抜でした。やはり印象に残っていますね。この経験がきっかけで益々テニスが好きになり、テニスを中心に進路を考えました。
 私は駿台甲英高校の通信教育を選びました。学業も自分のペースでしっかりできるし、何よりテニスに重きを置いた選択でした。中学3年生くらいからITFジュニアサーキットの転戦にも参加して、遠征に行く機会が多くなっていましたから。とにかくテニスを第一に考えた進路選びでしたが、両親も私の選択を尊重してくれていました。なので私の学生生活は同年代のみんなとは違って、テニス以外は自宅で勉強する毎日でした。この頃にはテニスクラブから東京にある自由が丘インターナショナルテニスカレッジ(JITC)に練習拠点を移していました。家族も東京に引っ越してきていたので、海外遠征から帰っても寂しくはなかったので助かりました。ただ当時の遠征は金銭的にも大変で、コーチと一緒か一人っきりの時もありました。結構、心細かったですね(笑)。皆さんはテニスプレーヤーとは華やかに思われがちですが、実は若い頃は自分で何でもやらなければいけないし大変なんです。
 そんな思いをしながらも頑張れたのは、やはりグランドスラムで活躍したいという漠然とした目標があったからです。また当時活躍していたベルギーのジャスティーヌ・エナン選手は、プレースタイルにおいても目標とする憧れの選手でした。

プロ転向、そして憧れのグランドスラムのコートへ・・・

テニス選手なら誰だって、グランドスラムで活躍したい!

土居 美咲選手写真
 私の中の大きな転機は17歳の時、プロに転向したことでした。ジュニア時代から高校も通信教育を選び、遠征で試合もかなりしていたのでプロのような生活でした。でもジュニア時代は試合においても協会に派遣してもらったり両親の協力もあり、いろんなものに守られてテニスができていました。でもプロになると自分で稼ぐためにテニスが仕事になりますから、責任感が大きく変わったんです。勿論勝たなければいけないという責任感もあります。ただ急に何もかも変わったのではなく、自立心や姿勢といったものができてプロとして一歩ずつ駆け上がってきた気がします。
 そして翌年からプロとしても海外の試合に積極的に参加するようになりました。中でもグランドスラムは1月の全豪の予選から始まり、5月の全仏では予選から勝ち上がり、憧れの本戦のコートに立つことができました。自分自身、予選を勝ち上がった驚きと本戦で戦える嬉しさがありました。ジュニア時代に憧れた世界の選手と同じコートに立てることが嬉しかったです。テニス選手ならグランドスラムで活躍することは誰もが持つ目標だと思うし、小さな大会から勝ち上がっていかないとグランドスラムには出場できないわけですから、やはり特別で最高の舞台です。また翌年にはウィンブルドンでも本戦に出場し、初めて3回戦に進出しました。グランドスラムの中でもやはりウィンブルドンは特別感がありますね。天然芝のコートもまるで絨毯のようで、ウエアや小物に関しても厳しい決まりがあり神聖な雰囲気がする大会です。
 その後も毎年WTAツアーに積極的に挑戦し、2015年のルクセンブルクオープンで初優勝、2016年にはウィンブルドンで初のベスト16を果たし、リオオリンピックにも初出場しました。一歩ずつですが確実に前に進んでいることを実感しています。

土居 美咲選手からのワンポイントアドバイス

何を身につけ伸ばしていくか、目的意識を持った練習が大事

土居 美咲選手写真
 ジュニアの時はとにかく球数を多く、そして動きの基礎練習が多かったと思います。練習時間は1日5〜6時間。当時、練習メニューはコーチが考えてくれていましたが、内容はこんな感じでした・・・
(1)ストレッチ・・・まず練習に入る前に必ずストレッチをします。基本は動きながら筋肉を動かすダイナミックストレッチで、心拍数を上昇させて体温を上げる効果があります。他には俊敏性や敏捷性を鍛えるアジリティートレーニングやダッシュなどをして、筋肉を温めながら刺激を与えることができます。
(2)ストローク他・・・実際にラケットを持って1対1で打ち合う対人練習です。最初は身体や筋肉を温め、次にボレーやサーブといった基本を約30分ぐらいします。本格的な練習に入る前のウォーミングアップ的なものです。
(3)球出しの練習・・・安定して球出しされたボールを打ち返すことで、打球の感覚やフォームを意識して練習ができます。フォアハンド、バックハンドなどいろんな打ち方を練習します。
(4)振り回し・・・コーチなどに多様なコースにボールを打ってもらい返していく練習です。野球でいえばノックみたいな練習です。多彩なコースとボールに対応できる動きと技術を身につけます。
(5)試合形式・・・最後に実際のゲーム形式でポイントを取りながら進めていきます。サーブやボレー、フォアハンドやバックハンドなど、あらゆる動きやゲームを組み立て方も身につけていきます。

練習内容は個人差があると思いますが、例えば私の場合は身体が小さかったのでフットワークが重要になると考えていました。特に外国選手のパワーやリーチの長さに対抗するには、しっかりと足を動かして走り回り、アグレッシブに返球していくことだと思います。それと例えばフォアハンドが得意ならその長所を伸ばし、得意技でどれだけ攻められるかが大事になってくると思います。基礎は勿論大事ですが、どの部分をどう伸ばしたいのかなど、何より目的意識を持って楽しく練習することも大事にしてください。

土居 美咲選手からみんなへメッセージ

興味を持てば持つほど、未来の選択肢はきっと広がる

土居 美咲選手写真
 テニスは対人競技です。でも相手がいてこそ生まれるプレーなので、同じもの、同じプレーはありません。勿論いい時も悪い時もあり、勝つことも負けることもありますが、そんな刺激的なところがすごく楽しいです。また試合はゲームなので、相手によってどのように組み立てていくかもおもしろいスポーツです。
 私はジュニア時代からテニス中心の毎日を送ってきましたが、最初は興味を持ち、次に強く上手くなりたいという思いがどんどん出てきました。やがてグランドスラムという目標を持ち、少しずつ駆け上がってきました。そして次は東京オリンピック出場が一番の目標です。2016年にリオデジャネイロオリンピックに出場しましたが、いろんな競技の選手と交流できることも楽しいし、何よりアスリートである以上、4年に一度のオリンピックにかける思いの強さにすごく刺激を受けました。そのビッグイベントが次は東京で開催される。やはり自分もそこにいたい、刺激を受けたいという思いが挑戦するパワーになっています。皆さんも高校時代、若いうちは色んなことに興味を持ってほしいです。興味を持って、そこに近づくために一生懸命になれるのが今だと思います。たくさん興味を持ったことで選択肢が増えて、色んな道が開けていくので未来はきっと明るい!

※プロフィール等は2019年11月時点のものです。

西岡 良仁選手
西岡 良仁選手(テニス選手)
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奈良 くるみ選手(テニス選手)
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神尾 米さん(元プロテニスプレーヤー)
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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一