【特集】山田優選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

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山田 優選手 プロフィール

山田 優選手

フェンシング選手 自衛隊体育学校所属
ミキハウス所属
2020東京オリンピックフェンシング男子エペ団体金メダリスト

PROFILE

1994年6月14日生まれ。三重県鳥羽市出身。小学2年生からフェンシングのフルーレを始め、中学2年生の時に全国カデエペ選手権での入賞を機にエペに転向すると才能を発揮し、頭角を現しはじめた。三重県立鳥羽高等学校時代は、全国高等学校総合体育大会でエペ個人2連覇を達成している。卒業後は多くのトップ選手を輩出している日本大学に進学、2014年の世界ジュニア・カデ選手権で日本勢として初優勝を収め、その後は日本代表に定着した。大学卒業後は自衛隊体育学校に所属。2017年ユニバーシアードでは日本人初の個人銅メダル、2018年アジア大会でも日本人初の団体金メダル、2019年のワールドカップでも団体優勝という好成績を打ち出し、数々の記録を作ってきた。2020年、ハンガリーで開催されたワールドカップグランプリ大会で、シニアの国際大会において初優勝しオリンピック出場を決めた。そして1年延期となった2020東京オリンピックでは、エペ団体において最後はROC(ロシアオリンピック委員会)を破り、日本フェンシング界の悲願である金メダルを獲得した。

山田 優選手の学生時代は・・・

興味半分で始めたエペの魅力にはまり、中学でエペに転向

山田 優選手写真
 僕が生まれ育った三重県鳥羽市には、「鳥羽フェンシングクラブ」というスポーツ少年団がありました。子どもの時から体が弱かった僕に、何かスポーツをと母がいろいろと勧めてはやらせていたようです。その中で出会ったのがフェンシングで、姉も一緒に始めることになったんです。でも本当のきっかけは、当時から何をやっても勝てない近所の子に勝ちたい一心で、その子と同じフェンシングを始めたのが事実です。フェンシングの初心者は、基本技術が集約されたフルーレを教わることが多く僕も最初はフルーレ種目をやっていました。でも中学生になってもフルーレでなかなか成績が出せていなかったんです。そんな時、エペの大会にも興味があったので出場してみたところ、たまたま現日本代表コーチのゴルバチュク氏が試合を見に来ていました。そして「エペ専門にやろうよ」と声をかけてもらいエペ種目に転向しました。最初は興味半分で始めたエペでしたが、段々とその魅力にはまっていきました。
 フランスで生まれたといわれるフェンシングにはフルーレ、エペ、サーブルと3種目ありますが、その中でもフェンシングの元になったと言われているエペは競技人口も一番多い種目です。したがってエペで頂点を取ればフェンシングの真のチャンピオンになれるという魅力も感じました。また競技としてはすごくシンプルで、先に突いた選手にポイントが入るというルールもわかりやすくていい。見ている方も楽しいと思います。でも競技者にとっては、シンプルだからこそ駆け引きが難しくて面白いんです。この頃からフェンシングの本当の面白さを感じるようになったと思います。
 中学時代は学校にフェンシング部はないので、バスケット部に入り、週に2回だけフェンシングの練習に通っていました。でも高校進学は、フェンシングの優れた指導者がいると聞いていた地元の鳥羽高校に進みました。

日本大学から自衛隊体育学校、そしてオリンピックへ

どうせならジュニアからシニアへと、さらに上を目指したい

山田 優選手写真
 高校時代は2年と3年の時に全国高等学校総合体育大会(インターハイ)で2連覇しましたが、どうせやるならジュニアからシニアへと更に上を目指したいと思うようになりました。そのためには大学でもフェンシングを続けていきたい。そう思って日本大学文理学部体育学科に進みました。鳥羽高校時代の指導者の先生も日本大学OBで薦めていただき、同じフェンシングをしている姉も日本大学でしたから迷いはなかったです。
 日本大学の監督の教えは、競技力だけじゃなく人間性も大事にするというものでした。僕は高校までフェンシングでは敵なしの状態だったので、周りのことを考えない自分勝手な部分があったと思います。その考えを指摘し変えてくれたのも、今の僕を作ってくれたのも当時の監督と日本大学でした。やがて大学チャンピオン、全日本選手権、アジア選手権、世界選手権と目標を一つクリアするたびに、どんどん夢は大きくなっていきました。そんな中、在学中の2014年、世界ジュニア・カデで日本人初となるエペ優勝は大きな自信とモチベーションになりました。
 また、オリンピックを意識するようになったのもこの頃だったかもしれません。特に2016年のリオデジャネイロオリンピックに、スパーリングパートナーとして同行させてもらったことで、オリンピックへの意欲が膨らんでいきました。そのためには何をするべきかを考えるようになり、卒業後はフェンシングに集中できる環境を求めて自衛隊体育学校に来ました。そして2020年、ハンガリーで開催されたグランプリ大会で優勝した時、東京オリンピックの個人出場が決まりました。ただ東京オリンピックは難しい状況下で、多くの皆さんの協力により開催された特別な大会だったと思います。これまでの大会と違い観客や声援もなかったことで、少し寂しい雰囲気はありました。でも選手にとって、会場と選手村を往復するだけの毎日で、主催者側のスムーズな対応や、ボランティアの皆さんの笑顔には、たくさんの勇気と励ましをいただきました。そしてエペ団体で初の金メダルを獲得できたのも、そんな皆さんの応援と協力があったからだと思います。

山田 優選手からのワンポイントアドバイス

フェンシングの基礎を作るには、やはり反復練習が大事

山田 優選手写真
 フェンシングの練習は、年代や環境によっても多少違ってくるとは思いますが、僕の高校時代はひたすら反復練習でした。毎日、同じことを繰り返す練習は、はっきり言って当時は楽しいとは思えませんでした。でも、当時の反復練習が今の体や動きの基礎を作っていたと今なら理解できます。では実際、どのような練習をしていたかというと・・・
(1)フットワーク・・・ウォーミングアップの柔軟運動をしたら、まずはフェンシング独特の足の動きの練習をします。フェンシングは細長いピスト上を前に後ろにと素早く動きながら戦います。そのためには下半身と脚力を鍛え、フットワークを磨く必要があります。この時、上半身や腕の位置などフォームも確認しながら練習します。
(2)レッスン・・・2人1組で行う動作確認です。パートナーに動きを見てもらいながら技を磨く基礎練習です。この時、ポジションや構え方、相手との距離感や突き方もしっかり確認することが大切です。
(3)ファイティング・・・2人1組で行う実践練習です。実際の対戦をイメージして行います。フットワークやレッスンで鍛えてきた動きを確認しながらの練習です。

練習内容は以上ですが、練習以外で僕が心がけていたことは、リズムを壊さないことでした。例えば生活リズムにおいても朝はちゃんと起きて3食しっかり食べるようにしていました。体を作ることはもちろんですが、精神面とのバランスを大事にすることにもなっていたと思います。でも一番大事なことは、練習もフェンシングも楽しむこと。そして同じフェンシングに打ち込む友達との時間を大事にして、互いに切磋琢磨することで上達できたし自信にもなりました。 フェンシングは流れが大事なスポーツです。僕は特に見せる技が大好きで、ピストの上では常に相手とのタイミングや距離を見て駆け引きをする、そして相手のスキを見逃さず一気に攻める。これがフェンシングの面白さなんです。

山田 優選手からみんなへメッセージ

何ごとも、全力で楽しめる人になってほしい

山田 優選手写真
 今年の東京オリンピックでは、エペ団体で金メダルをとることができ本当に嬉しかったです。でも、初めてメダルを手にしてみて泣けない自分がいました。それは、個人でメダルが取れなかったこと、つまりまだ自分の努力が足りなかったと思えたからです。その悔しさをバネに3年後のパリオリンピックを目指したい。次は個人でもメダルを獲得し、個人と団体、そのメダルの重さの違いを感じたいと思っています。そして今年はパリに向けての新たなスタートとして、まずは11月のスイス大会に挑みます。
 僕は高校時代、フェンシングに全力で挑戦してきたことですごく楽しかったと思います。上達していくことも嬉しかったし結果も出せた。でも一番楽しかったことは、フェンシングを通してたくさんの友達ができたことです。友達はただ同じ時間を過ごすだけでなく、一緒に喜んだり刺激しあいながら互いに成長することができたと思います。みなさんも、今だからできることに全力で挑戦してください。そして何よりその挑戦を楽しめる人になってください。

※プロフィール等は2021年9月時点のものです。

見延 和靖選手
見延 和靖選手(フェンシング選手)
目の前のことに一生懸命取り組み、突き詰めてほしい
三宅 諒選手
三宅 諒選手(フェンシング選手)
目標を見失わず、頑張った分だけ結果にこだわってもいい
淡路 卓選手
淡路 卓選手(フェンシング選手)
今の時間と有り余るエネルギーを大事にしてほしい
千田 健太選手
千田 健太選手(フェンシング選手)
負けを次にどう生かすかが大事
太田 雄貴選手

2010年8月

太田 雄貴選手(フェンシング選手)
自分が、自分らしくあるために

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一