【特集】西谷岳文選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

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西谷 岳文選手 プロフィール

西谷 岳文選手

長野冬季オリンピック 金メダリスト
スピードスケート・ショートトラック選手

PROFILE

1979年生まれ。大阪府出身。小学校からスケートを始め、高校生の時、初めて世界ジュニア選手権に出場する。その後、阪南大学在学中に出場した1998年長野冬季オリンピックで見事金メダルに輝いた。日本の冬季オリンピック史上、若干19歳でのメダリストは初めてとなり、4年後のソルトレイク冬季オリンピックにも期待がよせられたが、国内での最終選考会で骨折。ケガを克服し出場するが、惜しくもメダル獲得はできなかった。現在はサンコースピードスケート部に所属し、国内外の競技会で活躍。先ごろ開催された全日本選抜選手権大会では、1500m、3000mで優勝を飾っている。

西谷 岳文選手の学生時代・・・

みんなの応援から生まれた、たった一人のスケート部

西谷 岳文選手写真
小学生の頃は野球をやってました。でも、なかなか試合にも出してもらえなくて、いつもグランドの周りを走ってました。その頃から、子供心にも「強くなるには足腰をきたえないとダメだ」と思って、新聞広告で見たスケート教室に週1回通うことにしたんです。当時はただリンクの中を滑ったり走ったりして、遊び感覚でした。だから教室の先生に「ショートトラックをやってみないか?」と誘われたときも、スピードの速さにビビッて即、断りました。でも1年後にもう一度誘ってくれたときには「じゃあ、ちょっとやってみようかなぁ~」ぐらいの気持ちで初めてスピードスケート靴を履いたんです。
初めての試合は小学校3年生の時、500mで8回くらい転んで、身体は痛いし寒いし、ちょっと悲しくなりましたね。でも、自分の周りの人が優勝したり賞状をもらうのを見ていると「僕も上手になりたい、たくさん転んでも上手になればいいんだ!」と思うようになって、今では転ぶことは、かなりうまいんじゃないかなぁ~(笑)。
中学入学と同時に、地域の「スピードスケートクラブ」に入ったので、放課後はクラブ通いの毎日が続きました。学校でのクラブ活動の思い出といえば、唯一、高校時代でしょうか。
僕が通っていた高校には、スケート部はありませんでした。ところが、僕一人のためにスケート部が誕生したんですよ。でも部員は僕一人だけ。実際、学校で練習や活動はありませんが、「学校のクラブ活動なら顧問も必要だ」と、ちゃんと顧問の先生もいらっしゃいました。ちょっとユニークなクラブ活動の思い出でしょ(笑)。
スケートやスキーといったスポーツは設備や環境が必要で、北海道や東北といった北の地域では設備や環境に恵まれていますが、大阪という場所ではなかなかそうはいきません。だから、学校にスケート部やスキー部が無いのは当然なのに、僕のために作ってくれたことは、すごく嬉しかった。他のクラブ活動をしている同級生たちと同じように扱ってもらった気がします。

一度はまるとやめられない!それがオリンピックの魅力

西谷 岳文選手写真
オリンピックというものを意識したのは中学時代ですね。出場した大会がリレハンメル冬季オリンピックの選考会だったんです。その時は自分の技術もまだまだだったので、満足できる結果が出せなかった。それが「4年後は確かな結果を出したい!」と初めてオリンピックを意識したときでした。
4年後、長野冬季オリンピックの代表選手に選ばれたとき、もちろん嬉しかったけど「オリンピックだ!」という実感はあまり無かったですね。監督にも「経験することが、これからのプラスになる」と言われたので、プレッシャーも無かったですし。
そして迎えた開会式、オリンピック独特のムードは僕をすごくハイテンションにしましたね。あのハイテンションの中で金メダルを手にしたことは、ものすごい快感でした。「はまってしまった」という感じですね。もう一度、もう一度とやめられないのがオリンピックです。なのに、2度目のソルトレイクの時は、最終選考会で骨折してしまって「自分では大丈夫!」とは思っていても、やはり最高の滑りはできなくて悔しい思いをしました。
今は、どうしても照準をオリンピックに合わせてしまうんですよね。特に4年に1回だし、現役で滑れる年齢も考えると2006年のトリノが最後のチャンスかなと思いますね。それまでは、オリンピックの魅力を噛みしめながら頑張ります。

西谷 岳文選手からのワンポイントアドバイス

日頃から、足腰を鍛える陸上トレーニングを

西谷 岳文選手写真
スケートといえば、どうしてもスケートリンクでの練習ばかりをイメージすると思いますが、陸上でのトレーニングも欠かせません。スポーツ全般に体力や柔軟性、筋肉などが必要ですが、特にスケートでは下半身が大切です。足腰の筋肉や柔軟性、下半身のバランスが悪いと、いくらスケートリンクで滑っても良い結果は出せません。そのために僕は、日頃から陸上トレーニングにも力を入れています。

基本的な練習メニューは
(1) 自転車・・・自転車を使ってロードすることで、ひざや足腰を鍛えます。
(2) ランニング・・・普通のランニングに加えて、坂道を走って上ったりします。また、尻やももの筋肉を意識しながら傾斜面を大股で上ることも筋肉強化には効果的です。
(3) ウェートトレーニング・・・ジムでマシーンなどを使って、全身の柔軟性や筋肉を鍛えます。特に重りを持ってジャンプするトレーニングは、ひざや関節を強化するし、ジムでなくてもどこでもできるトレーニングです。その他、スクワットなどのひざの屈伸運動も大切です。

ではスケートリンクでの練習メニューは、専門的になるのですが
(1) みんなでリレーのように流しながら10分くらい滑ります。タイムは関係なく、身体を温めて、関節や筋肉をほぐすことが目的のウォーミングアップです。
(2) 500mや1000mをタイムを計りながら何本か滑ります。
(3) 数本滑った後に、今度は中距離を滑ります。特に、レースの中での動きや技の組み立てをシミュレーションしながら滑ります。
(4) 仕上げは、他のメンバーと実践的なレースを滑ります。
など、実際にスピードスケートをしている人や、興味のある人は参考にしてください。
その他に、スケートリンクでも陸上でも大事なことですが、ただがむしゃらに練習をこなすのではなく、動きや筋肉の使い方などをイメージして練習してください。練習の多さよりも、意識を集中させてやることがより効果的だと思います。

西谷 岳文選手からみんなへメッセージ

自分の知らなかった可能性や才能を、きっと見つけてください。

西谷 岳文選手写真
今の僕にとってスケートの魅力は、自分だけでなく相手があって滑る楽しさなんです。自分でレースを組み立てて、それがうまくいったときは嬉しいから。そのために練習もするし、身体も鍛えているんですよね。でも、そう思えるようになったのは、長野オリンピックからかもしれません。それまでは「できるかなぁ~」とか「しんどいなぁ~」といったマイナス思考だったと思います。それが、オリンピックで180度変わりました。自分がチャレンジしてきたことに、すごく満足できたから。人間的にもすごく明るくなったしね。
今の世の中、選択肢はいっぱいあるんだけど、何かに挑戦するチャンスって難しいとも思います。でも、何でもいいと思う、僕の場合はスケートだったけど、みなさんもたくさんのことにチャレンジしてほしい。オリンピックじゃないけど、チャレンジすることに意義があるんじゃないかな。結果は後になってついてくるものです。結果を考えすぎるあまりに、立ち止まってしまっては、可能性を見つける前につぶしてしまうかも。
自分自身をみがく方法のひとつとして、好きなことにチャレンジしてください。そして、自分の知らなかった可能性や才能を、きっと見つけてください。

※この記事は2004年11月に取材したものです。プロフィール等は取材時点のものですので、ご了承ください。

清水 宏保選手
清水 宏保選手(スピードスケーター)
自分なりに、目標のある高校生時代を過ごしてほしい

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一