【特集】杉山愛選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

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杉山 愛さん プロフィール

杉山 愛さん

プロテニスプレーヤー

PROFILE

1975年7月5日生まれ。神奈川県出身。4歳からラケットをにぎり、15歳で日本人初の世界ジュニアランキング1位に輝く。17歳でプロに転向。国際公式戦勝利数はシングルス492勝(優勝6回)、ダブルス566勝(優勝38回)。またグランドスラムにおいてはダブルス優勝4回、シングルスでは連続出場62回の世界記録を樹立。WTAツアー最高世界ランキングでシングルス8位、ダブルス1位につけ世界のトッププレーヤーとして活躍した。またオリンピックにも、1996年のアトランタ大会から2008年の北京大会まで4大会連続出場。そして2009年9月、東レパンパシフィックオープンを最後に現役を引退。現在はテニス解説をはじめ情報番組のコメンテーター、海外レポーターなど多方面で活躍する。

杉山 愛さんの学生時代は・・・

高校選びは、テニスに打ち込める環境を考えて

杉山 愛さん写真
 両親が趣味でテニスをやっていたので、私も4歳頃から自然とラケットを持つようになり、週末にはいつも家族で遊んでいました。でも当時はテニスだけでなく、フィギュアスケートや水泳、クラシックバレエなどいろいろやっていたんです。その中からテニスを選んだのは、やはり一番好きだったんでしょうね。そして7歳になると近所にできたテニスアカデミーに通い始め、本格的にテニスをするようになりました。もうこの頃には将来はテニスプレーヤーになりたいと思っていましたね。目標はクリス・エバート選手。プレースタイルはもちろん、フェミニンなかわいらしさにも憧れていました。
 中学になると海外遠征にも行くようになりましたが、私が通っていたところは進学校だったので勉強についていくのが大変でした。でも、友だちに恵まれて「杉山愛ノート」なるものを作ってもらい、遠征の間もノートをとってくれていたので頑張って勉強することができました。やはり中学生としてテニスだけでなく勉強も頑張らなければいけないという思いもありました。
 高校進学に関してはテニスに打ち込める環境を考えて学校を選びました。高校生になると遠征も増え、学校に通う時間も少なくなり、登校すると他の生徒から珍しがられるということもありましたね(笑)。でも私にとっては学校に通うことは楽しかったし、リフレッシュできる時間でもありました。また、授業が終わり練習までの合間に、時には友だちとカラオケに行ったりもしました。時間に追われる高校生活のなかで、プライベートとテニス、どちらも一生懸命になることで生活にメリハリをつけていたんだと思います。

17歳でプロへ、そして走り続けた17年間

グランドスラムで最高のパフォーマンスをしたい!

杉山 愛さん写真
 高校2年の時にプロに転向し、生活もがらりと変わりました。出場する大会数も増えるので、通信制の高校に編入し高校3年生の1年間を2年かけて卒業しました。遠征中もレポートを書いていたりしましたね(笑)。大変だったけど若さの勢いと、グランドスラムという目標もあったので充実していました。ただ、プロになってしばらくは、海外遠征先でも自分の居場所をみつけられなくてホームシックになったこともありました。日本から出ると、誰も私を知らないという寂しさもあったんだと思います。それをどうやって克服したかというと、遠征を楽しむ自分なりの方法を見つけることでした。
 遠征ではいつもホテルと会場の往復ばかりだったんですが、試合ではいつも結果がいいわけではないので負けてしまうと時間ができるんですよ。そんな時は観光したり、その土地を楽しむことにしたんです。遠征を楽しいと思えることでモチベーションも上がり、いつしか結果がついてくるようになり、外国の選手にも憶えてもらえるようになりました。特に海外遠征では選手同士が連絡を取り合い練習したりするんですが、憶えてもらえると声を掛けてもらったりこちらから誘ったりして交流もでき、居場所ができてきたんです。そんな中で嬉しかったのは、あのシュテフィ・グラフ選手から直接、練習に誘われたことです。当時の女子テニス界の女王でしたから、一緒に練習できることはラッキーだし素晴らしい経験になると思いました。
 私の中ではどの大会、試合も大切なものですが、やはりグランドスラムはテニス選手にとって特別のものですね。そこでパフォーマンスするために頑張っていると言ってもいいくらい、そこにピークを合わせてきています。もちろん賞金も高いし、観客やメディアの注目度も違いますよね。その中でも私にとってウィンブルドンは特別の思いがありました。テニスの伝統があり、夢の舞台であり、いつも何かを学べるところでもありました。初めてセンターコートで戦ったときは、正直、足が震えましたね。私のグランドスラムの中でも、印象的だった試合のひとつはマルチナ・ヒンギス選手戦です。もちろんランキングが上の選手でしたが、最高のプレーをして勝てたことは大きかったですね。もうひとつはマリア・シャラポワ選手との準々決勝。敗れましたが、当時の自分の力は出せたと思うし、実際彼女が優勝したので納得しました(笑)。
 またダブルスでは、たくさんの素晴らしい選手とプレーができたことも大切な思い出です。その中でもキム・クライシュテルス選手には学ぶことも多かったし、ダニエラ・ハンチュコワ選手とは今も仲のいい友だちです。

杉山 愛さんからのワンポイントアドバイス

上手くなるためには、効率の良い動きを

杉山 愛さん写真
 テニスは基本的には個人プレーで、プレースタイルも個性もさまざまです。でも、基本プレーを身につけることは大切なことです。そのためにもボールの打ち方や受け方の基本練習を大事にしてください。そして効率の良い動きをマスターすることが上達への近道です。では、いくつか練習のポイントを説明しましょう。
(1)サーブはトスを正確に・・・サーブは唯一自分から始められるショットです。普通のラリーではフォアにしろバックにしろ相手が打ったボールを受けるので、自分のベストポジション、ベストタイミングとはいきません。でもサーブはトスによって自分のベストで打てるのです。自分の打ちやすく力を入れやすい打点を見つけ、正確に上げることが大事なポイントです。
(2)リターンはフットワークが大事・・・相手のボールは決してベストな場所には返してくれません。でも、勝つためのショットを打つには、どれだけフットワークをきかせて自分が打ちやすいボールの位置に微調整できるかです。いくら良いフォームを身につけても、ベストなポジションに入れなければ力は発揮できません。そのためにはやはりフットワークです。特に瞬発力で短距離を移動できる脚力を鍛えるクイックネスと、長い試合にも耐えられる持久力を鍛えるようにしましょう。
(3)セルフケアとストレッチ・・・体や筋肉を常によい状態に保つことも練習の欠かせないポイントです。ストレッチやセルフケアを常に心がけておきましょう。
 プレーの練習についての基本は以上ですが、心のケアやトレーニングも必要です。自分の気持ちと向き合ってコントロールしながら、楽しくプレーできること。そして上達するためには、どういったプレーをしたいのか、自分の目標を持つことが大切だと思います。

杉山 愛さんからみんなへメッセージ

自分探しできるツール、それがテニスだった

杉山 愛さん写真
 2009年9月に、17年間のプロテニスプレーヤーというキャリアを終えましたが、私のチャレンジは続いています。それは自分探しというチャレンジでもあります。今までは、自分を探せるツールがスポーツでありテニスでした。そしてこれからは、別のツールでもチャレンジしたいと思っています。もちろんテニスに関わっていきたい気持ちは変わりませんが、その手段はいろいろあると思うから。いつもアンテナをはって、面白いと思えるものをどれだけ見つけて踏み出せるかが私のチャレンジです。みなさんも、面白いことをたくさん見つけて踏み出してみてください。きっと、これからの生き方に大きな影響を与えてくれるのではないでしょうか。

※プロフィール等は2010年10月時点のものです。

西岡 良仁選手
西岡 良仁選手(テニス選手)
苦しんだり悩んだ経験は、その後の人生に必ず生きてくる
土居 美咲選手

2020年1月

駿台甲英高等学校 出身
土居 美咲選手(テニス選手)
興味を持てば持つほど、未来の選択肢はきっと広がる
奈良 くるみ選手
奈良 くるみ選手(テニス選手)
どんなに苦しいときも、前向きにチャレンジしていきたい
神尾 米さん
神尾 米さん(元プロテニスプレーヤー)
テニスを通して出会えた、かけがえのない人たちがいた

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一