PROFILE
1987年3月5日生まれ。埼玉県出身。東京都世田谷区で三人兄弟の長男として生まれ、小学校入学前に埼玉県に転居し、小学校入学後に陸上を始めた。中学校入学後は陸上部に入り、秋になると臨時で結成される駅伝部で駅伝選手を目指した。高校卒業後は学習院大学法学部政治学科に進学、大学時代には関東学連選抜で箱根駅伝に2度出場している。そして大学卒業目前の2009年2月に、別府大分毎日マラソンでフルマラソンに初挑戦。大学卒業後は埼玉県庁に入庁、「市民ランナー」として大会に参加。2011年2月の東京マラソンでは自己ベストを出して3位に入賞し、9月の世界陸上大邱大会に男子マラソン日本代表に内定・出場した。その後も世界各地の大会に意欲的に出場して実績を重ね、2013年には2度目の世界陸上出場を果たす。また2014年には仁川アジア競技大会に出場し、銅メダルを獲得している。2017年のロンドン世界陸上9位などフルタイム勤務の市民ランナーとしては異例な実績を積んできた。そして2018年4月のボストンマラソンでは、日本人として31年ぶりに優勝。2019年4月よりプロランナーとして活動することを発表した。川内 優輝選手の学生時代は・・・
努力すれば達成できる目標をいつも追いかけ続けていた
そんな中、小学校6年生の時に初めて駅伝に挑戦し、仲間と共に襷をつなぎながらゴールを目指す楽しさ、達成感と喜びに魅了されていました。そして中学では陸上部に入り、駅伝で頑張りたいと練習を積むようになり、順調に記録も伸びていきました。しかし高校では個人では県大会出場がやっとで故障も多く、絶望することもありました。当時は、日本代表はおろか箱根駅伝でさえも雲の上の存在で自分とは関係のない世界でした。だから高校時代の夢は「日本全国市民マラソン巡り」をすることでした。だから、私は「夢」を追うよりも、努力すれば達成できると信じて取り組むことができる目の前の「目標」をクリアしようと必死に練習に取り組んでいました。そして大学進学後は、故障が完治し、競技力の向上も実感できるようになったことで「箱根駅伝6区で60分を切ること」が新たな目標になり、結果として、関東学連選抜チームで箱根駅伝にも2度、出場することができました。また、高校時代からの夢だった「日本全国市民マラソン巡り」は、日本学連選抜として人生初の海外遠征でニューカレドニアに派遣されたことにより「世界各国マラソン巡り」にグレードアップしました。
この頃から距離を伸ばした方が良い結果が出せると感じるようになり、マラソンへの興味を強く持つようになりました。また一緒に練習をしていた先輩やコーチもマラソンを走っていたこともあって、マラソン練習を本格的に始めることになりました。
埼玉県庁入庁、そして市民ランナーとしての飽くなき挑戦・・・
マラソンは、自分自身の可能性を切り開いてくれた
入庁後は、埼玉県立春日部高校に主事として配属され、フルタイム勤務で仕事をしながら練習も積む市民ランナーとして様々な大会に出場しました。実績を残し続けたことで、国内はもちろん、海外の大会からも招待して頂けるようになったので、より意欲的に様々な大会に参加できるようになりました。マラソンは世界中で1年中、レースが開催されているので、招待されるだけの実力をつけて、スケジュールを上手に調整できれば海外転戦を繰り返すことが可能だったのです。
私にとってマラソンは、挑戦することで自分自身の可能性を切り開くための手段でもあります。マラソンで結果を出すことにより日本代表選手として世界陸上などの国際大会にも出場し、小さい頃には想像もできなかった世界を知ることができました。
それだけじゃなく、今の私のように国内外のレースから招待してもらえ、結果を出せば賞金まで獲得できてしまう種目は希少です。来年4月からプロランナーに転向し、「世界各国マラソン巡り=ワールドツアー」を加速させることを決意するためには大きなポイントでした。世界中の賞金レースで、自分がどこまで活躍できるのか、自分自身の可能性をさらに試してみたいと思っています。また、マラソンを通して自分が得た経験を積極的に発信していくことで、より多くの人に、特に過去の私のように競技で挫折しそうになっている人に、「マラソンやスポーツを通じて広がる世界がある」ことを知ってもらいたいですね。それが私の「走り続ける意味」でもあります。
川内 優輝選手からのワンポイントアドバイス
継続と反復を意識した、地道な練習の積み重ねが大切
(1)ジョギング・・・練習の6割以上を占める地味で地道なトレーニングですが、「怪我を故障につなげないこと」と「長距離走を楽しむこと」を意識して走っていました。ランナーにとって基本の練習ですが、故障せずに毎日継続していくことで競技力向上のための土台となるだけでなく、競技に対する充実感を得るための大きな鍵になります。
(2)ポイント練習・・・速く走る・ゆっくり走るを繰り返すインターバル走などのスピード練習。一定のペースで走り続けるペース走や、山の中を何時間も走り続けるトレイルランニングなどの距離走練習。こういった強度の高いポイント練習を、高校時代の週4回から週2回にし、メリハリのある練習を心がけていました。ポイント練習はスピード持久力や心肺機能及び筋力の向上につながります。特に私の場合は、高校まではスピード型練習が多かったのですが、大学で距離走の中間力走を重視するスタミナ型の練習に変えていったことでスタミナの土台ができ、結果につながったと思います。
主な練習内容は以上ですが、他にもベンチプレスやトランクツイストなどの筋トレも週3回やるようにしています。トレーニングには個人差がありますが、一番大事にして欲しいのは「継続と反復」です。地道なトレーニングを同じように繰り返し続けていくことが、必ず結果に結びついていくと思うからです。
※プロフィール等は2018年6月時点のものです。
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