【特集】徳田新之介選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

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徳田 新之介選手 プロフィール

徳田 新之介選手

ハンドボール選手 『豊田合成』所属
日本代表

PROFILE

1995年12月6日生まれ。山口県岩国市出身。ポジションはRB(右バック)。小学2年生の時に地元「IDBスポーツクラブ」にてハンドボールを始める。山口県立岩国工業高等学校時代には、2012年第63回全日本高等学校ハンドボール選手権大会(インターハイ)で優秀選手に選ばれる。高校卒業後、筑波大学へ進学。2014年には第14回男子ジュニアアジア選手権の日本代表U-21に選出され、2015年には第20回男子ジュニア世界選手権に抜擢。2016年1月に第17回男子アジア選手権の日本代表となり、同大会では17得点を挙げる。2017年1月の第25回男子世界選手権、6月の第5回U-22ハンドボール選手権の日本代表に選出され、同年の全日本学生ハンドボール選手権大会では優秀選手賞を受賞。2018年1月に行われたアジア選手権後にハンガリーのダバシュKC VSEへ加入し、現在は、日本ハンドボールリーグ『豊田合成』に所属。2019年6月に開催されたJAPAN CUP2019スウェーデン戦では、チーム最多の7得点を記録し『Man of the match』に輝く。ポイントゲッターとして日本代表でも活躍中。

徳田 新之介選手の学生時代は・・・

おまけだったハンドボールが、気づけば人生の軸になっていた

徳田 新之介選手写真
 ハンドボールを始めたきっかけは、実業団のハンドボール選手だった母の恩師が、僕の地元でハンドボールチームを立ち上げたこと。この流れに乗せられるように(笑)、ハンドボールを始めました。そこからハンドボール一本だったかというと、決してそうではありません。ハンドボールを始めた小学2年生の時、僕は、「色々なスポーツをやらせたい」という父の思いのもと、野球や相撲、マラソンもしていました。中でもメインで取り組んでいたのは野球で、どちらかというとハンドボールはおまけのような立ち位置だったのです。
 それをガラリと変えたのは、当時のハンドボールチームの指導者の存在。僕たちの「やってみたい」を肯定し、好きに取り組ませてくれる指導スタイルが、ハンドボールの楽しさを教えてくれました。これを象徴する出来事が、初めてできた「スカイプレー」です。スカイプレーとは、空中でボールを受け取りそのままシュートを打つ技で、小学生レベルではほとんど見ることがありません。僕がこれを知ったきっかけは、講習に来ていた広島の実業団選手のスカイプレーをたまたま目にしたこと。あまりのかっこよさに心を打たれ、チームの練習時間にもスカイプレーの練習に励みました。今でも、スカイプレーができた瞬間とチームメイトの驚く顔は、脳裏に焼き付いています。これも「やってみたい」を認め、見守ってくれた指導者の方あってこそ。この経験を機に、ハンドボールにより深くハマったのだと思います。
 こうして、中学校では迷うことなくハンドボール部に入部。高校はハンドボールの強豪校である岩国工業高等学校に進学しました。ここで、僕は初めての挫折を経験します。野球をやっていたこともあり、比較的肩が強く、球速も早かったのですが、これが高校1年生の始めての大会で全く通用しなかったのです。悔しさと恥ずかしさで試合中に涙が止まらなくなり、監督に「泣くな!」と怒られる始末。この経験が自分のプレーを見直す大切さを教えてくれたと同時に、「絶対に見返してやる」というやる気にも火をつけてくれました。あまり思い出したくない記憶ですが、一気に成長したきっかけになったと確信しています。

不安よりも楽しさが勝ったハンガリー時代

差は一点 勝敗を決する場面を託されて学んだメンタルの大切さ

徳田 新之介選手写真
 筑波大学への進学も、実は母が関係しています。母は、高校卒業後、今のオムロン(女子ハンドボール1部リーグ)でプレーをしていたのですが、本当は筑波大学に行きたかったと、よく話していました。筑波大学からお誘いをいただいた時、母の話を思い出した僕は「これも何かの縁かも」と思い、進学を決意しました。
 大きな契機となったのは、大学3年生のときに日本代表としてハンガリーへ遠征したこと。日本では味わえないレベルの高さを実感し、海外でのプレー意欲がグンと高まりました。もうひとつ印象的だったことは、海外選手の「生活のためのハンドボール」という意識です。勝てばボーナスが出て、負ければ報酬が出ないという環境下でハンドボールをする選手を見て、人生をかけるというスリルある環境は、自分を成長させてくれると強く感じました。この遠征がプロを志す大きなきっかけになったと思います。
 大学卒業後は、ハンガリーのダバシュKC VSE(ハンガリー1部リーグ)へ加入し、一年半プレーをしました。不安もありましたが、チームの中で一番小さい自分が、大きな選手から点を取る楽しさの方が勝っていましたね。ただ、言語の壁には苦戦しました。海外のチームは「自分の意見をきちんと伝えること」が、チームを作る上でも重視されているので、とにかく必死に英語を勉強しましたね。次第にチームメイトとも話せるようになり、交流を深めていけたことも楽しかったです。
 ハンガリー時代、特に印象に残っているのはアウェーな中で行われた一戦。ハンドボールにもサッカーでいうPKのようなものがあるのですが、ゲーム時間残り3秒、点差は1点で外せば負けという、まさに勝敗を左右する場面でその役割を任されたのです。ブーイングがこだまする中、僕が打ったボールは外れ、結果は敗北。本当に悔しくてたまりませんでした。ただ、その時気がついたのが、僕は打つ前「外したらどうしよう」という不安でいっぱいだったこと。メンタル面ですでに負けていたと感じました。それからは、「絶対に決める」という気持ちをあえて口に出すことを意識するようになり、メンタルの強化にも通ずる経験になりました。

徳田 新之介選手からのワンポイントアドバイス

特別な器具を使用せず、自分の体重下での体づくりがおすすめ

徳田 新之介選手写真
 ハンドボールは、走る・投げる・飛ぶという3つの要素があるうえ、接触も許されているスポーツ。体力や持久力、瞬発力だけではなく、接触したときに倒れないような体作りが求められます。

(1)器具を使わないトレーニング…中高生のうちは、特に負荷をかけず、自分の体重を使ってトレーニングすることが大切だと思います。というのも、僕が高校生のとき、重い器具を使ってけがをする選手がとても多かったからです。
トレーニング法は、基本中の基本ですが、腹筋・背筋・腕立て伏せ・逆立ちや手押し車などがおすすめ。例えば腹筋なら、普通の腹筋だけではなくボールをもって左右にお腹をひねるものや、V字腹筋などさまざまな種類に取り組んでみてください。僕も今、色んな腹筋を組み合わせて、20回を10セットとしてトータル200回の腹筋をしています。
逆立ちは、壁に足をつけて30秒キープを目標に。余裕がある人はそこから腕立て伏せも行ってみましょう。5回できればよいと思います。

(2)ハンドボールコートランニング…コートのラインを利用して 【走る→戻る】を繰り返すトレーニングです。一方のゴールからスタートし、順番としては【ゴール(以下、G)→6mライン→G(※戻る)→9mライン→G→ハーフライン→G→逆側の9mライン→G→逆側の6mライン→G→逆側のゴール→G】という流れです。これを1セットとして3本できれば十分でしょう。かなりきついと思いますが、体力、持久力がつきますし、瞬発力も上がります。

(3)自分の限界までの遠投…ほとんどの人が、20mほどの距離でキャッチボールをしているかと思います。これにプラスして「自分の限界の距離まで投げる」こともぜひ取り入れてみてください。常に遠くへ投げることを意識すると、必ず球速が上がります。これは僕も実感していることです。基本40mあるハンドボールコートをうまく活用して、どんどん遠くへ投げる意識で取り組んでみてください。ハンドボールは投げる競技ですから、球速が早い方が絶対に有利です。

もうひとつ大切なことは、自分の弱さと向き合うこと。挫折を知った高校1年生の時、僕は、右側の動きが全くできていないことを監督から指摘されました。そこで、練習中は常に右に行くことをとにかく意識。これが、弱点克服にもつながり自分が一皮むけた理由だと思っています。

徳田 新之介選手からみんなへメッセージ

弱点を武器に変える意志の強さが未来を創る

徳田 新之介選手写真
 一番大切にして欲しいことは、部活動を全力で楽しむこと。それから、監督や指導者からさまざまなことを教えてもらうと思いますが、その指導の意味や理由を考えるようにしてみてください。そうすれば、自然と考える力が身につきます。これは、社会人になってから本当に役立つ力ですから、意識的に取り組むことをおすすめします。
 また、他の人と比べて自分が劣っている点を決して卑下せず、自分の武器に変えられないか考え抜いてください。僕は、他のハンドボール選手に比べて腕が短いので、ハンドボール選手特有の鞭のようにしなるシュートが打てません。それでも、腕が短い分コンパクトに振れるので、ディフェンスやキーパーが準備するよりも前にシュートを打つことができます。このスピードが自分の武器になると気がついたのは、高校生の時。「クイックシュート」とも呼ばれるのですが、これだけは絶対に負けないようにと練習には人一倍取り組みましたし、誰よりも速い自信があります。自分の弱点を強みに変えることを諦めないでくださいね。
 僕は、自分が活躍したり、結果を残す姿を見せることが今まで育ててくれた恩師や、応援してくれる両親、ファンの皆さんへの恩返しになると思っています。今、東京オリンピックに向けて調整を進めていますが、そんな人たちと一緒に喜びを分かちあえるよう、コートに立って活躍できる準備を整えていきます!

※プロフィール等は2021年2月時点のものです。

玉川 裕康選手
玉川 裕康選手(ハンドボール選手)
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宮崎 大輔選手(ハンドボール選手 ハンドボール日本代表)
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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一