PROFILE
2002年10月21日生まれ。大阪府出身。3歳の頃から体操を始め、小学校に通いながらトミオカ体操スクールに通う。その後、体操の強豪である清風中学校・高等学校に進み練習を積んでいった。2018年、ブエノスアイレスユースオリンピックにおいて個人総合、床運動、つり輪、平行棒、鉄棒で5冠を達成し、オールラウンダーの選手として一気に注目を集め代表の有力候補に名乗りを上げた。高校卒業後の進路は大学ではなく実業団の徳洲会体操クラブに所属することを決め、通信制の星槎大学に在学している。そして2021年6月、初めての代表入りを果たし、8月の東京オリンピックでは体操男子団体で見事、銀メダルを獲得した。体操界の新世代オールラウンダーとして、今後の活躍が期待されている。北園 丈琉選手の学生時代は・・・
体操を極めたいという思いで決めた、清風中学への進学
その第一歩が中学進学でした。「清風中学校に行きたい!」と言い出したのは僕自身です。大阪では体操の強豪校として有名だったし、オリンピックや世界選手権にも多くの選手も輩出し結果を出している。そんな選手を育て上げた学校で体操を極めたいという思いで清風中学進学を決めました。
実際に清風中学の体操部では、高校生と一緒に練習をするので目標が高い選手が多く、僕も自然と意識が高くなっていったと思います。こうして体操に没頭した中学・高校時代の中で一番思い出に残っているのは高校1年生のインターハイです。僕たちはチームを組んで毎年、夏のインターハイや全日本ジュニアを戦っていましたが、特に高校1年生のインターハイは忘れられません。市立船橋高校との同点優勝でしたが、清風高校は3年ぶり16回目の団体優勝。いろんな局面を乗り越えてチームが一つになってつかんだ優勝でした。高校1年生でそんな経験をできたことは、今の自分に大きく生かされている気がします。でも、僕たちにとってその後の高校生活は、すごく大変な時期でもありました。
卒業後は実業団へ。そして夢のオリンピック出場へ・・・
今しかできない体操に本気で取り組むには、徳洲会しかない
実際、大学か実業団かですごく迷いました。でも高校時代から合宿にも参加させていただいていたので、徳洲会体操クラブにはすごく興味を持っていました。設備や練習環境も理想的だったし、何より今しかできない体操に本気で取り組めるのは徳洲会しかないと思ったからです。そして大学は通信制の星槎大学で学ぶことにしました。
僕にとってオリンピックは特別で、実際に意識しはじめたのは小学校5年生からでした。当時から、やはり目標としてきたのは内村航平選手です。最初は試合での強さに憧れていましたが、深く関わるようになると練習への姿勢や体操への思いに触れることができ、選手としてはもちろん人間としても尊敬できる先輩だと思い目標にしてきました。そんな先輩方が活躍してきたオリンピックは、僕たち体操選手にとって誰にでも特別だと思います。僕もオリンピックという大舞台に向けてやってきた思いも強いので、全てに特別感はありました。そんな夢の舞台でつかんだメダルは目標としていた金ではありませんでしたが、更に上を目指しもっと頑張るためのメダルで、僕にとってはすごく重みのある銀メダルになりました。
北園 丈琉選手からのワンポイントアドバイス
毎日、目標を持って練習することが大事
(1)朝・昼練習・・・毎日、朝の45分と昼の30分は基礎の体力作りと体幹トレーニングがメインです。柔軟や開脚をはじめ腹筋・背筋・側筋、懸垂や倒立などの基本の筋力トレーニングで、体操のできる体作りと体幹を鍛えます。この時、器具などは使わずに自分の体重のみでトレーニングしていました。
(2)種目毎の練習・・・放課後の約5時間は種目毎の練習です。男子の場合はゆか、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒の6種目あり、日によってスケジュールは違いますが、各種目の技の練習を主におこないます。種目により使う筋肉も違うし、技はもちろん見せ方も違ってきます。でも技の習得で一番大事なことは、毎日の積み重ねです。例えばゆかなら前転や側転、開脚や倒立といった基本の動きから一つずつ確実に身につけることからはじめ、やがて技につなげていくことが重要です。
もちろん練習内容は学校やクラブにより違ってくるとは思いますが、技の習得や体作りにおいては、毎日、自分なりの目標を持って練習することが一番大事だと思います。そして、できなかったことが少しずつできていく面白さこそ体操競技の魅力です。また、体操は自分との勝負です。気持ちがブレてしまうと良い演技はできません。そのためには自分の短所や長所を知り、向き合える厳しさも必要です。
※掲載内容は2022年1月の取材時のものです。
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