PROFILE
1973年12月1日生まれ。大阪府出身。小学3年の時から「マック体操クラブ」に入門し体操を始める。兄・池谷幸雄(元オリンピック日本代表)と共に厳しい指導を受け、その後、体操の名門、清風中学、清風高校(大阪市)、日本体育大学に進学。1995年の全日本世界選手権で総合9位、全日本学生選手権で総合3位に。そして卒業後の97年、全日本社会人選手権では総合4位、鉄棒種目では優勝、全日本選手権でも鉄棒種目で優勝の記録を残す。現役引退後はテレビのスポーツ番組「筋肉番付」や「スポーツマンNo.1決定戦」などで活躍。数々の優勝を果たし、モンスターBOX(跳び箱)の世界記録保持者(23段)でもある。また02年からは「ミュージカル・ピーターパン」や「マッスル・ミュージカル」にも出演、緊張感あふれるパワフルな舞台を見せる。池谷 直樹さんの学生時代は・・・
学生時代の思い出は、体操とは切り離せない
小学3年の頃から一人で電車に乗って西宮の体操クラブまで毎日通っていましたから、家でほとんど兄と顔を合わせることもなく、一緒に遊んだ記憶もあまりないんです。今から思えば、その頃から体操選手になるべく英才教育を受けていたんでしょうね(笑)。そして中学進学で私立の清風学園を受験したんですが、とても大変でしたね。体操には自信がありましたが、勉強の方が・・・。そこで急遽、家庭教師をつけてもらって受験寸前に猛勉強したのを覚えています。でも、入学してからも気が抜けなかった。体操で頑張らないと、学校をクビになりかねませんから(笑)。
もちろん中学・高校時代は体操づけの毎日でした。学校が終わると毎日5時~11時まで練習、家に帰ってからは寝るだけという生活。遊んだ記憶もあまりなく、学生生活では唯一、高校の修学旅行に行けたぐらいかな。たまたま試合のスケジュールがなかったので。だから学生時代の思い出といえば体操とは切り離せないですね。特に清風学園体操部の練習場でもあった「マック体操クラブ」はオリンピック選手を何人も送り出している有名クラブで、練習はハードだし、先生も超スパルタでしたから。「ケガなんて根性で治せ!」というスポ根論の先生で、僕らはいつも怒られてました(笑)。でも、一番思い出に残っているのは中学2年の時。練習で跳馬にぶつかったのがきっかけで、急に怖くなって飛べなくなっちゃったんです。その時は真剣に体操をやめようと思って先生に言いにいきました。すると先生は僕を体育館の裏に連れて行き、じっくりと話してくれたんです。いつも怖い先生でしたが、僕を大きく包んでくれた気がして、不思議と怖さがなくなって翌日には跳馬が飛べるようになったんですよ。あの時、先生が声をかけてくれなかったら今の僕はなかったでしょうね。
池谷 直樹さんからのワンポイントアドバイス
基礎練習の重要性が、結果につながる
(1)柔軟運動
マットをつかった柔軟体操をしっかりとやりましょう。肩の柔軟や足の柔軟を中心に、屈伸や股関節の開脚運動も。体の関節や筋肉を柔軟にすることによって、体操の型の柔らかさを身につけることができ、やがて技につながります。
(2)逆立ち
体操では、ダンベルなどを使ったウエイトトレーニングはしません。自分の体やバランスを使って腕の筋肉を鍛えることが重要です。特に逆立ちは筋肉強化だけでなく、姿勢を矯正します。また、バランス感覚を身につけるためも重要な基礎練習です。
(3)走り
体操競技にマラソンなどの持久力は必要ないので、長距離は走りません。走るのは瞬発力を鍛える短距離のダッシュですね。例えば30mを10本とか。
(4)トランポリン
トランポリンを使った練習は、空中感覚を身につけるのに役立ちます。開脚や屈伸、回転運動と組み合わせて体操の動きを身につけてください。
以上の基本練習の他に、中学時代はバク転を毎日100回くらいやっていました。これらの練習の全てが、今の筋力につながっていると思いますね。だから大事なのは基礎練習の積み重ねです。楽しい練習ではありませんが、積み重ねていくことしかないと思います。そしてポイントは、辛くなってからの「もう一本」は確実に身につくということです。
※この記事は2006年7月に取材したものです。プロフィール等は取材時点のものですので、ご了承ください。
2/2ページ