僕は両親が共に体操選手だったので、自然に体操に入っていきました。子どもの頃は、父や母が教えていた「朝日生命体操クラブ」の体育館が遊び場だったし、小学校の頃には週に2回、クラブに通い始めました。 本格的に体操を始めたのは、10歳からですね。当時、中国の元代表選手の方が指導したいと体育館を訪ねてこられて、本格的な指導を初めて受けたんです。体操を本格的にやろうと思ったのは、父の影響が大きかったと思います。父がオリンピックの金メダリストということはわかっていましたから、「僕もオリンピックで金メダルをとって世界一になりたい!」と思ったのがきっかけで、遊び場だった体育館から、オリンピックへの夢がスタートしたんです。 父や母が側にいるという環境の中でも、楽しんで体操ができたのは、家庭でも、体育館でも、親子というより友だちという感覚だったから。特に厳しいことを言われることもなかったし、スパルタなんていう感じではなかったですね(笑)。父の教え方は、「基本や必要なことをきっちりとマスターしていれば、後は楽しんで体操をする」みたいなスタイルだったと思います。そのおかげで、僕も自由にやらせてもらったし、夢に向かって頑張ってこられたんじゃないかな。 中学、高校時代、ほとんどの練習はクラブでやってましたね。毎日、学校が終わったら4時ぐらいから8~9時までクラブで練習してたので、学校の友達と遊びに行くこともほとんどなくて、体操一筋の学生時代だったかもしれませんね(笑)。特に高校時代は、教えていただいていた中国人の先生が帰国されて、クラブでも一人で練習していることが多かったんですよ。一人っきりだから、何をやったらいいのかわからなかったけど、ただ、黙々と練習していました。時には一人なので飽きてしまうんでしょうか、体操にも気がなかなか行かなくて。「じゃあ、体操以外に何をしよう」と考えても思いつかないんですよ。それで「とりあえず勉強しよう」って感じで勉強したなぁ~。今から思えば、人生の中で一番勉強した時期だったんじゃないかな(笑)。友だちといえば、体操仲間か勉強仲間でしょ、だから一緒に遊ぶっていう雰囲気ではないんですよ。それだけに、高校時代は遊びたい願望も一番強かったと思います。
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