プロアメリカンフットボール選手 イコールワン福岡SUNS所属 |
|
![]() | |
|
※プロフィール等は2021年4月時点のものです。
![]() 中学2年生の時には、思春期真っ盛りで不登校に。卒業後は父の仕事を手伝うつもりでいたため、高校進学を考えていなかったことも不登校の理由のひとつだったと思います。とはいえ、スポーツが好きな気持ちは変わらず、バスケをしに放課後から登校するという日々でした。そんな矢先に目にしたのが、NFLだったのです。迫力あるプレーやエンタメ性の溢れる演出に一瞬で心を奪われ、本能的に「このスポーツしかない。NFLでプレーしたい。」と感じました。日本では、基本的に高校でしかアメフトができないことを知り、高校進学を決意した僕はその翌日に登校を再開。先生も驚いていましたが、心から応援してくれ、アメフト部がある学校を必死に探してくれました。 こうして、強豪校である駒場学園高校に進学し、念願のアメフト部に入部。初めてプレーした時は、体をぶつけあう痛みに驚きつつも、それ以上に面白く、夢中で取り組みました。すると、1年生の春には試合に出してもらえるようになったのです。これまでの傾向を考えると、ここで「飽き」を感じてやめてしまうのですが、熱は冷めるどころか、「もっと上手くなりたい」と上がるばかり。とはいえ、楽しさばかりではなく、やめたくなるほどのつらさもありました。何十本もの走り込みや限界値を超えるトレーニングなど、人生で一番きつかったと言えるほどに、とにかく練習が過酷だったのです。しかし、この練習があったからこそ、僕はぐんと伸びることができたと確信しています。間違いなく、僕を進化させてくれたのは駒場学園高校での3年間でしょう。 | |
![]() レイブンズは、僕がキャンプに参加した2013年の前年度のチャンピオンで、NFLの中でも屈指のトップチーム。キャンプには、同年代のハイレベルな選手が集まっていました。参加して早々に感じたのは「自分が一番下に見られている」ということ。当時、NFLにアジア人は一人もいませんでしたし、他の選手と比べても体が小さい自分がなめられていたのは明らかでした。とはいえ、僕自身は「絶対にNFLにいける」と考えていたので、周りの視線には無関心。むしろ、この状況はチャンスだと思っていました。なめられているときほど、最初の注目度は格段に上がります。逆に考えると、初めの一手で実力がないとわかれば、後はもう見られることはないということです。こうした状況下での1プレー目、僕は一番得意なパターンで挑み、アメリカの大学でも有名だった新人選手からタッチダウンを奪取。その瞬間、僕を見る目や対応は、ガラリと変わったのです。 それまで、日本では「高校のスター選手」や「大学のナンバーワン選手」と呼ばれる環境が常でした。しかし、いざアメリカに来てみれば、当たり前のようにチーム内の序列は一番下におかれ、全体で行うコンビネーションの練習には参加させてもらえない。その状況に納得できず、「僕はプレーもできている。どうして全体練習に加えてくれないのか」と、コーチに何度も伝えていました。すると、全体練習やユニットプレーの練習に参加させてくれるようになったのです。これまでの自分になかった環境下で得た、自分を積極的にアピールすることや、結果を出せば人種の壁を超えてみんなが認めてくれるという経験は、人生の中でも大きな学びを与えてくれたと感じています。 | |
![]() (1)足を速くするための「坂道ダッシュ」…これは絶対に取り組んでほしいトレーニングです。坂道の長さは短くてもよいですし、本数も何本でもかまいません。「体力をつける」ためではなく、「基本的なスプリント能力を上げる」という目的で行ってみてください。僕はこれを部活外で自主的に取り入れていました。 (2)体を作る「筋トレ」…僕が高校時代に特に行っていたのがベンチプレスやクリーン。部活が終わった後、ベンチ台やクリーン台が置かれているコーチの手作りのジムに行って、追加で1時間半ほどトレーニングをしていました。毎回、潰れてしまうほどきつかったものの、大胸筋がつき始めるなど、明らかに体が変わったのは、このトレーニングを始めてからでした。筋トレは、間違いなく取り組んだ年数に比例します。体がある程度成長している高校生の今が、筋トレに取り組むのにベストなタイミングです。 僕がアメリカでのキャンプで特に感じたことは、パワーやタフさの重要性です。もともと、足の速さや横の動きの速さなど、全体的なスピードには自信があり、アメリカでも速さを活かしたプレーで勝負もできていました。しかし、いざ向き合ってみるとやはりスピードだけでは足りない、とも感じたのです。体が大きく強い人は、少し力を抜いても勝負ができますよね。一方、パワーやタフさが足りない人は、毎回全力で相手に挑まなければならない。そうした時、先に疲弊してしまうのは明らかに後者なのです。だからこそ、高校生の時から、体を作り上げるトレーニングに積極的に取り組んでほしいと思います。 |