PROFILE
1980年兵庫県生まれ。生後6ヵ月よりJJS宝塚スイミングスクールに通い始め、競泳の選手コースに所属、鍛練を重ねていた。小学校5年生の時に、馬淵英コーチに飛込みの選手としての資質を見い出され、飛込みを始める。中学2年生の時に、日本選手権高飛込みで優勝。1996年、此花学院高校1年生の時にアトランタ・オリンピックに出場し、高飛込みで10位。2000年のシドニー・オリンピックでは、高飛び込みで日本史上最高の5位入賞、飛板飛込みでは8位。01年の東アジア大会飛板飛込みでは銀メダル。04年のアテネ・オリンピックでは8位入賞。08年の飛込み日本選手権では6年連続、11度目の優勝。5月のUS大会優勝。6月公開の映画『DIVE!!』にも出演。8月の北京オリンピックでも、メダルが期待される日本水泳界のエース。寺内 健選手の子ども時代は・・・
大人に混じってトレーニング。今思うとそれが一番役に立った
小学校6年生の2月に上海に合宿に連れていってもらうことになり、この時も“やったー、学校を休んで海外にいける”と、ぬか喜び。行ってみたら、毎日10時間のトレーニングで3ヵ月半。一緒に行っていた大学生の男女と小学生の僕。競泳のコースにいた方がラクやったなあと、つくづく思いました。それで、選手権に出る大学生が日本に帰ってからも、追加で1ヵ月大人に混じってトレーニングしました。トレーニングはもっぱら陸上トレーニングばかりで、水に入れてもらえないんです。早くプールに入りたいと思いました。この時の経験が、今思うと一番役に立っているように思います。高校に入学した時も、上海に合宿に行っていたので入学式からずいぶん経ってから学校に行くことになってしまい、新しい級友たちと馴染めるか心配していました。しかし、体育会系のクラスだったので“強くなる!勝つ!”というベクトルが同じで、級友も「オリンピックに出るんやて?」「頑張れ」と、励ましてくれました。おかげで、通学に1時間半ほどかかるのですが、トレーニングや試合以外は遅刻もせずに通いました。
飛込み競技とは・・・
1.6秒にすべてを集中させてベストパフォーマンス
小学校の頃初めて行った上海では、毎日毎日陸上でのトレーニングばかりで、“何で水に入らせてくれへんのか”と疑問に思いました。でも、一緒にトレーニングしていた中国の一流選手たちを見ていて、一見関係無さそうな陸上でのドライトレーニングで空中感覚が身に着くことがわかりました。飛込みの選手だから、プールでの実践だけがトレーニングではありません。それに、飛込みは身体への負荷が高いので、一日中ダイブしているわけにはいきません。今は実際にプールに飛込むのは50本ぐらいです。昔は300本ぐらい飛込んだこともありますが、今は自分の年齢に合わせたトレーニングをしています。しかし、トレーニングすることで今でも前に進んでいることがわかります。もっと若い時は伸びるのが10センチだったかもしれないけれど、毎日のトレーニングで1ミリでも進んでいる間はまだまだやれると実感します。この1ミリの進歩の密度が若い時よりも濃いと感じています。
寺内 健選手からのワンポイントアドバイス
日々の努力を続けること
(1)とにかく日々のトレーニング!
トレーニングが十分でないと、パフォーマンスにも自信が持てません。ケガがないようにするための柔軟運動、頭を逆さまにした状態に慣れるための逆立ちやトランポリン・マットでの宙返りなど、陸上でのドライトレーニングが空中感覚を養います。ノースプラッシュと呼ばれる垂直で流れるような入水まで、一連のパフォーマンスを決めるためには日々のトレーニングが欠かせません。
(2)目標を立て、しっかりと達成する!
オリンピックのような大きな目標はもちろんですが、今日はコレをしよう、明日はアレ、みたいに小さな目標をたくさん立て、それを着実にこなしてください。そうすれば、達成感を味わえるだけでなく目的地までぶれないで到達できると思います。
(3)ポジティブな気持ちを持つ!
いい結果しか考えないことです。ネガティブなことを考えると、不思議とそっちのほうへ気持ちが流れるんです。緊張やプレッシャーに負けてしまう。だから“絶対成功させる!”そういう強い気持ちが必要です。
今度の北京で4度目のオリンピックとなります。今はメダルを目標に、難易度の高い大技を確実に演じることができるように気持ちを高めています。
※この記事は2008年5月に取材したものです。プロフィール等は取材時点のものですので、ご了承ください。
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