PROFILE
1995年12月15日生まれ。滋賀県彦根市出身。彦根市立南中学校へ進学後、兄の影響を受け陸上を始める。中学3年時には200mで中学歴代6位を記録する。高校は陸上強豪校の洛南高校に進学しトレーニングを積んだ。2年時の京都府高校春季大会では200mで高校歴代9位・高校2年歴代2位の記録を出す。その後も数々の大会に出場し、ユースやジュニア、高校記録を更新し、3年時の2013年、織田記念100mで10秒01の日本選手歴代2位、日本ジュニア新、日本高校新のタイムを記録した。同年、初の国際大会にも出場し、8月の世界選手権には短距離個人種目史上初の高校生代表として出場した。2014年、東洋大学法学部企業法学科に進学後も国内外の大会で活躍し注目を集めた。そして2016年、リオデジャネイロオリンピックに初出場し、男子4×100mリレーでは37秒60のアジア新記録をマークし見事、銀メダルに輝いた。翌2017年の世界陸上ロンドン大会でも4×100mリレーに出場、銅メダルを獲得した。その約1ヶ月後の9月、日本学生陸上競技対校選手権において9秒98をマークし日本選手史上初となる9秒台スプリンターとなった。大学卒業後は日本生命に所属し数々の大会に出場。2019年の世界陸上ドーハ大会でも再び4×100mリレーで銅メダルを獲得している。その後、2020東京、2024パリのオリンピックで個人での出場を逃したが、今年は東京2025世界陸上競技選手権大会出場に向けて、さらなる躍進が期待されている。桐生祥秀選手の学生時代は・・・
タイムという結果が出るから、とにかく楽しくて頑張れた

中学時代はまだ遊びの延長気分だった陸上ですが、声をかけてもらったからには真剣に頑張るんだと自分なりの覚悟が生まれたのは高校生になってからです。もちろん中学と違って練習は大変でしたが、記録を出すという強い気持ちは日毎に大きくなっていきました。
高校時代は今までよりも多くの大会で記録を出せるようになりましたが、一番思い出に残っているのが高校3年時の織田記念です。その後の選手人生の大きなステップとなった100m予選の10秒01。当時の日本選手歴代2位のタイムで、代表入りも夢じゃないと感じたし、世界のトラックで走りたいと強く思うようになりました。この年、初めての海外レースにも参戦することができました。
東洋大学からオリンピックのトラックへ・・・
オリンピックで、頑張ってきた4年間を証明したかった

この頃になると僕自身、やはり世界陸上、そしてオリンピックを強く意識していました。スポーツをやっていれば誰もが目指す舞台だと思います。そんな中でもやはりオリンピックは特別な大会だと思います。4年に一度、その場所で勝つことが自分の頑張ってきた4年間を証明できるんです。オリンピックの間に世界陸上という大きな大会がありますが、世間が持つ価値はやはりオリンピックがダントツじゃないでしょうか。
僕が大学生で初めて出場したリオデジャネイロオリンピックは個人では決勝に進めませんでしたが、リレーではアジア新記録で銀メダルを獲得することができ忘れられないオリンピックになりました。オリンピック後もリオのリレーメンバーとは一緒に過ごす時間が多かったので、今でも仲のいい友人です。そして大学最後の年、日本選手初の9秒98というタイムを出し、世界のトップスプリンターと競いたい気持ちがさらに高まっていきました。
桐生祥秀選手からのワンポイントアドバイス
この練習が自分のプラスになるという意識を持とう!

(1)アップ・・・練習前に体を温めるためにストレッチなどをします。これから全力で走っても怪我をしないために大事なプロセスになります。ちなみに夏と冬では温まり方も違ってくるので、時間やプログラムも考えてやると効果的です。
(2)補強・・・ウエイトトレーニングや腹筋などメニューは多くありますが、怪我を防ぎながら体幹部や下半身などの筋肉を強化する目的があります。
(3)走り込み・・・100m、200mなどの距離を数本ずつ一定のペースで走り、基礎体力はもちろん心肺機能や筋持久力を鍛えるようにします。また自分にあった理想のスプリントフォームを身につけることも大事です。
(4)ダッシュ・・・走り込み練習の最後は30〜50mのショートダッシュで締めるのが通常の練習メニューでした。僕の場合、ソリといって重みを付けたスタートダッシュなどで、短距離走に大事な瞬発力やスピードを鍛えていました。負荷をかけてダッシュするのは短距離走には有効な練習だと思います。適度なインターバルを入れて行うようにしてください。
練習の内容や時間は季節や経験値によって変わると思いますが、「今の練習が自分のためになる!」と意識を持って練習することが大切です。コーチから言われた練習であれ、自分で考えた練習であれ、「この練習が自分のプラスになる」と信じることができなければ、どんなにハードな練習を積んでも身に付かないと僕は思っています。特に初心者の人は、まずは走れる体作りが重要になります。どんな練習にも意識を持って取り組んでください。
※掲載内容は2025年3月の取材時のものです。
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