PROFILE
1970年8月6日生まれ。愛知県名古屋市出身。愛知高校から愛知学院大学へ進み、卒業後に鹿島アントラーズへ入団。「不動のセンターバック」として活躍し、チームの9冠に大きく貢献した。また、日本代表選手としても、1998年のフランス大会、2002年の日韓共催大会と2回のワールドカップに出場している。その後2004年に名古屋グランパスへ移籍、2007年に京都サンガF.C.へ移籍し、2007年のシーズンをもって引退を表明した。2008年より京都サンガF.C.のコーチを務める。現役時代はJリーグベストイレブン4回、国際Aマッチ45試合4得点、Jリーグ功労選手賞など、輝かしい実績を持つ。秋田 豊さんの学生時代は・・・
日本のトップリーグでプレーしたい、これがスタートだった
高校は愛知高校へ進み、ただただ、サッカーに夢中で、将来は日本リーグという日本のトップリーグでプレーしたいと強く思うようになりました。当時はまだJリーグは発足していませんでしたから、プロという明確な目標ではなかったんです。でも、この時が僕のサッカー人生の本当のスタートだったかもしれませんね。
大学進学は、高校時代からよく試合などで通っていた愛知学院大学に特待生として入学しました。実際は東京の大学と地元の大学で迷ったこともありましたが、僕の通っていた高校と愛知学院大学が姉妹校でもあったし、サッカーも強かった。そして何より、当時の大学のサッカー部の監督が誘ってくださったこともあって、愛知学院大学へ進みました。
大学は寮生活で、授業以外はサッカーしかやっていなかったですね。名古屋でも有名なお洒落な大学だったけれど、僕たちスポーツ組はちょっと違った存在だったかもしれませんね(笑)。でも、授業に関してもまじめな学生だったと思いますよ。大学の3年までに頑張って単位を取っていたから、4年生のときはじっくりとサッカーに打ち込めたし、プロに向けての準備もできました。僕が大学2年の頃にJリーグができ、はっきりとプロの世界を目指すようになりました。
Jリーガーへ、そして夢のワールドカップへの道
惜しみない努力があって、夢は実現する
そして2つ目は大学2年の時。バルセロナオリンピックの日本代表の候補に入っていたんですが落ちてしまって、気持ちも落ち込んでいました。そんな時に高校時代の同級生が、大学に入学してきたんです。彼は「俺はウエイトリフティングでチャンピオンになる」と頑張っていて、僕もその姿に刺激されて、「プロになるための体づくりをしよう」と新たなスタートを切ることができたんです。
そして、卒業後、目標のJリーグ・鹿島アントラーズへ入団し、プロの道を歩きはじめました。プロになって次の目標は、やはりワールドカップの代表選手に選ばれること。プロのサッカー選手であれば、全ての人が目指す頂点がワールドカップなんです。でも、そういうところに自分自身が選ばれるということは、高校や大学時代では考えられなかったことでしたね。鹿島アントラーズに入り、センターバックとして無我夢中でピッチを走り続け、遂につかんだワールドカップでしたから、喜びも特別でした。その最高の舞台に2度も出場できたことは、サッカー人生の最高の思い出ですね。
僕が選手として最高の人生を歩いてこられたのは、これまでにいろんな人たちの助けがあったからです。高校時代の仲間や大学時代の監督、そして鹿島アントラーズに入ってからは、ジーコ選手というサッカーを続ける上での支えになる人とも出会えました。
全ての人たちに助けられながら、そして何より惜しみない努力があってこそ、夢は現実になるんだと実感しました。現役を離れた今も、僕をここまで導いてくれた人と、その人たちとの出会いに感謝しています。
秋田 豊さんからのワンポイントアドバイス
上手になりたい気持ちと努力があって、選手は伸びる
ではどのようなトレーニングが有効かというと、やはりリアリティーですね。常に試合と同じような気持ち、イメージを持ちながらトレーニングできるかどうかで、一つひとつのパスやドリブルに意味が出てくるんです。
そして、大事なことは「自分が上手くなりたい!」という明確な意識を持つことです。僕は高校時代から現役時代まで練習熱心だとよく言われてきましたが、そのベースは「上手くなりたい」という気持ちでした。
学生時代の練習の基本は、
(1)チーム練習・・・走るから始まってパスやドリブル、シュートなどの基本練習メニューと、試合形式でコンビネーションなどの練習を重点的に。約2時間。
(2)個人練習・・・チーム練習とは別に、ウエイトトレーニングや走り込み、ヘディングなど、自分の足りない部分を重点的に。約2時間。
学生時代は特別な練習をしていたわけではありませんが、チームや個人での基本練習をすごく大事にしていました。サッカー選手にとって大事なことは、どこにでも通用するベースを身につけることです。そのためには「上手くなりたい」という意識、そして惜しみない努力が必要だと僕は思います。どんなスポーツにおいても、才能は人それぞれだけど、伸ばすのは本人の努力次第です。
※この記事は2009年9月に取材したものです。プロフィール等は取材時点のものですので、ご了承ください。
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