【特集】茂庭照幸選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

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茂庭 照幸選手

茂庭 照幸選手

プロサッカー選手(セレッソ大阪所属) 元日本代表

PROFILE

1981年9月8日生まれ。神奈川県厚木市出身。小学校よりサッカーを始め、中学からはベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)のユースで育つ。1999年、ユースに籍を置いたままトップチームに招集されJ1初出場を果たす。2000年には改称した湘南ベルマーレのトップチームに昇格、チームの主要メンバーとして試合に出場。また2000年にはU-19日本代表として、2002年にはU-21日本代表として、2003年にはU-22日本代表、そしてフル代表としても国際大会に出場した。2003年よりFC東京に移籍し、センターバックとしてチームの堅守速攻スタイルに力を発揮する。その後も日本代表として2004年にはアテネオリンピック、2006年にはドイツW杯に出場を果たした。2010年よりセレッソ大阪に移籍。同年のAFCチャンピオンズリーグ出場権獲得に貢献し、2011年よりキャプテンを務める。

茂庭 照幸選手の学生時代は・・・

ユース時代の経験、指導者との出会いがチャンスに

茂庭 照幸選手写真
 小学校の頃、最初はキックベースをやっていたんですが、友達がサッカーチームに入っていたこともあって、いつの間にか僕もサッカーをするようになり自然と夢中になっていきました。また、小学校6年の時にJリーグがスタートし、周りの環境も僕ら少年のサッカー熱や夢に大きな影響を与えていたと思います。当時から神奈川県はヴェルディをはじめ、マリノス、フリューゲルス、ベルマーレとプロチームが多く、それぞれのユースチームに入るための選考を受ける子どもたちも多かったんです。そんな中で僕が小学時代に所属していたチームは、神奈川県で一番強いチームだったこともあってベルマーレのユースに入ることができたんです。そのベルマーレも僕が中学1年の時にJ1に昇格し「僕も将来ここでサッカーができる」ということが、漠然とですがプロになることだと思っていました。周りには僕より上手な選手がたくさんいましたが、そんなクラブで自分もサッカーができるという誇りはその頃から持っていたと思いますね。
 中学・高校時代とサッカーはベルマーレのユースで練習していましたが、根っからスポーツ好きだった僕は、学校では陸上部やバスケット部に入ったりもしていました。その成果かもしれませんが、僕は当時から背も高く足も速かったんです。だから、その特徴をサッカーに生かせるようにしたいと必死で練習をしていましたね。
 でも今、学生時代を振り返って一番思い出に残っていることは、ユースで多くの人と出会いチャンスを与えてもらえたことです。特にユースの監督をされていた足立さん。そして僕が高校になった頃からサテライトのコーチをされていた手塚さん。この2人の指導者に出会えたことは僕のターニングポイントだったと思います。まだまだ実力もなかった僕をなんとか引き上げてもらって、チャンスを与えてくれました。一緒にサテライトでプレーさせてもらえたし、高校1年の終わり頃にはプロの選手と一緒にプレーすることもできました。この経験こそが、その後の大きなステップになったことは間違いありません。高校に入学した頃はサッカーにもまだまだ自信はありませんでしたが、高校2年の終わり頃には「サッカーでやっていけるかも。プロになりたい!」という確かな目標が見えてきました。

ユースからトップチームへ、そして日本代表へ

幸運と挫折から学んだ、サッカーの面白さ

茂庭 照幸選手写真
 ユース時代はまだ自分の武器が明確ではなくて、ただチームや練習についていくのが精一杯でした。当時、僕の憧れであり目標にした選手は、ベルマーレのホン・ミョンボ選手、マリノスの井原正巳選手、アントラーズの秋田豊選手など、いずれも時代を代表するDFの名選手です。まだ余裕のない僕にとって漠然とあんな強い武器を持った選手になりたいという憧れが強かったんです。
 ちょうどその頃から「高校生Jリーガー」という言葉もよく使われるようになり注目度もあったし、確かにチャンスの多い世代だったかも知れません。僕が18歳でユースに籍を置いたままトップチームに招集されJ1でプレーできたことも、そんなチャンスの一つだったと思います。また、2002年からFC東京に移籍したこと、日本代表に選出されたことも僕が与えてもらったチャンスだと思っています。
 日本代表としてW杯やオリンピックのピッチに立たせてもらって感じたことは、大陸・国の持つ特徴がプレーにも表れるということです。例えばヨーロッパはフィジカル(肉体の強さ)面、アフリカは身体能力などの強さを感じます。そして日本はスピードとテクニックに優れたサッカーだと思います。そんな特徴がぶつかり合うのがW杯やオリンピックなどの国際大会です。そしてこれらの良さがバランスよく強いチームが優勝するんです。僕は日本代表としてスタイルやカラーの違うサッカーを、身てもって体験できたことも大きな財産だと感じています。
 ただ僕は、国際大会に出場することだけがサッカーの全てとは思っていません。若い頃はがむしゃらにプレーしていた時期もありました。それがサッカーの面白さだと思っていた。でも時間や経験を重ねていくうちに「サッカーの面白さ」も少しずつ変わってきたんです。僕にとってプロ選手としての大きなターニングポイントはFC東京時代の挫折です。怪我もあり試合に出られなかった時期が続きチームからも戦力外だと判断された。本当にサッカーを辞めようと考えました。でもやっぱりサッカーが、プレーすることが大好きだから、現役にこだわりたかった。出来ない悔しさを経験したから、そこから立ち上がった僕は前より強くなれたと確信しています。
 それからは考え方も楽しみ方も変わりました。その中で僕が一番学んだことは、スポーツにおいて、地位や名誉は人それぞれ価値観が違うと思うけど、人とのつながりは必ず自分の宝になるということ。今、セレッソ大阪でプレーをしながら、もっともっと色んなものを見て経験し感じながら、楽しめるサッカーをしたいと思っています。そして若い選手たちの中に、僕と出会えてよかったと思ってくれる人が一人でも多く出てきてくれたら嬉しいですね。

茂庭 照幸選手からのワンポイントアドバイス

自分の特徴・長所を見つけて生かす

茂庭 照幸選手写真
 学生時代はユースに所属していたので、練習は基礎をふまえた上での技術的なものが中心だったと思います。試合ですぐに生かせる技術を身につけることがユースでの育成方針でもあるからです。ちなみに当時の練習内容は・・・

(1)リフティング・・・リフティングはサッカーの基本です。毎日コーチが来るまでにリフティングでアップをするというのが練習の始まりでした。例えばタッチラインからタッチラインまで、両足・もも・頭・アウトサイドなど、あらゆる部位を使ってみてください。

(2)ボールまわし・・・ボールを使って基本の止める・蹴るという練習です。この時、体の向きや、足のどの部分を使うのかを意識しながらおこなうことが、技術を身につける上で大切な練習になります。

(3)ゲーム方式・・・ポジションとしての動きやボールまわしを、実際のゲームをしながら感覚・技術を身につけます。特に僕はDFだったのでラインコントロールといったポジションとしての動き方、判断能力などはしっかり教わりました。

個人的、ポジションによっても細かい練習内容は変わってくると思いますが、上記にあげた内容は基本を重視した練習だと思います。特にボールを止める・蹴るがしっかりとできていなければ、上には行けないし技術を伸ばすことも難しいと思います。そしてもう一つ大事なことは、自分自身の特徴・長所を見つけて生かすこと。例えば足が速いなら、その特徴を伸ばし生かせる技術を身につけること。自分の能力をどう伸ばして使うかが重要なポイントです。

茂庭 照幸選手からみんなへメッセージ

自分の信念を持って、何かをやり抜くことが大事

茂庭 照幸選手写真
 今の高校生や学生全般に感じることは、同じようなタイプの若者が多いなということです。みんな頭もいいしスポーツだってできる。若い選手においてもバランス良くうまい選手が多いですね。でもそこに、プラスα自分にしかない色を出してほしい。特に何かなりたいもの、やりたいことがあるのなら、挫折や幸運をどんどん経験して自分自身の伸びしろ・個性に変えていってほしいですね。
 僕には座右の銘のようなものがあって「自分が向いている方向が前なんだ」ということ。たとえ人と方法や進む方向が違っても、自分が欲しいものを手に入れるためなら決して遠回りとは思わない。無駄な事や時間なんて自分にはないと思っています。自分の信念を持って、何事もやり抜くことが大事ではないでしょうか。
 最後に僕の今後の目標、そして挑戦は、1年でも長く現役でプレーを続け試合に出ることです。まだまだ色んな経験もしたいし、サッカーの楽しさをもっと味わいたい。そしていつかライセンスを取得して、次代の子どもたちに僕が得た経験や技術、そして楽しさを伝えていきたいですね。

※プロフィール等は2012年5月時点のものです。

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2012年8月

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厳しさを知り、そして夢とチャンスを掴むことができた

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一