【特集】多田修平選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校
有名人スポーツワンポイント講座
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多田 修平選手 プロフィール

多田 修平選手
陸上競技選手 住友電気工業所属
2021東京オリンピック
男子100m、男子100m×4リレー 代表

プロフィール
1996年6月24日生まれ。大阪府出身。中学から陸上をはじめ、高校は大阪桐蔭高等学校に進学。高校3年次のインターハイでは10秒78で6位に入賞。関西学院大学に進学後、2017年5月のゴールデングランプリ川崎で男子100mに出場し、10秒35(向かい風1.2m)のタイムで3着に入賞。6月の2017日本学生陸上競技個人選手権大会では、9秒94(追い風4.5m)をマーク。決勝は10秒08(追い風1.9m)で優勝し、当時の自己ベスト10秒22を更新した。8月の2017年世界陸上競技選手権大会・男子100m予選では、10秒19(追い風0.3m)で予選を突破。中盤まで世界記録保持者ウサイン・ボルトを先行する走りを見せた。4×100mリレーでは第1走者を務め、38秒04で銅メダルを獲得した。2018年8月の第18回アジア競技大会・4×100mリレーでは第2走者を務め、38秒16で20年ぶりの金メダル獲得に貢献。2019年世界陸上競技選手権大会・4×100mリレーでは第1走者を務め、37秒43のアジア新記録で銅メダルを獲得した。2021年6月の布勢スプリント男子100mで10秒01(追い風2.0m)を記録し、自己ベストを更新。第105回日本陸上競技選手権大会男子100mでは、サニブラウン・アブデル・ハキーム、桐生祥秀などに先着し、10秒15(追い風0.2m)で初優勝を果たす。このレースで東京オリンピック出場への切符を手にした。今、最も注目されているスプリンターの一人。

※掲載内容は2021年10月の取材時のものです。

多田 修平選手の学生時代は・・・

走ることが好きだった少年が「目標をもって走る意義」を見つけた

多田 修平選手写真  小学生の頃から、50m走やリレーなど、とにかく「走ること」が大好きでした。とはいえ、当時の速さは学年の中で上から3~4番目あたり。「もっと速く走りたい」という一心で、中学校では迷うことなく陸上部に入部しました。部活では、走り幅跳びや高跳びなどさまざまな種目を選ぶことができましたが、迷うことなく短距離一筋。しかし、陸上人生が始まるや否や挫折を味わいます。想像以上の練習のつらさと身体の故障が重なり、中学1年生で「陸上を辞めたい」と本気で考えるようになってしまったのです。今思えば、「走ることが好き」という気持ちだけで、明確な目標もなく、おまけにメンタルも弱かったんですよね。陸上への意欲をすっかり失ってしまった僕を留まらせてくれたのが、当時の顧問の先生でした。何度も励ましの声をかけてくださり、落ち込んでいた僕の心を引っ張り上げ、やる気を引き出してくれたのです。先生がいなければ、おそらく今の自分はいなかったでしょう。本当に感謝の気持ちしかありません。
 こうして、思わぬ挫折を乗り越え、大阪桐蔭高等学校に進学しました。当時の陸上部の監督は、インターハイ総合優勝などの実績をもつ有名な方だったのですが、特に印象的だった学びは「目標の持ち方」です。当時取り組んでいたのが、「最大の目標(高校3年間でやり遂げたい目標)」「今月の目標」「今日の目標」という3つの目標を立てること。「今日の目標」には、「3食しっかり食べる」や「今日のタイム測定で何秒出す」など、簡単な目標でよく、それを毎日日誌に書いていました。当時は気づきませんでしたが、目標を毎日考えることを繰り返していたので、自然と思考が上向きになっていたように思います。僕は「最大の目標」を「インターハイ入賞」と掲げていたのですが、結果的に、3年生のインターハイで6位に入賞し、「最大の目標」を達成することができました。「今日の目標」の達成を積み重ねることが「今月の目標」の達成につながり、それがいずれ「最大の目標」の達成につながっていく。一番大きな目標を達成するためには、「過程」を大切にしなければならないことを、身をもって学ぶことができました。

舞台は世界、そして念願の東京オリンピック出場

個人戦とリレー、「悔しさ」を糧に目線は次のステージへ

多田 修平選手写真  大学は、当時関西で一番強かった関西学院大学に進学しました。大学時代は、「陸上で生きていく」という決意が確かなものになった4年間だったように思います。
 そのきっかけとなったのは、2017年のセイコーゴールデングランプリの男子100mです。アテネやロンドンオリンピックで金メダルを獲得しているアメリカのジャスティン・ガトリン選手とのレース後、「すばらしいスタートを切った男がいた」と称賛のコメントをいただいたのです。これを機に、世界選手権への出場など、世界のトップ選手と戦う機会が増えていきました。彼らと肩を並べて戦い感じたことは、日本ではなかなか味わえない後半の伸びや、本番で120%の力を出し切る勝負強さ。それらを目の当たりにし、「もっと強くなって、短距離において日本は力不足だという印象を自分が覆したい」と陸上へ懸ける思いがさらに強くなりました。
 大学卒業後は住友電気工業に入社し、オリンピック出場を目指して走り続けました。しかし、実は2018年頃から2020年まで、走り方の改良がマッチせず、うまく走れないというスランプに苦しみ続けていたんです。このスランプをコーチとの二人三脚で乗り越え、迎えた2021年6月の日本陸上競技選手権大会の男子100mでは、10秒15で初優勝。念願だった東京オリンピック出場の切符を手にすることができました。
 オリンピックの結果は「悔しい」の一言に尽きます。個人100mは、隣の選手の特徴などを意識しすぎたあまり、スタートから力んでしまい予選敗退。自分のレーンだけに集中して本来の自分の走りを貫けば、もっと勝負ができたのではないかと思います。
 第1走者として臨んだリレーでは、金メダルを狙えると確信して挑んだものの、第2走者の山縣選手へバトンをつなぐことができませんでした。バトンを渡せなかった瞬間のことは正直よく覚えていないのですが、とにかく悔しさと申し訳なさ以外、何も考えることができない状態でしたね。そんな僕を、リレーメンバーの先輩方は責めることなく慰めてくださり、「お互い切磋琢磨して走力をもっと上げていこう」「またこのメンバーで走ろう」など、たくさん話をしてくれました。こうした先輩方やたくさんの応援メッセージのおかげで、しっかりと立ち直ることができ、今はパリ五輪に向けて走り続けています。

多田 修平選手からのワンポイントアドバイス

トレーニングの意図を理解できれば自然と必要な筋力はついていく

多田 修平選手写真 陸上の練習メニューは多岐にわたります。正解も外れもありませんから、自分の体に合ったもの、鍛えたいと思っている部位に合わせたものを選んでいくことが重要だと思います。僕からは具体的なトレーニングメニューというよりも、練習をするうえで心がけてほしいことをお伝えします。

(1)練習メニューの「意図」を理解する…これは、僕自身「もっと早くから取り組んでいれば」と感じていることです。トレーニングがどのような場面で、どのようなところに生かされるのかを考えてみてください。例えば、僕の場合、スクワットはスタートからの爆発的な加速を鍛えるために取り組んでいます。腹筋は、後半部分で体がのけぞり減速してしまうことが多いため、前傾姿勢を保つことを目的に行っています。出された練習メニューを無意識にこなすのではなく、「何のために」トレーニングをするのかを意識し、自分のなかで理解できていることで、より適したところに筋力がつくと思います。

(2)自分の武器を知る…武器とは道しるべでもあると考えています。僕の場合、相手をリードできることが多い、20~40mの加速区間が武器です。それに気がついたのは2017年頃でしたが、そこから顕著に結果が出るようになりました。武器を知っていれば、それを磨くことができますからね。
 また、僕は、2018年に大きなスランプに陥ったとお伝えしましたが、その原因のひとつに、自分の走りの欠点を修正することにとらわれ、武器が消えてしまったことがあります。そこで、視点を変えて、自分の武器を磨くことに専念してみたのです。すると自分の強みが明確になり、欠点が小さく感じられるようになりました。壁にぶつかった時、「欠点を直す」ことに目がいきがちですが、「強みを磨く」という方法もあります。しかしそれには、自分の武器を知っていることが大前提です。まずは自分の武器や強みを探してみてください。

(3)第三者の目を借りる…これは、「うまく走れない」と悩んでいる人におすすめです。実際、僕はこの方法でうまく走れなかったスランプを脱しました。自分の走りの癖や直したほうがよいところは、自分だけですべて気が付くことはとても難しいと思います。自分で考えることももちろん大切ですが、コーチや仲間などにも頼ってみてください。

多田 修平選手からのメッセージ「夢を叶える「階段」をしっかりと築き、進んでいこう」

多田 修平選手写真  陸上に限らず、何においても言えることだと思いますが、自分の夢や目標の「過程」、つまり「階段部分」をもっと重視してみてください。階段がしっかりと見えているということは、自分が目標を達成するために「何をすべきか」がきちんとわかっているということです。この大切さは僕も高校時代に身をもって感じています。「今月の目標」「今日の目標」という階段をコツコツ上り続けてきたからこそ、高校時代の「最大の目標」は達成できましたし、今にもつながっていると確信しています。特に中高生時代は大きな夢をもつことだけで満足しがちですが、さらにもう一歩深く踏み込み、どのような階段を登っていくかまで考えてみてください。
 僕は、小さなころから特段足が速かったわけでもなく、中学では大阪府止まり、高校ではインターハイ6位という結果でした。それでも、ここまで来られたのは、「階段」という名の努力を、人一倍積み重ねてきたからだと自負しています。時には段差の大きな階段もありましたが、上ることをあきらめませんでした。だからこそ、努力を積み重ね続ければ、報われる瞬間は絶対にあると信じています。夢の階段を一段ずつ、大切に、登って行ってください。僕もパリ五輪での「100mファイナル進出」「リレー金メダル」という目標に向けて、しっかりと階段を登っていきます!

※掲載内容は2021年10月の取材時のものです。

荒井 広宙選手

2022年5月 new

長野県中野実業高等学校 出身 福井工業大学 出身
荒井 広宙選手(陸上選手(競歩))
今しかない時間と、出会いを大切にしてほしい
福士 加代子さん
福士 加代子さん(元陸上競技選手(長距離・マラソン))
自分の声に耳を傾けながら、自由に柔軟に歩んでいこう
飯塚 翔太選手
飯塚 翔太選手(陸上選手)
更に大きな目標に向かって、挑戦し続けてほしい
上原 美幸選手
上原 美幸選手(陸上選手(長距離・マラソン))
今だからこそできることにチャレンジしてみてください
ディーン元気選手
ディーン元気選手(陸上選手(やり投げ))
自分には何が大事なのか、妥協せず、模索して見つけたい
新井 涼平選手
新井 涼平選手(陸上選手(やり投げ))
今だからできることを、思いきり楽しんでほしい
藤光 謙司選手
藤光 謙司選手(陸上選手)
積極的に挑戦した経験は、決して無駄にはならない!!
山縣 亮太選手
山縣 亮太選手(陸上選手)
失敗を恐れずに、自分の夢を楽しんでほしい
為末 大選手

2011年10月

為末 大選手(陸上選手)
夢を叶える為の過程も楽しむ
井村 久美子選手
井村 久美子選手(プロ陸上選手 北京オリンピック日本代表(走幅跳))
どうやって壁を乗り越えるか、そのプロセスが力に
金丸 祐三選手
金丸 祐三選手(陸上選手 北京オリンピック日本代表(男子400m))
楽しみながら頑張れる、そんな自然体の努力がいい
高平 慎士選手
高平 慎士選手(陸上選手 北京オリンピック銅メダリスト)
みんなに感謝する気持ちを持ってほしい
朝原 宣治選手
朝原 宣治選手(陸上選手)
挑戦する、経験することが大事
伊東 浩司さん
伊東 浩司さん(元陸上選手)
向上心、チャレンジ精神が自分を強くする
高野 進さん

2006年6月

高野 進さん(元陸上400m選手 日本記録保持者)
自分には選択肢はない、という気持ちでエネルギーを注いできた
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