PROFILE
1986年10月30日生まれ。愛知県豊川市出身。0歳から水泳を始め、小学校時代にはジュニアオリンピックで優勝。中学時代も全国中学校水泳競技大会で3位に入るが、高校時代はスランプも経験した。山梨学院大学に進学後は選手としての実力を発揮し、アジア競技大会や世界水泳といった世界の舞台に登場し、好成績を残す。そして2008年には北京オリンピックに初出場。その後も国内外の競技会で女子バタフライ日本記録を出すなど好成績を収め、2013年には2度目のロンドンオリンピックに出場、女子400mメドレーリレーで見事銅メダルを獲得した。同年9月、愛知県豊川市の「スポーツ特別功労賞」を受賞している。加藤 ゆか選手の学生時代は・・・
遊ぶよりも水泳が好き、もう体の一部みたいなもの
中学からは私立の桜丘中学校・高等学校に進みました。何故なら公立だと水泳部は夏しか練習がなくて、それ以外の時は他の部活動に入らなくてはいけなかったので、水泳と勉強の両立が難しいかなと思ったからです。でも私が進学した桜丘中学・高校は、実際にはプールもなくて「水泳部」という名前だけ貸してくれる感じでした。競技会に出場するには水泳部所属じゃないと難しいので。だから練習はもっぱらスイミングスクールでした。その頃から毎日、スイミングスクールと学校を行き来するだけでしたが、遊びたいと思ったりはしませんでしたね。練習は段々きつくなっていきましたが、何より水泳が大好きでしたし、試合でいい結果が出せた時の喜びが大きかったと思います。毎日練習を続けていくうちに、水泳はもう私の体の一部になっているようでした。だから中学・高校時代は本当に水泳しかしていなかった気がします。遊びよりも何よりも楽しかったんでしょうね。
でも高校時代はスランプも経験しました。中学時代に出したタイムが伸ばせなくて、一度もベストが出なかったんです。何度も辞めようかなと思ったこともありました。
大学でのコーチとの出会い、そしてオリンピック出場
ロンドンで、北京のリベンジを果たしたい!
大学時代は、水泳の練習においても何もかも新鮮でした。高校までは水泳部の活動がなかったので初めて学校で練習したし、先輩も怖かったし1年生の時は雑用もたくさんありました(笑)。周りにはすごく速い選手がいっぱいいて、練習も厳しかったけどすごく刺激を受けました。するとどんどんタイムも伸び出したんです。
そして大学4年の時に行われた北京オリンピック選考会で好成績を出すことができ、出場が決まりました。ずっとオリンピックを目標に練習してきましたが、実際に決まったときは嬉しさと信じられない気持ちと半々でした。夢にまで見たオリンピックに出場できる、その気持ちが初めての北京オリンピックでは大きな緊張となりました。だから、あんまり憶えていません(笑)。コーチからは「オリンピックには魔物がいる」と言われていましたが、やっぱりその魔物にやられちゃって、記録は全然でした(笑)。だからその後の4年間は、オリンピックに出ることを前提に練習してきたし、北京の経験も生かしたい、リベンジをロンドンで果たしたいという思いで2度目のオリンピックに挑みました。400mメドレーリレーでは、みんなが「自分の持てる力を出し切るんだ!」という同じ強い思いで泳いだからこそ銅メダルを手にすることができたんだと満足しています。大学を卒業後は東京スイミングセンターにお世話になり、練習に没頭することができたことも大きな力となりました。
加藤 ゆか選手からのワンポイントアドバイス
厳しい練習も、いかに楽しんでするかが大事
1 朝練習・・・とりあえずプールに飛び込んで約2時間泳いでいました。
2 陸上トレーニング・・・午後の練習の最初は約1時間の陸上トレーニングから始まります。腹筋や背筋をして、泳ぐために必要な筋肉を鍛えるようにします。
3 スイム・・・水の中で最初にするのは800mほど、基本の泳ぎをします。これはウォーミングアップのひとつで、体や筋肉を適度に動かして温めるためです。
4 キック・・・どんな泳ぎでも必要になるのがターン。専用の板を使ったり、水中でもぐりながら足で蹴る練習をします。
5 プル・・・これは足にプルブイなどを挟み、腕だけを使って泳ぐ練習です。上半身や腕の動きを注意しながら練習します。
6 メインスイム・・・タイムを計りながら自分の泳法を練習します。例えば400mを8本とか。そして私の場合は、1本泳ぐごとに間に懸垂30回といったような練習でした。
以上は泳ぐ基本の練習ですが、その他にもホームや泳ぎ方も指導者のアドバイスを聞いて取り入れることも大切です。私は精神面が弱かったので、練習の時にはいつも試合を想定してやるようにアドバイスを受けていました。試合に少しでもなれることで、自信が持てるようになったと思います。また、泳ぐことは足と腕の連動ですからバランスも重要になります。泳いでいても足が疲れてくると沈みがちになるので、できるだけ一定の高さで水平に泳げるように心がけてください。特にバタフライでは、私のように小柄な選手も手足の使い方、泳ぎ方、そして気持ちの持ちようによって大きなダイナミックな泳ぎができると思います。
※プロフィール等は2013年11月時点のものです。
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