三井 梨紗子さん
元シンクロナイズドスイミング選手
リオデジャネイロオリンピック銅メダリスト
三井 梨紗子さん
元シンクロナイズドスイミング選手リオデジャネイロオリンピック銅メダリスト
PROFILE
1993年9月23日東京都生まれ、9歳でシンクロナイズドスイミング(現:アーティスティックスイミング)と出会い、わずか2年でエリート教育メンバーに選抜。高校2年生で日本代表に初選出。2012年ロンドンオリンピックでは最年少でチームメンバーに選ばれ、5位入賞を果たした。2015年の世界水泳選手権カザン大会で、井村雅代ヘッドコーチのもと、乾友紀子選手とのデュエット・テクニカルルーティンと、チームのフリールーティンで銅メダルを獲得。リオデジャネイロオリンピックでも、ウクライナとの激戦を制して、デュエットとチームで銅メダルを獲得した。現在は競技を引退し、日本大学大学院博士後期課程で勉学に励みながら、コーチ・講演活動・解説のほか、世界水泳のテレビ解説や、日本オリンピック委員会広報部会員として幅広く活動している。三井 梨紗子さんの学生時代は・・・
競技を始めて1年で五輪に出場したいと思えた
翌年には全国大会に出場し、小学5年の時に泳力や柔軟性、運動能力、作文などのオーディションに合格して、未来の五輪選手を育てるエリート教育メンバーに選ばれました。実は4年生の時にも受けたのですが落ちてしまい、悔しくて……。だから選抜メンバーに選ばれて、夏休みや冬休みに五輪選手もトレーニングする国立科学スポーツセンターで皆と一緒に練習できたことは本当にうれしかった。漠然とですが、「五輪に出たい!」と思うようになりました。
その頃にはシンクロ日本代表の先輩たちが通った日本大学に進学したいと思っていたので、兄に勉強を見てもらい、第一希望の付属中学に合格。中学に入ると週6回、毎日3時間の練習をこなし、中学1、2年生の時には同年代の子たちが競う世界選手権に出場して、ソロ、デュエットとともに表彰台に立つことができました。
進学した日本大学第一高等学校にはプールも水泳の授業もなくて、シンクロの存在も周りの生徒は知りませんでした。それが悔しくて、もっといい成績を残して競技を知ってもらいたいという思いで努力し、高校2年生で世界ジュニア大会に出場。しかし日本選手は毎年メダルを獲得するのが当たり前の中、私はメダルに届きませんでした。シンクロ界の歴史に泥を塗ったようでショックでした。世界との壁を感じ、大きな挫折感を味わった私に、幼い頃から指導してくれたコーチが、試合に引率できなかった責任を感じて「ごめんね」と声をかけくれました。「コーチにメダルを渡したい」という気持ちがより強くなって前を向くことができました。
井村コーチと出会い、念願のメダル獲得に挑戦・・・
人生で一番自分と向き合った井村コーチとの2年間
2014年に日本代表コーチに復帰された井村雅代コーチのもとで練習が始まった当初は、「宇宙人のようなあなたたちのことが分からない!」と先生に叱られてばかりでした。叱られる理由すら分かりませんでしたが、結果が少しずつ伴うにつれ、代表としての自覚が足りないことや先生の言葉の真意が少しずつ理解できるようになりました。リオデジャネイロオリンピックの前には、代表としてのプライドを持ち、メンバーそれぞれの役割を遂行して、先生との信頼関係も築くことができたと思います。
デュエットを組んだ先輩の乾友紀子さんとの実力の差を埋めなければというプレッシャーもかかりましたが、互いの得意・不得意な部分を把握しながら不得意な部分を徹底して鍛えました。近くに上手な人がいて、それを見て学ぶことができたのはとても良い環境でした。
井村先生に指導を受けた2年間はきついことの方が多かったですが、人生の中で一番自分に向き合い、世界の選手のレベルに到達するための努力を継続できたと思います。五輪本番前、「あなたたちは歴代の日本代表の中で一番練習してきたチーム。思う存分やってきなさい」と井村先生に送り出されたとき、「やるしかない」という思いしかなかった。デュエットとチームで銅メダルが獲得でき、うれしい気持ちも含めて心の底からほっとしましたね。
三井 梨紗子さんからのワンポイントアドバイス
毎日のストレッチで自分の体を知る
(1)足の甲を伸ばして足先を美しく見せる
コーチから常に「美しく見せるために常につま先まで意識しなさい」と言われていたので、授業中、机の下では足の甲を伸ばすストレッチをするのが日課でした。その体制にならないと気持ち悪いくらいになるまでになりました(笑)。この時はこのストレッチをするという風に自分の中でルール化するといいかもしれません。
(2)インナーマッスルを伸ばして怪我を防止
夜はテレビなどを見ながら、硬くて怪我しやすいインナーマッスルという筋肉を意識して伸ばしていました。トレーナーさんから教えてもらった複雑な体制を取りながら関節周りを伸ばします。「ながらストレッチ」は習慣化するにはオススメです。
(3)お尻周りや股関節を伸ばして脚を美しく見せる
足技を見せるためには脚の美しさが大切。私はO脚だったので、お尻周りや股関節のストレッチを地道に続けることで改善させ、足を美しく見せることもできました。そうした変化に気づいた井村先生は、「あなたは変われる子なのね」と私を信頼してくださったように思います。日々の小さな努力ですが、その継続こそが体を変えて演技をきれいに見せることができ、怪我の予防にもつながる。そうした自分を変える習慣は欠かさないでほしいです。
※プロフィール等は2020年2月時点のものです。
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