【特集】吉原知子選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

アスリートからの熱いメッセージ

吉原 知子選手

吉原 知子さん

元バレーボール選手・日本代表

PROFILE

1970年2月4日生まれ。北海道出身。バレーボールの強豪校、妹背牛町立妹背牛中学入学とともにバレーボールを始め、強豪校妹背牛商業高校へ進学。高校時代に全日本メンバーに選ばれるが、代表デビューは1990年のバレーボール世界選手権出場。そして1992年には、選手として念願のバルセロナ五輪に出場、96年のアトランタ、04年のアテネと3回の出場を果たし、アテネ五輪では日本代表主将としてチームを牽引した。また1995年にはイタリアセリエAでもプレーし、帰国後は国内で所属した全てのチームで優勝という輝かしい戦績を持つ、日本バレーボール界の至宝。06年の現役引退後はバレーボールの解説者としてテレビなどで活躍する傍ら、フジテレビ企画の「コーチングキャラバン」に参加。そして吉原さんがコーチングした埼玉県細田学園は見事「春の高校バレー」出場をつかむなど高校生の指導にも意欲を燃やしている。

吉原 知子さんの学生時代は・・・

全ての選手にとって、オリンピック出場は大きな夢

吉原 知子選手写真
私は三人姉妹の真ん中で、どちらかというとかまってもらえない子どもだったんです。だから「何か注目されることをやろう!」と思って選んだのがバレーでした。たまたま私の進学した中学は北海道内でもバレーボールの強豪校だったので「どうせやるなら強いチームで頑張ろう!」というのと、自分がどこまでできるのか試してみたい思いもありましたね。でも、強いチームだけに練習も厳しくて、俗にいうスパルタそのもの。そのうえ、中学・高校とも、強豪校とあって勝つことが当たり前のチームだったから「バレーが楽しい」なんて感じる余裕もなく、ただ勝つことが絶対条件のようで必死でした。だから中学3年の時、北海道の大会で2位になったときはすごく悔しい思いをしました。それまで先輩たちが常に優勝を飾っていただけに、悔しさと申し訳ない気持ちでいっぱいでした。でも、その頃から培われていったバレーへの思いが、その後の実業団、セリエA、全日本へと導いてくれたんだと思います。
私は高校時代から日本代表に選ばれていましたが、実業団の先輩たちとは大きな差があったと思います。システムやコンビネーションのレベルが高校とは全然違うし、緊張することばかりで、練習についていくのが精一杯って感じでしたね。でも「うまくなりたい!」という気持ちはいつも強く持っていたので必死でした。何よりオリンピックという大きな目標がありましたから。
そして高校卒業後、日立ベルフィーユに入部して迎えたのが念願のオリンピックでした。なんといっても開会式の雰囲気は忘れられません。「JAPAN」とコールされ選手団が入場していくときの気分は、「私たちは日の丸を背負ってここにいるんだ」と実感しました。そして日本代表としての、更なる闘志が湧いてくるようでした。オリンピックでは、長い期間中にコンディションやチームワークをいかにキープするかということを学びました。特に主将として参加したアテネでは、一日一回はメンバーとのコミュニケーションをとったり、嫌なことを顔に出さないポーカーフェイスなど人の上に立つということで、気配りやいろいろなことを学びました。私にとってオリンピックは、夢だけでなく、やはりかけがえのない経験になりました。

チームプレーの楽しさ、人を思いやる心が自分を強くする

バレーボールの魅力のひとつは、チームプレーの楽しさですね。例えば自分のミスをカバーしてくれる仲間がいたり、反対にサポートすることもあります。これは責任転嫁とかではなくて、常に「自分だけじゃないんだ」ということを感じることができるスポーツだと思います。いい時も、悪い時も。だから負けたときの悔しさも勝ったときのうれしさも倍増するんですよ。ともに気持ちを分かち合える仲間がいることっていいなぁと思いますね。もうひとつは、人を思いやる心がチームを、自分を強くするんじゃないでしょうか。バレーボールは一人でできるスポーツではないから、いくら一人がいいプレーをしてもそれだけでは勝てません。勝つためにはチームとしてシステムを作って、コンビネーションでつないでいかなければなりません。だから仲間を信頼して任せたり、仲間のサポートに感謝したり。また試合に出られない選手の気持ちを考えてあげることも大事だと思います。人間は一人では生きていけないんだと実感できるスポーツですね。
またバレーボールに限らず、スポーツを通して同じ世界で頑張っている人と出会える楽しさもあります。刺激を受けたり共感したりできることが素敵ですよね。

吉原 知子さんからのワンポイントアドバイス

目標をもって練習することが大事

吉原 知子選手写真
私が学生時代にやっていた練習は、
(1)ランニング
(2)腹筋・背筋・スクワット
(3)二人組でパス練習
(4)レシーブ、スパイク、ブロックの練習
(5)ゲーム形式でチーム練習
(6)サーブの練習
というものでした。ただ練習メニューはチームや監督によっても違うので、これが正解とは一概に言えません。ただ大事なのは目標を持った練習をすることだと思います。特に高校時代は練習量も多いので、どうしても集中力が続かなくなることがあります。そんな時、頭で計算して次のことを考えると手抜きになりがちなんですよね。でも、やるときは100%!手抜きの練習をするぐらいならやらない方がましだと思います。それに手抜きで間違った練習をすると、変な癖がついてしまって直すのが大変ですから気をつけてください。
それと、走ることはいろんなスポーツにおいて基本だと思います。走ることで足腰を鍛え、プレーできる体や筋肉を育てることにつながると思いますよ。その上でバレーボールに必要なジャンプ力も身につけていくのがベストではないでしょうか。

吉原 知子さんからみんなへメッセージ

限界を作らずに、夢を持ってチャレンジしてほしい

吉原 知子選手写真
 私は学生時代、実業団時代とそれぞれの時代において素晴らしい指導者に恵まれてきたと思います。その中のひとり、セリンジャー監督の言葉ですが「自分に限界を作るな」ということを現在、参加している「コーチングキャラバン」では、高校生たちに言っています。練習においても「もうダメだ」と諦めてほしくないんです。私自身、中学時代はバレーボールがへたでした。でもオリンピックに行きたくて「絶対できるんだ」と信じて練習したから夢が叶ったと思っています。できると思うこと、信じることから可能性が生まれてくるんじゃないでしょうか。そして、たとえ結果がどうであれ頑張ったことは、必ず自分の自信になると思います。高校時代というのは、すごい可能性を秘めている時。夢を持ってチャレンジすることで、みんなも輝いてほしいですね。

※この記事は2007年2月に取材したものです。プロフィール等は取材時点のものですので、ご了承ください。

小野寺 太志選手
小野寺 太志選手(バレーボール選手)
精一杯挑戦して、後悔のない密度の濃い時間を過ごしてほしい
迫田 さおりさん
迫田 さおりさん(元バレーボール選手)
がむしゃらに突っ走れる時間を大切にしてほしい
江畑 幸子さん
江畑 幸子さん(元バレーボール選手)
自分にとって「楽しいこと」は、武器になり、自信になる
井上 香織選手
井上 香織選手(元バレーボール選手)
苦しくても前を向けたのは夢があったから
柳田 将洋選手
柳田 将洋選手(バレーボール選手)
勝つことの楽しさ、積み上げることの大事さを伝えたい
福澤 達哉選手
福澤 達哉選手(バレーボール選手 全日本代表)
向上心こそが、夢に近づく一番の方法
清水 邦広選手
清水 邦広選手(バレーボール選手 全日本代表)
楽しいこと、悔しいことがあったから今がある
石島 雄介選手
石島 雄介選手(バレーボール選手)
学生だからこそ、今やるべきことがあるはず
高橋 みゆき選手
高橋 みゆき選手(元バレーボール選手)
ハンデを、自分の最大の武器にする
山本 愛選手
山本 愛選手(バレーボール選手)
経験できること、人との出会いを大切に
越川 優選手
越川 優選手(バレーボール 北京オリンピック日本代表)
夢のままで終わりたくない、だから決して諦めない!
山本 隆弘選手
山本 隆弘選手(バレーボール日本代表)
時には自分に対して、厳しさも必要
竹下 佳江選手
竹下 佳江選手(バレーボール選手)
一度逃した夢、だからこそ絶対につかみたかった
加藤 陽一選手
加藤 陽一選手(プロバレーボール選手)
今すべきことを目標にひとつずつステップアップしていく
大林 素子さん
大林 素子さん(元バレーボール日本代表 スポーツキャスター)
今しかない、チャレンジできる時を大切にしてください。

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一