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僕が柔道を始めたのは、いつも遊んでいた友だちが道場に通い始めたから。「もっと友だちと一緒にいたい、遊びたい」という気持ちだけで柔道を始めました。ところが、道場に通い始めて間もなく、同じ道場の練習試合で負けたことで初めて悔しさを知りましたね。「勝ちたい」と思い、そのためには実力をつけないとダメだということを知ったんです。「人と何を競うか」ということを柔道で体験したんです。 中学で上京したのは「東京に行けば強くなれる」と思っていたんです。「講道学舎」に入門して、がむしゃらに柔道に取り組みたかったから。この「講道学舎」で6年間、寮生活をしながら中学・高校に通っていたんですよ。朝は5時40分から朝稽古をして掃除や洗濯をして学校に通う、そして学校から帰ったら5時から7時半ごろまで稽古するという毎日で、遊んだ思い出も、遊びたいと思ったこともなかったですね。ただ強くなりたいという思いが強かったから柔道の稽古に一生懸命になれたんだと思います。 中学・高校の時の思い出といったら、いつもお腹を空かしていたことかな(笑)。育ち盛りですから、寮の食事だけでは満足できないんですよね。
柔道での思い出といえば、講道学舎の先生がおっしゃった「決心しなさい、妥協するな」という言葉が今も心に残っていますね。「勝負するならどんな状況でも、相手が誰であろうと決心して臨みなさい」という意味ですが、僕にとって「何かに挑戦するときは決心を持って、人と同じスタートラインに立つんだ」という精神力の強さを持たせてくれる言葉でした。そして、何事も諦めると終わってしまう、妥協しなければ、きっとチャンスを生かすことができるんだと教わりました。だからこそ、自分よりも強い人に挑むことに充実感を見いだせたんだと思います。 |