元バレーボール選手 ロンドンオリンピック日本代表 |
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※プロフィール等は2020年9月時点のものです。
![]() こうして、中学でも迷うことなくバレー部に入部しました。顧問の先生が熱心で、土日も夏休みも、ほとんど休みなしという練習漬けの日々でしたが、不思議とつらかったという記憶は全くありません。むしろ残っているのは「楽しいバレー」の記憶ばかり。この時から、「オリンピック出場」が私の夢になり、卒業文集に書いたことを今でもよく覚えています。 しかし、「楽しいバレー」は高校で一変。進学した氷上高校での3年間は、私の長いバレー人生の中で一番戻りたくない時間だと言っても過言ではないかもしれません。3年生ではゲームキャプテンも務めましたが、実は、高校時代のバレーのことはほとんど覚えていないんです。微かな記憶にあるのは、中学以上に厳しかった上下関係や親元を離れての寮生活の寂しさ、何よりも「楽しいバレー」ではない「勝たなければいけないバレー」へのプレッシャーとの戦いだったこと。とにかく、無我夢中で駆け抜けた3年間だったと思います。 | |
![]() また、2009年には日本代表メンバーに選出していただき、対戦相手は世界へと広がっていきました。その時、世界の強さを痛感した一本が、当時のブラジル代表だったタイーザ・メネセス選手のスパイクです。実は、ブロックで止めることができたわけではなく、手の横を通りすぎたという一本だったのですが、その瞬間に感じた威力が息をのむほど圧倒的でした。横を抜けたスパイクに強さを感じることはほとんどないのですが、彼女のスパイクから感じた「風」は、今まで経験してきたものとは一線を画すレベル。これまでミドルブロッカー(以下MB)として世界屈指のスパイカーたちのスパイクをブロックしてきた中でも、決して忘れることのできない一本です。 それから、銅メダルを獲得した2012年のロンドンオリンピック出場までの道のりには、怪我による大きな葛藤がありました。2011年に肩を脱臼し、治療のため手術を行いましたがその半年後に再発。2回目の手術をするかどうか悩んでいた時、一瞬頭をよぎったのがこれまで一度も考えたことのなかった「バレーを辞める」という選択肢でした。その気持ちを思いとどまらせたのが、中学生のときの卒業文集に記した「オリンピック出場への夢」だったのです。「ダメでも、やるだけやってみよう」。こうして、2回目の手術をし、オリンピック1カ月前の2012年6月に復帰。同月に行われたロンドンオリンピックの代表メンバー選考にギリギリ滑り込みました。ありがたいことに代表メンバーに選出していただき、中学からの夢の舞台へ。銅メダルを獲得できた喜びと、最後の最後まで、肩の脱臼が再発することなく戦い続けることができたという安心感で胸がいっぱいになった、かけがえのない経験です。 | |
![]() (1)走ることで「体力」をつける…高校時代、練習に入る前に必ず行っていたのが、校舎の外周を使った3キロのランニングです。ただ3キロ走りきるだけではなく、毎回タイムを計っての競争形式。タイム設定を課せられることもあり、まずはこの長距離ランニングを乗り越えることが毎日の第一関門でした(笑)。当時はつらくて仕方ありませんでしたが、現役を経て改めて「走ることの大切さ」、ひいては「走ることでつく体力の大切さ」を感じています。どんな競技にも通ずることだと思いますが、最後まで戦いぬくには体力が必要不可欠です。体力をつける方法として「走る」ことは、とても大切だと思います。 (2)縄跳びで「ジャンプ力」を鍛える…ポジションにもよりますが、バレーはジャンプが基本です。よく行っていたのは縄跳びを使用してのトレーニング。中学生のときは、二重飛びを1000回~2000回、ウォームアップで行っていました。反対に、練習後に縄跳びをすることも。体も疲れ切っていてしんどいのですが、試合の時に楽だと感じられるなら、という気持ちで取り組んでいました。 (3)肩を強化し「スパイク力」を鍛える…日本人の肩の筋肉は、世界と比較すると弱いと言われています。力強いスパイクを打つためには、肩の強化は必須。よく行っていたのは腕立て伏せです。10回を1セットとして3~5セットを目安に取り組んでみてください。 MBは、「最も駆け引きが必要とされるポジション」でもあります。相手がどこからスパイクを打ってくるのかを見極め、反対に相手ブロックを欺くためにどう動くべきかも考えなければならない。こうしたネット上の駆け引きを少しでも有利にするために、MBには横の動きと、トスが上がった時に咄嗟に反応できる瞬発力が求められます。これらを鍛えるために、相手コートに立ったセッターがトスを上げた先へ瞬時に動くという練習をひたすら繰り返していました。特にMBの方は、反応スピードを少しでも速くする練習も取り入れてみるとよいかもしれません。 |