PROFILE
1976年4月10日生まれ。愛知県出身。子どもの頃からスポーツ少年で、特にサッカーと野球が大好きだった。特に野球では、少年野球チームの監督をしていた父の影響でチームに入る。中学・高校時代は野球部に所属し中心選手として活躍し、大府高校時代は俊足と安定した打撃を生かし2度の甲子園出場を果たす。その後は亜細亜大学からJR東日本に入社し、日本代表としてシドニーオリンピックにも出場した。一方、大学時代にはもうひとつの夢でもあった教員免許を、社会人時代には電車の車掌資格を取得し野球界では珍しい経歴を持つ。そして2000年、ドラフト4位で阪神タイガースに入団。初年度からめざましい活躍を見せ、新人歴代4位となる39盗塁をマークし、史上初となる盗塁王と新人王のダブル受賞を果たす。その後も5年連続の盗塁王、2度のベストナイン、5度のゴールデングラブ賞など数々のタイトルに輝き、チームはついに2003、2005年と2度の優勝を勝ち取った。またフィールド外でも少年野球チームを設立したり、社会福祉活動にも熱心で毎年、自己の盗塁数にちなんだ数の赤い車いすを寄付するという活動も行っている。赤星 憲広選手の学生時代は・・・
目標は甲子園に出場すること、その先はまだ見えなかった
中学入学で最初のターニングポイントがやってきました。クラブ活動で野球部に入ったことが、その後の人生に大きな影響を与えてくれました。以来、野球が夢の一つになったんです。中学、そして大府高校時代の大きな夢はやはり甲子園に出場することでした。プロ野球選手なんて、まだまだ見えない夢でした。でも将来、こんな選手になりたいという目標はありました。それは中日ドラゴンズの立浪和義選手です。PL学園時代からエースでドラフト1位で入団、そして新人王と僕ら高校球児の憧れでした。何より僕が惹かれたのは、立浪さんは体がそんなに大きくないのにプロで活躍している、そして僕と同じショートで右投げ左打ちの選手だったから、全てにおいて目標であり等身大の憧れでした。「立浪さんのような選手になりたい!」と。
そして大学進学の時、第2のターニングポイントがやってきました。いくつかの大学から声を掛けていただいてましたが、僕の中には「地元(愛知県)の大学に進学したい」という思いもあったし、「教員になりたい」というもうひとつの夢も諦めてなかったんです。でも野球で中京大学に進学したくて、合格率80人中8人という難関に通って最終選考に残ったときは合格も同然だなと思っていました。すると、なんと僕を含めて8人中7人が不合格だったんです。だって野球ばっかりで勉強なんてしてなかったし(笑)。いきなり目の前が真っ暗という気分になりました。でもそんな時、「うちに来ないか」と誘っていただき、教員免許の取れる亜細亜大学に進学を決めました。
野球、教員免許、どちらの夢も僕にとっては大事だった
大学の時もドラフト候補にはあがっていたんですが行けなくて「やっぱりプロは無理かな」と思ったこともありました。だから実業団から誘われたときは「この道で行こう!」と決めたんです。
そして2000年、第3の大きなターニングポイントがきました。「あの足は戦力になる」という野村克也監督(当時)の鶴の一声で、ドラフト4位で阪神タイガースに入団。夢のプロが現実になった瞬間でした。
入団して最初に思ったことは、野球のレベルはもちろん選手の身体能力やパワー、スピードなど全てにおいてレベルの高さにビックリしました。ちょっと心配になりましたね。そんな時、キャンプで監督から「ガンバレ、期待しているぞ!俺の教えたことをやっていれば、絶対に使える」と言われた時は不安がなくなりました。その後も監督からはベンチにいるときでも、たくさんのアドバイスをもらいました。プロ1年目は毎日が勉強だったと思いますね。その結果、新人王、盗塁王になれたことがすごく嬉しかったです。
赤星 憲広選手からのワンポイントアドバイス
練習は、継続してこそプラスになる!
例えば、
(1)走る
走り込みを多くすることで、下半身の粘りが効くようになる。特にピッチャーはよく走り込むことが大事だと思います。
(2)スクワット
僕が毎日やっていたのは、負荷をつけないスクワットです。体にとって過度の負荷や急激な負担は、かえってケガのもとになることもあるので注意してください。
(3)素振り
これも僕が毎日欠かさずやっていたことです。特に初心者には絶対にして欲しい練習のひとつですね。そして集中してやるように心がけてください。本数は関係ありません。量より質の練習を毎日継続することが大事だし、続けたことはきっと自分の自信につながります。
以上は僕がよくやっていた練習の一部ですが、他にも当たり前ですがボールに触れる練習としてキャッチボールも大切です。特にピッチャーはボールの感触や感覚をつかむことにもなりますから。練習のメニューはチームによっても、指導者によっても違ってくると思いますが、大事なのは継続すること。特に基本練習は面白くはありませんが、継続こそ強さにつながることを忘れないでください。
※この記事は2006年11月に取材したものです。プロフィール等は取材時点のものですので、ご了承ください。
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